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仮装経理に基づく過大申告の還付|更正後に戻る分と戻らない分(法人税法135条)

決算で売上を実態より多く計上し、そのまま法人税を納めていた場合、後から更正で所得が減っても、払いすぎた税金のうち仮装経理に係る部分は原則として還付されません。法人税法135条は、戻る分と戻らない分を分けています。還付と控除の順序を、条文にもとづき整理します。

法人税法135条・70条
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

事実を仮装して経理した分に当たる法人税は、更正があっても、原則として還付されません。例外は、更正の日の属する事業年度の開始前1年以内に始まった事業年度のうち、更正の日の前日に確定している法人税額に達するまでの還付です。残りは、更正の日以後に終わる事業年度の法人税から差し引かれ、差し引ききれなければ一定の時期に還付されます。

単なる計算ミスや入力ミスで税金を払いすぎた場合は、国税通則法の更正の請求で取り戻します。仮装経理に当たるかどうかで、お金が戻る時期が大きく変わります。

計算ミスの場合と仮装経理の場合の違い

国税通則法23条1項1号は、申告書の計算が法律の規定に従っていなかったり、計算に誤りがあったりして、納付すべき税額が過大であるときに、法定申告期限から5年以内に更正の請求ができると定めています。

法人税法135条が対象にするのは、確定申告書の所得の金額が本来より多く、その超える金額のうちに「事実を仮装して経理したところに基づくもの」があるケースです。実際にない売上を計上するなど、事実と異なる経理をした場合が、この規定の想定する場面です。仮装に当たるかどうかは事実関係で判断されるため、迷う場合は税理士や所轄の税務署に確認してください。

項目計算や適用のミス仮装経理に基づく過大申告
根拠国税通則法23条1項1号法人税法135条(控除は70条)
更正があったときの戻り方更正の結果、減った税額が還付される仮装経理に係る部分は135条の順序で、還付と控除に分かれる

仮装経理の場合も、更正の請求を出して更正に進むことはあります。その更正に135条が適用される、という関係です。通常の更正の請求の手順は、別のガイド(更正の請求)で説明しています。

135条・70条の仕組み

税務署長が更正をして所得が減ったとき、仮装経理に係る部分の納付済みの法人税(条文では「仮装経理法人税額」)は、次の順に扱われます。

  1. 原則は還付しない(135条1項):更正で減った法人税のうち、仮装して経理した金額に係る部分は、2項・3項・7項による還付を除き、還付されません。
  2. 一定の確定税額の範囲で還付(135条2項):更正の日の属する事業年度の開始の日前1年以内に開始した各事業年度の法人税額(附帯税を除く)で、更正の日の前日に確定しているもの(確定法人税額)に達するまでの金額は、還付されます。
  3. 残りは法人税から控除(70条):還付されなかった仮装経理法人税額は、更正の日以後に終了する事業年度の法人税の額から控除されます。更正の日が属する事業年度も含まれます。
  4. 5年後に残りを還付(135条3項):更正の日の属する事業年度の開始の日から5年を経過する日の属する事業年度の確定申告書の提出期限が来たとき、控除しきれなかった分が還付されます。

更正のあとに黒字が出る会社は、控除によって納める税額が減るため、実質的に戻ります。赤字が続く会社は控除できないため、5年後の還付を待つことになります。

還付と控除の計算例

数字は説明のための仮定です。1年決算の会社で、1期目の確定申告で売上を過大に計上していたことが分かり、3期目の途中に更正があった想定です。仮装経理法人税額は150万円、2期目に確定している法人税額は100万円とします。

順番内容金額根拠
1更正で減った仮装経理法人税額150万円135条1項
2更正の日の属する3期目の開始前1年以内に開始した2期目の確定法人税額に達するまで還付100万円が還付135条2項
3残りを3期目以降の法人税から控除50万円(3期目の法人税が80万円なら、50万円を差し引いて30万円を納付)70条
45年後の申告期限までに控除しきれていなければ還付残額135条3項

実際の還付額や控除額は、更正の内容、各事業年度の確定税額、地方法人税の扱いなどで変わります。この表は条文の順序を示すためのものです。

5年を待たずに還付される場合

法人税法135条3項と4項は、会社の状況が変わったときに、5年を待たずに還付する場合を定めています。

  • 3項各号:更正の日から、更正の日の属する事業年度の開始の日以後5年を経過する日の属する事業年度の終了の日までの間に、次の事実が生じたとき、その事実に応じた事業年度の確定申告書の提出期限に、残りが還付されます。①残余財産の確定、②合併(適格合併を除く)による解散、③破産手続開始の決定による解散、④普通法人または協同組合等が公益法人等に該当することとなったこと。
  • 4項:更生手続開始の決定、再生手続開始の決定など(政令で定める事実を含む)が生じたときは、その日以後1年以内に、税務署長へ還付を請求できます。請求には、還付を受けたい仮装経理法人税額や計算の基礎を記載した還付請求書を提出します(6項)。

会社を畳む場面の全体像は、別のガイド(法人の解散と清算)で説明しています。

修正の経理と更正の時期

法人税法129条1項は、税務署長が、仮装経理をした法人が後の事業年度で事実に係る修正の経理をし、その事業年度の確定申告書を提出するまでの間は、更正をしないことができると定めています。

修正の経理をするかどうか、更正がいつ入るかで、控除や還付の起点が変わります。決算の誤りに気づいたら、仮装経理に当たる可能性があるかを、修正の経理をする前に税理士へ相談してください。

  • 更正に伴う反射的な更正で、仮装して経理した金額に係るものがあるときは、135条5項により同様に扱われます。
  • 更正前に、3項各号や4項各号の事実がすでに生じていた場合は、135条1項の取扱い自体が適用されません。
  • 帳簿書類の保存期間は、別のガイド(法人の帳簿書類の保存期間)にまとめています。

次に知りたいこと

公式一次情報

よくある質問

決算で売上を多く計上してしまいました。更正されたら、払った法人税は全額戻りますか?
その事実が仮装経理に当たる場合、更正で減った法人税のうち仮装経理に係る部分は、原則として還付されません。更正の日の属する事業年度の開始前1年以内に始まった事業年度で、更正の日の前日に確定している法人税額に達するまでは還付され、残りは更正の日以後に終わる事業年度の法人税から控除されます(法人税法135条・70条)。
計算ミスで法人税を払いすぎたときも、同じ扱いですか?
仮装経理に当たらない計算ミスや適用誤りは、国税通則法23条1項の更正の請求で、法定申告期限から5年以内に請求できます。
控除しきれない分は、いつ戻りますか?
更正の日の属する事業年度の開始の日から5年を経過する日の属する事業年度の確定申告書の提出期限が来たときに還付されます(135条3項)。
5年を待たずに還付を受けられる場合はありますか?
残余財産の確定、合併(適格合併を除く)による解散、破産手続開始の決定による解散、公益法人等への該当があったときは、条文に定める事業年度の申告期限に還付されます。更生手続や再生手続の開始の決定があったときは、その日以後1年以内に還付を請求できます。
仮装経理に当たるかどうかは、自分で判断できますか?
条文は「事実を仮装して経理した」と定めるだけで、個別の事情で判断が分かれます。迷うときは税理士か所轄の税務署に相談してください。
本記事について。専門家監修前の概説です。2026年10月26日時点の法令にもとづく一般的な案内で、個別の判断に代わるものではありません。仮装経理に当たるか、どう修正するかは、税理士または所轄の税務署へご確認ください。