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法人成りの社会保険|個人事業所の「全喪届」と法人の「新規適用届」、日付のそろえ方

個人事業のときに健康保険・厚生年金保険(社会保険)の適用事業所だった場合、法人成りでは個人事業側の「全喪届」と法人側の「新規適用届」の両方が必要です。それぞれの提出期限・添付書類・全喪年月日の書き方を日本年金機構の公式情報にもとづき整理します。

日本年金機構の制度
編集:法人成りシミュレーション編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(サービス業の一部・農業・漁業等を除く)は、健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所です。法人成りをすると、個人事業所という適用事業所は消滅し(全喪)、法人という新しい適用事業所が生まれます(新規適用)。この2つの届出はどちらも「事実発生から5日以内」という短い期限のため、日付をそろえて進めることが重要です。

法人化後の社会保険への加入義務・新規適用届の基本は法人化の手続きを、労災保険・雇用保険の引継ぎは法人成りの労働保険の引継ぎを参照してください。この記事では、個人事業所側の「全喪届」に絞って整理します。

個人事業所側:適用事業所全喪届

日本年金機構の公式説明では、事業主は次のいずれかに該当する場合に「適用事業所全喪届」を提出するとされています。

全喪の事由説明
1.解散事業を廃止または法人を解散した場合
2.休業事業を休止(休業)した場合
3.合併他の事業所と合併した場合
7.その他いずれの原因にも該当しない場合
8.一括適用同一事業主の二以上の適用事業所が、一の事業所となる承認を受けた場合

全喪届の様式(記入方法)では、「1.解散」の説明として「事業を廃止または法人を解散した場合」と明記されています。個人事業を廃業して法人へ切り替える法人成りは、個人事業所という適用事業所からみれば「事業を廃止」する場合にあたり、この「1.解散」に該当する扱いになります。

提出期限は事実発生から5日以内で、全喪届とあわせて被保険者全員分の「被保険者資格喪失届」も提出します。

全喪年月日の書き方

全喪届の記入方法には、全喪年月日の書き方が事由ごとに定められています。「3.合併」を選んだ場合は合併した日、「8.一括適用」の場合は承認年月日を記入しますが、それ以外(法人成りで選ぶことになる「1.解散」を含む)の場合は、事実発生日の翌日を記入します。個人事業の廃業日(事実発生日)の翌日が全喪年月日になるため、法人側の資格取得日(後述)とあわせて、従業員の社会保険加入に空白期間ができないよう日程を組む必要があります。

添付書類:法人の解散登記が無い個人事業の場合

全喪届の添付書類は、原則として次のいずれかです。

区分添付書類
原則解散登記の記載がある法人登記簿謄本のコピー、または雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピー
原則の書類を添付できない場合給与支払事務所等の廃止届のコピー/合併・解散・休業等異動事項の記載がある法人税・消費税異動届のコピー/休業等の確認ができる情報誌・新聞等のコピー/その他、適用事業所に該当しなくなったことを確認できる書類

個人事業の廃業には「解散登記」が存在しません。従業員を雇用保険にも加入させていた場合は「雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピー」を、そうでない場合は税務署へ提出する「給与支払事務所等の廃止届」のコピーを添付する扱いになります。雇用保険の廃止届については法人成りの労働保険の引継ぎを参照してください。

法人側:新規適用届+被保険者資格取得届

法人側は「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を、こちらも事実発生から5日以内に提出します。日本年金機構の手続概要では、この届出を提出する際は「必ず健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届と同時に提出してください」とされています。

添付書類は、法人事業所の場合は提出日からさかのぼって90日以内に発行された法人(商業)登記簿謄本です(個人事業所(強制適用となる常時5人以上の場合)は事業主の世帯全員の住民票)。

まとめ

  • 法人成りでは、個人事業所側の「適用事業所全喪届」と、法人側の「新規適用届」+「被保険者資格取得届」の両方が必要。いずれも事実発生から5日以内。
  • 全喪の事由は「1.解散(事業を廃止または法人を解散した場合)」に該当し、全喪年月日は事実発生日(廃業日)の翌日を記入する。
  • 添付書類は、個人事業の廃業では法人の解散登記が無いため、雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピー、または給与支払事務所等の廃止届のコピーで代える。
  • 新規適用届は法人(商業)登記簿謄本(90日以内発行)を添付し、被保険者資格取得届と同時に提出する。

公式一次情報

よくある質問

法人成りのとき、社会保険の手続きは何が必要ですか?
個人事業所が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用事業所だった場合、個人事業所側で「適用事業所全喪届」(事実発生から5日以内)、法人側で「新規適用届」と「被保険者資格取得届」(こちらも事実発生から5日以内)が必要です。
全喪届の「全喪年月日」はいつを書けばいいですか?
日本年金機構の様式の記入方法では、全喪の事由が合併・一括適用以外の場合(法人成りで選ぶ「1.解散」を含む)、事実発生日(個人事業の廃業日)の翌日を記入するとされています。
個人事業の廃業には解散登記がありませんが、全喪届の添付書類はどうすればいいですか?
原則の添付書類(解散登記の記載がある法人登記簿謄本のコピー、または雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピー)のうち、雇用保険適用事業所だった場合は後者のコピーが使えます。雇用保険に未加入だった場合など、いずれも添付できない場合は、税務署へ提出する「給与支払事務所等の廃止届」のコピーなどで代えます。
個人事業所はすべて社会保険の適用事業所になりますか?
いいえ。常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(サービス業の一部・農業・漁業等を除く)が強制適用事業所です。5人未満の場合や対象業種の場合は、任意適用の申請をしていなければ、そもそも個人事業所側で社会保険に加入していないこともあります。
本記事について。税理士監修前の概説です。全喪届・新規適用届の添付書類や日付の扱いは事業所の個別事情(雇用保険加入の有無、廃業日の確定時期など)により異なります。実際の手続きは、法人成りの前に管轄の年金事務所または社会保険労務士にご確認ください。