個人クリニック・診療所の法人化|医療法人と一般法人の違い・開設者変更の手続き
個人で診療所を開いている医師が法人にするときは、医療法人にするか、株式会社などの一般の法人を使うかで、認可の有無、剰余金の扱い、開設者の変更手続きが変わります。医療法の条文で確かめられる範囲を、1つの表にまとめました。
e-Gov法令検索「医療法」の条文にもとづく個人の診療所の法人化で最初に決めるのは、医療法に基づく医療法人にするかどうかです。医療法人は都道府県知事の認可が要り、剰余金の配当ができません。診療所の開設者が個人から法人に変わるため、廃止と開設の届出も必要になります。
このページは、制度の違いの整理です。認可の審査期間や手取りの金額は、条文で確認できないため載せていません。一般の法人の手続きは「法人化の手続き」、手取りの違いは「個人と法人の利益別比較」を見てください。
比較表:個人開設・医療法人・一般法人
| 項目 | 個人で開設 | 医療法人 | 一般の法人(株式会社など) |
|---|---|---|---|
| 開設の届出 | 臨床研修等修了医師などが診療所を開設したら、開設後10日以内に都道府県知事へ届出(医療法第8条) | 設立の認可を受けた法人が開設者になる。設立は都道府県知事の認可が必要(第44条第1項) | 営利を目的とする開設には、許可を与えないことができる(第7条第7項) |
| 設立の要件 | なし | 医師・歯科医師が常時勤務する診療所などを開設しようとする社団または財団が法人になれる(第39条) | 医療法の医療法人には当たらない |
| 剰余金の配当 | 本人の所得になる | 配当をしてはならない(第54条) | 会社法の定めによる |
| 廃止の届出 | 廃止したら10日以内に都道府県知事へ(第9条第1項) | 同じ | 同じ |
医療法人の設立と認可
医療法第39条は、病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所などを開設しようとする社団または財団は、この法律の規定により法人にすることができると定めています。この法人が医療法人です。
設立するには、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可が必要です(第44条第1項)。定款または寄附行為には、目的、名称、開設しようとする診療所の名称と開設場所などを定めます(同条第2項)。
医療法人は剰余金の配当をしてはならないと、第54条が定めています。一般の会社のように株主へ配当して利益を分ける形は取れない点が、手取りを考えるときの大きな違いです。
開設者が変わるときの届出
診療所の開設者が個人から法人に変わる場合、条文から読み取れる届出は2つあります。個人としての診療所の廃止は、10日以内に都道府県知事へ届け出ます(第9条第1項)。診療所の開設の届出は、開設後10日以内に診療所の所在地の都道府県知事へ出します(第8条第1項)。
実際の手続きは、保健所の窓口や自治体ごとの運用で、提出先・様式・事前の相談が異なります。医療法人にするときは設立の認可の後に開設の手続きが続くため、日程は所在地の都道府県の案内で確認してください。
一般の法人で診療所を開くとき
第7条第7項は、営利を目的として病院、診療所または助産所を開設しようとする者に対して、許可を与えないことができると定めています。この条文は、診療所を営利目的の法人が開設する場合に障害になりうる点を示しています。
個人のクリニックが一般の法人を使う場合に、どの範囲まで認められるかは、条文だけでは決められません。所在地の都道府県・保健所と、医療に詳しい税理士・行政書士に確認してください。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「医療法」(第7条第7項、第8条、第9条、第39条、第44条、第54条)
確認日は2026年10月12日です。
よくある質問
- 個人のクリニックを法人にするとき、医療法人は必ず必要ですか?
- 条文は、診療所などを開設する社団または財団が医療法人になれると定めています(医療法第39条)。必須とは書かれていませんが、一般の法人が営利目的で診療所を開設する場合は、許可を与えないことができるとされています(第7条第7項)。
- 医療法人は、設立するのに何が必要ですか?
- 主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可が必要です(第44条第1項)。定款または寄附行為に、目的・名称・開設する診療所の名称と開設場所などを定めます。
- 医療法人になると、利益を配当で受け取れますか?
- 受け取れません。医療法人は剰余金の配当をしてはならないと、医療法第54条が定めています。
- 個人の診療所をやめて法人で開く場合、届出はいつまでに出しますか?
- 廃止も開設も10日以内に都道府県知事へ届け出ます(第9条第1項、第8条第1項)。実際の提出先や様式は、所在地の自治体で確認してください。