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個人事業と法人成りの税・社会保険の合計負担を利益別に比較|300万〜2000万円の早見表

事業利益300万・500万・700万・1000万・1200万・1500万・2000万円の7段階で、個人事業のままの場合と一人法人にした場合の税と社会保険料を、税目別に並べた早見表です。

令和8年度の公的料率・東京・単身
編集:法人成りシミュレーション編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人成りの損益は、事業利益が同じでも「どの税目と保険料がいくら減り、いくら増えるか」で見ると判断しやすくなります。この表の数値は、当サイトの損益分岐点シミュレーターと同じ計算式で出しています。

合計負担が法人側で小さく見えるのは、役員報酬を抑えて利益を会社に残す設定のためです。会社に残した分は個人が自由に使えるお金ではなく、取り出すときに別の課税がかかります。

表の前提(家族・地域・役員報酬)

3つの表はすべて、次の同じ条件で計算しています。条件が違うと金額は変わります。

  • 家族構成:単身で、配偶者控除・扶養控除なし
  • 年齢:40歳未満(介護保険料なし)
  • 地域:東京23区の住民税・国民健康保険、協会けんぽ東京の保険料率(令和8年度)
  • 個人事業:青色申告特別控除65万円、個人事業税は5%と仮定(実際の税率は業種で決まります)
  • 法人:この法人以外に給与や社会保険の加入先がない一人法人。役員報酬は「本人の手取りと会社に残る利益の合計」が最大になる額をシミュレーターが探索した値
  • 金額の単位:万円。端数処理のため、内訳の合計と合計欄が0.1万円ずれることがあります

設立費用、税理士報酬、決算書作成の手間、法人事業税の翌期損金算入、賞与は計算に入れていません。

個人事業のままの場合の負担

所得税は国税庁の速算表(5%〜45%の7段階)で、課税所得が増えるほど税率が上がります。国民健康保険は、所得に連動して上限額(この前提では年96万円)まで増えます。

事業利益所得税(復興税込み)住民税個人事業税国民健康保険国民年金合計
300万円4.214.80.527.021.568.1
500万円16.732.710.548.221.5129.6
700万円53.850.620.569.321.5215.7
1000万円112.678.035.595.621.5343.2
1200万円165.197.945.596.021.5426.0
1500万円266.2127.960.596.021.5572.1
2000万円434.6177.985.596.021.5815.6

単位は万円です。1200万円以上で国民健康保険が96.0万円のまま増えないのは、上限に達しているためです。一方、所得税と住民税は増え続けます。

法人成りした場合の負担

法人の税は、法人税・地方法人税・防衛特別法人税・法人事業税・特別法人事業税・法人住民税の合計です。中小法人の法人税率は、国税庁の案内で年800万円以下の部分15%、超える部分23.2%です。社会保険料は協会けんぽ東京の料率で、会社と本人が半分ずつ負担します。

事業利益役員報酬(年額)本人の所得税+住民税社会保険料(本人分)社会保険料(会社分)法人の税合計
300万円110.40.515.015.046.176.6
500万円110.40.515.015.090.9121.3
700万円120.00.516.716.7137.2171.0
1000万円174.03.824.224.2196.7248.8
1200万円346.819.147.747.7198.0312.5
1500万円616.849.285.185.1195.5415.0
2000万円652.854.090.290.2364.2598.7

単位は万円です。1000万円までは役員報酬を月9万〜15万円程度に抑える設定で、1200万円以上では報酬を大きく引き上げる設定になっています。厚生年金の標準報酬月額には上限(65万円)があるため、役員報酬が年約650万円を超える2000万円の行では、社会保険料が1500万円の行とほぼ同水準です。

合計負担と手取りの比較

2つの表の合計欄を並べ、手取りも示します。法人側の手取りは「本人の手取り」と「会社に残る税引後の利益(内部留保)」の合計です。

事業利益個人の合計負担法人側の合計負担負担の差(法人-個人)個人の手取り法人側:本人の手取り法人側:会社に残る利益
300万円68.176.6+8.5231.994.9128.5
500万円129.6121.3-8.3370.494.9283.7
700万円215.7171.0-44.7484.3102.8426.2
1000万円343.2248.8-94.4656.8146.0605.2
1200万円426.0312.5-113.5774.0280.0607.5
1500万円572.1415.0-157.1927.9482.4602.6
2000万円815.6598.7-216.91184.4508.5892.8

単位は万円です。「負担の差」がマイナスなら、法人側の負担が小さいことを示します。

  • 300万円:法人側の負担が8.5万円大きくなります。社会保険料の会社分と法人住民税の均等割(7万円)が重いためです。
  • 500万円:差は8.3万円にとどまります。設立費用や税理士報酬を入れると、個人のままのほうが有利になる場合があります。
  • 700万円〜1000万円:差が45万〜94万円に広がります。個人側は所得税・住民税・国民健康保険がそろって増える帯です。
  • 1200万円以上:差は100万〜200万円台に広がります。個人側は国民健康保険が上限で止まる一方、所得税が大きく増えます。

各利益帯の個別の論点は、300万円・500万円・800万円・1000万円の結果ページで解説しています。自分の数字で試すときはシミュレーターを使ってください。

表の読み方と注意点

  • 会社に残る利益は自由に使えない:役員報酬を抑えた分は会社に残り、個人の手取りには入りません。取り出すときの課税(役員報酬の引き上げ、配当、退職金など)は、この表に含めていません
  • 社会保険料は将来の年金につながる:厚生年金の保険料は負担であると同時に、将来の年金額に反映されます。国民年金と単純に同じ「コスト」として比べないでください
  • 法人の運営コストが別にかかる:赤字でも法人住民税の均等割が発生し、税理士報酬や登記・届出の手間も加わります。詳しくは法人成りの費用と法人成りのデメリットを確認してください
  • 家族・地域・業種で結果が変わる:配偶者や子の扶養、自治体ごとの国民健康保険料、個人事業税の業種区分で個人側の負担は変わります。個人事業主の税金と国民健康保険料のガイドも参照してください
  • 時期の目安:法人成りの時期は消費税や契約の事情でも変わります。法人成りのタイミングで確認してください

公式一次情報

まとめ

  • 同じ前提で比べると、利益300万円では法人側の合計負担が大きく、500万円でほぼ並び、700万円以上で法人側が小さくなる。
  • 個人側は所得税・住民税が利益に応じて増え、国民健康保険は上限で止まる。法人側は役員報酬と法人税率の区分で決まる。
  • 法人側の負担が小さい分は、会社に残る利益の増加が大きい。取り出す際の課税と運営コストは表に入っていない。
  • 自分の家族構成・地域・業種で試すときは、シミュレーターに入力する。

よくある質問

利益いくらから法人成りが有利になりますか?
この表の前提(東京・単身・40歳未満)では、事業利益500万円で合計負担がほぼ並び、700万円以上で法人側が小さくなります。ただし設立費用・税理士報酬・取り出し時の課税は含まないため、目安として使ってください。
合計負担が小さいのに、なぜ手取りの差が同じにならないのですか?
法人側の手取りは本人の手取りと会社に残る利益の合計です。会社に残る利益は、法人の税を払った後の金額で、個人が自由に使える金額ではありません。
家族がいる場合も同じ表で判断できますか?
できません。この表は単身で扶養なしの前提です。配偶者控除や扶養控除、国民健康保険の人数分の均等割で個人側の負担が変わるため、自分の条件でシミュレーターに入力してください。
国民健康保険の上限に達したあとは、法人にする意味がありますか?
国民健康保険が上限で止まる一方、所得税・住民税は利益に応じて増え続けます。表では1200万円以上で法人側との差が拡大しています。社会保険料の負担と将来の年金額の増加も合わせて検討してください。
本記事について。税理士監修前の概説です。表は令和8年度の公的料率にもとづく概算で、実際の税額・保険料は家族構成、地域、業種、控除の状況により異なります。個別の判断は税理士・社会保険労務士にご確認ください。