法人の実効税率|中小法人の目安は約21〜34%
法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税を合わせた「実効税率」の求め方を説明します。東京23区の資本金1億円以下の法人を例に、所得の区分ごとの目安(約21.4%・23.2%・33.6%)と、所得1,200万円の架空の計算例を示します。
法人化(法人成り)法人の利益には、法人税のほかに地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税がかかります。中小法人(東京23区・資本金1億円以下)の場合、これらを合わせた実効税率の目安は、所得の区分に応じて約21%から約34%です。
この記事は、5つの税の税率を一つの式にまとめる方法と、前提条件をそろえた早見表、所得1,200万円の計算例を整理します。法人税だけの税率は中小法人の法人税率の解説、事業税の詳細は法人事業税の税率の解説で扱っています。
実効税率に入る5つの税と税率
会社の所得にかかる税は、国に納めるものと、都道府県・市区町村に納めるものに分かれます。この記事の例は、東京23区に事務所が1か所だけある、資本金1億円以下の普通法人で、所得が年2,500万円以下、法人税額が年1,000万円以下の場合です。
| 税 | 納める先 | 税率(この記事の前提) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 法人税 | 国 | 年800万円以下15%、超える部分23.2% | 国税庁タックスアンサーNo.5759 |
| 地方法人税 | 国 | 法人税額の10.3% | 地方法人税法10条 |
| 法人住民税(法人税割) | 都(23区内は市町村民税分を含む) | 法人税額の7.0%(標準税率) | 東京都主税局 |
| 法人事業税(所得割) | 都 | 年400万円以下3.5%、800万円以下5.3%、超える部分7.0%(標準税率) | 東京都主税局 |
| 特別法人事業税 | 都(国税として都が徴収) | 標準税率で計算した事業税額の37% | 東京都主税局 |
法人住民税には、所得に関係なくかかる均等割もあります。均等割は税率ではなく定額のため、この記事の実効税率には入れていません。金額は均等割の解説で確認できます。
この記事の内容を申告書に落とすときの本PR
記事で確かめた内容を、申告書の記入や帳簿の付け方まで一冊で追いたいとき向けです。
実効税率の算式
実効税率は、事業税が翌期以降に損金(経費)になる点も織り込んで、次の式で表すのが一般的です。財務省の資料にある法人実効税率も、法人税率に地方法人税率と住民税率を加えた部分と、事業税の部分を合わせる形で示されています。
| 項目 | 式 |
|---|---|
| 分子 | 法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率×(1+特別法人事業税率) |
| 分母 | 1+事業税率×(1+特別法人事業税率) |
| 実効税率 | 分子÷分母 |
ここでの住民税率は、法人税額にかかる7.0%、事業税率は所得の区分ごとの標準税率です。この式は目安を出すための簡単な形で、事業年度ごとの端数処理や税額控除は入っていません。
早見表(所得の区分ごとの目安)
前のセクションの税率を式に入れると、所得の区分ごとの実効税率は次の数字になります。
| 所得の区分 | 法人税率 | 事業税率 | 実効税率の目安 |
|---|---|---|---|
| 年400万円以下の部分 | 15% | 3.5% | 約21.4% |
| 400万円超800万円以下の部分 | 15% | 5.3% | 約23.2% |
| 年800万円を超える部分 | 23.2% | 7.0% | 約33.6% |
数字は、その区分に入る追加の1円にかかる税の目安です。所得全体に対する割合ではありません。800万円を超えると、法人税率が15%から23.2%に上がるため、実効税率が約10ポイント上がります。
架空条件の計算例(所得1,200万円)
次の条件で考えます。東京23区に事務所が1か所の資本金1,000万円の普通法人で、事業年度は12か月、法人税の課税所得と事業税の所得がともに1,200万円とします。
| 税 | 計算 | 税額の概算 |
|---|---|---|
| 法人税 | 800万円×15%+400万円×23.2% | 212.8万円 |
| 地方法人税 | 212.8万円×10.3% | 約21.9万円 |
| 法人住民税(法人税割) | 212.8万円×7.0% | 約14.9万円 |
| 法人事業税 | 400万円×3.5%+400万円×5.3%+400万円×7.0% | 63.2万円 |
| 特別法人事業税 | 63.2万円×37% | 約23.4万円 |
| 合計 | 約336.2万円(所得の約28.0%) | |
合計を所得で割った約28.0%は、所得全体にならした平均の割合です。早見表の数字(約21〜34%)は区分ごとの追加分にかかる割合なので、両者は一致しません。
実際の税額は、端数の処理や所得の調整で変わります。個別の計算は税理士に確認してください。
前提が変わるとき(防衛特別法人税・住民税の税率)
前提を外れると、数字が変わります。主なものを3つ挙げます。
- 防衛特別法人税:令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税を課される法人は防衛特別法人税の納税義務者です(e-Tax「防衛特別法人税の創設に関するご案内」)。税率は課税標準法人税額の4%で、基準法人税額から年500万円を引いた額が課税標準です(防衛財源確保法13条・14条)。法人税額が年500万円以内なら税額は0円ですが、申告は必要です。この記事の早見表には入れていません。
- 法人住民税の税率:東京都は、資本金1億円以下で法人税額が年1,000万円以下の法人に標準税率(23区内は7.0%)を適用しています。それ以外の法人は超過税率(同10.4%)です。法人税額が年1,000万円を超えると、住民税の部分が上がります。
- 法人事業税の税率:東京都では、資本金1億円以下で年所得が2,500万円以下の普通法人に標準税率が当てはまり、それ以外は超過税率です。税率は都道府県で異なるため、事務所のある地域の税率表で確認してください。
法人と個人事業主のどちらが手取りが多くなるかは、個人と法人の利益別の比較で、税金に社会保険料を加えた形で扱っています。決算から納付までの流れは法人の決算・申告、納付時期が早い中間申告は中間申告の解説です。
まとめ
- 法人の所得にかかる税は、法人税・地方法人税・法人住民税(法人税割)・法人事業税・特別法人事業税の5つ。
- 地方法人税は法人税額の10.3%(地方法人税法10条)、特別法人事業税は標準税率で計算した事業税額の37%(東京都主税局)。
- 東京23区・資本金1億円以下・所得2,500万円以下なら、実効税率の目安は約21.4%(400万円以下)、約23.2%(800万円以下)、約33.6%(800万円超)。
- 所得1,200万円の例では、5つの税の合計が約336.2万円で、所得の約28.0%。
- 令和8年4月1日以後開始の事業年度から防衛特別法人税(4%、年500万円の控除あり)が加わる。法人税額が年500万円以内なら税額は0円。
よくある質問
- 中小企業の法人実効税率は何%ですか?
- 東京23区・資本金1億円以下・所得2,500万円以下の例では、年400万円以下の部分で約21.4%、400万円超800万円以下で約23.2%、800万円を超える部分で約33.6%が目安です。住民税や事業税の税率は地域と法人の条件で変わります(出典:国税庁タックスアンサーNo.5759、地方法人税法10条、東京都主税局)。
- 地方法人税の税率はいくらですか?
- 法人税額の10.3%です。法人税の申告とあわせて税務署に申告します(出典:地方法人税法10条)。
- 実効税率の算式で、分母に事業税が入るのはなぜですか?
- 事業税は損金(経費)になるため、事業税の分だけ課税所得が減る効果を織り込んでいます。そのため分母を「1+事業税率×(1+特別法人事業税率)」にします。簡単な目安を出す式で、実際の税額とは端数処理などで差が出ます。
- 防衛特別法人税は、中小企業にもかかりますか?
- 令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税を課される法人は納税義務者です。税率は課税標準法人税額の4%で、基準法人税額から年500万円を引いた額が課税標準のため、法人税額が年500万円以内なら税額は0円です。税額が0円でも確定申告書の提出は必要です(出典:防衛財源確保法13条・14条、e-Tax)。
- 均等割は実効税率に入りますか?
- 入れていません。均等割は所得に関係なくかかる定額の税のため、税率でなく金額で見ます。赤字の年でもかかります(出典:東京都主税局)。
公式一次情報
- 国税庁 タックスアンサー No.5759 法人税の税率(年800万円以下15%、超える部分23.2%。2026-10-19確認)
- e-Gov法令検索「地方法人税法」(10条 税率10.3%。2026-10-19確認)
- e-Gov法令検索「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(13条・14条 防衛特別法人税の課税標準・税率。2026-10-19確認)
- e-Tax 防衛特別法人税の創設に関するご案内・留意事項について(令和8年4月1日以後開始事業年度から。2026-10-19確認)
- 東京都主税局 法人事業税・法人都民税(事業税・法人税割の税率表と不均一課税。2026-10-19確認)
- 東京都主税局 特別法人事業税(税率37%。2026-10-19確認)
- 財務省 法人課税に関する基本的な資料(法人税率と法人実効税率の推移。2026-10-19確認)
あわせて読む
特別法人事業税とは:特別法人事業税とは|税率37%・260%・34.5%と計算方法

