個人事業税はいつ・いくら払う?納付時期(8月・11月)と計算
個人事業税の計算(事業主控除290万円・業種別税率)と、いつ・どう払うかを整理します。
東京都の制度個人事業税は、個人事業主が都道府県に納める地方税です。所得税や住民税とは別に、夏に納税通知書が届いて納めます。
「確定申告のときに払うもの」ではなく、通知が来てから払う点が特徴です。計算方法と、いつ・どう払うのかを整理します。
個人事業税の納付時期(東京都の場合)
通常は年2回、8月に届く納税通知書で第1期・第2期の両方を納めます。
| 項目 | 時期・内容 |
|---|---|
| 納税通知書が届く時期 | 8月(都税事務所・支庁から送付) |
| 第1期の納期限 | 8月31日 |
| 第2期の納期限 | 11月30日 |
| 納期限が休日のとき | その翌日 |
| 通常の8月・11月とは別になる場合 | 所得税の修正申告、更正・決定、事業の廃止などのときは、納税通知書に記載された納期限 |
通知書が届いた月によって納期限が変わる場合もあります(例:10月送付なら第1期は10月末、第2期は2月末)。自分で申告して納める税金ではないため、通知書に書かれた納期限を確認します。他の道府県は納期が異なることがあるので、事務所所在地の都道府県のサイトで確認してください。
個人事業税とは・計算
個人事業税は、地方税法で定められた事業(法定業種)を営む個人にかかる、都道府県の税金です。計算は次のとおりです。
個人事業税には青色申告特別控除が適用されないため、確定申告書の事業所得から計算するときは65万円・55万円・10万円の青色申告特別控除額を足し戻します。専従者給与や損失の繰越控除などがある場合は、個人事業税のルールに沿ってさらに調整します(損失の繰越控除自体は個人事業主の純損失の繰越控除で解説しています)。
業種別の税率は、多くの業種が第1種の5%で、業種により3〜5%です。青色申告特別控除の足し戻しや他の調整後の金額が事業主控除290万円以下なら、事業主控除で課税対象が0円になります。
また、エンジニア・プログラマー・ライターなど、法定70業種に含まれない事業は非課税となる場合があります。詳しくは個人事業税がかからない業種を参照してください。
税額の計算例
通年営業・利益500万円・税率5%の場合
青色申告特別控除前の事業利益が500万円、65万円控除後の確定申告上の事業所得が435万円、他の調整がない第1種事業を想定します。
| 計算項目 | 金額 |
|---|---|
| 確定申告上の事業所得 | 435万円 |
| 青色申告特別控除を足し戻す | +65万円 |
| 事業主控除 | −290万円 |
| 課税対象 | 210万円 |
| 個人事業税(210万円×5%) | 10万5,000円 |
確定申告書の事業所得435万円から直接290万円を引くと7万2,500円となり、3万2,500円少なく見積もってしまいます。青色申告特別控除65万円の足し戻しを忘れないことが、税額見積もりの要点です。
年途中に6か月だけ営業した場合
営業期間が1年未満なら、事業主控除290万円は月割りです。6か月の事業主控除は145万円なので、青色申告特別控除を足し戻した後の所得が240万円、税率5%、他の調整なしなら、個人事業税は(240万円−145万円)×5%=4万7,500円になります。
いつ・どう払う?(8月・11月)
個人事業税は、年2回(第1期は8月、第2期は11月)に分けて納めます。8月ごろに、都道府県(東京は都税事務所)から納税通知書が届きます。
自分で計算して申告・納付するのではなく、通知が来てから納める仕組みです。一括で納めることもできます。納期限は、第1期が8月末、第2期が11月末が目安です(都道府県により異なる場合があります)。
年税額が1万円以下なら8月に全額(神奈川県・埼玉県・福岡県・大阪府・愛知県)
神奈川県・埼玉県・福岡県・大阪府・愛知県の公式ページには、年税額が1万円以下の場合は8月(第1期)に全額を納めると書かれています。この場合、11月の納付はありません。
納期限は愛知県が第1期8月31日・第2期11月30日、福岡県は第1期が8月16日〜8月31日、第2期が11月16日〜11月30日と記載しています。東京都主税局のページには、納期(8月31日・11月30日、休日の場合は翌日)の記載はありますが、この1万円以下の取扱いは確認できませんでした。他の道府県の扱いは確認していないため、事務所所在地の都道府県のサイトで確認してください。
前年の所得税額が一定以上ある場合は、所得税にも同様に前年実績にもとづく前払いの通知が届く予定納税があります。個人事業税と時期が近いため、あわせて資金を準備しておくと安心です。
納付に備える資金繰り
上の年間税額10万5,000円の例なら、毎月8,750円を納税用口座へ移すと、1年で必要額を準備できます。実際の各期の納付額は、8月に届く納税通知書で確認します。
| 時期 | 行動 | 確認するもの |
|---|---|---|
| 確定申告後 | 前年所得から年間税額を概算し、積立を始める | 青色申告決算書・確定申告書 |
| 8月 | 納税通知書を確認し、第1期分を納付 | 税額、8月31日の納期限 |
| 9月〜10月 | 第2期分を納税用口座に残す | 第2期の納付額 |
| 11月 | 第2期分を納付 | 11月30日の納期限 |
東京都では、納期限が休日の場合は翌日です。修正申告、更正・決定、廃業などの場合は通常の8月・11月とは別の納期限になるため、通知書に記載された日を優先します。個人事業税以外の税金・申告の期限も合わせて確認したい場合は、年間期限カレンダーで一覧でき、年間を通じた主な申告・納付の流れは税金の年間スケジュールでも整理しています。
申告は別に必要?
所得税の確定申告または住民税の申告をしていれば、その内容が都道府県に共有されるため、原則として個人事業税の申告は別に必要ありません。それぞれの申告書にある「事業税に関する事項」欄は記入します。
法人成り・廃業最終年の見込控除
個人事業税は原則として実際に納付が確定した年分の必要経費になりますが(所得税基本通達37-6)、年の途中で個人事業を廃止する場合は、通常なら翌年に届く納税通知を待っていると廃業した年の所得税の必要経費に算入する機会がありません。この特例として、廃業した年分の所得税の計算上、その年分の個人事業税の課税見込額をあらかじめ必要経費に算入できます(所得税法63条、所得税基本通達37-7)。法人成りで個人事業を廃止する場合も、この見込控除の対象です。
計算式は次のとおりです。
たとえば、上の「通年営業・利益500万円・税率5%」の例で年の途中に法人成りして個人事業を廃止する場合、見込控除額は(500万円-290万円)×5%÷(1+5%)=10万円です。見込控除額を差し引いた事業所得490万円から事業主控除290万円を引いた200万円に税率5%をかけると、見込控除額と同じ10万円になり、整合します。営業期間が1年未満なら、事業主控除は上の「年途中に6か月だけ営業した場合」と同様に月割りで計算し直します。
見込控除を適用し忘れた場合は、所得税の更正の請求で追加できますが、通常の更正の請求(法定申告期限から5年以内)とは別に、事由が生じた日の翌日から2か月以内という期限があります(所得税法152条)。
納付の方法
納付は、口座振替・クレジットカード・スマートフォン決済アプリ・ペイジー・金融機関やコンビニの窓口など、さまざまな方法に対応しています(自治体により異なります)。口座振替にしておくと、納め忘れを防げます。個人事業税の必要経費区分は経費にできる税金で確認してください。
納期限後に払わないとどうなるか(延滞金・督促)
納期限までに納めないと、延滞金がかかり、督促状が届き、それでも払わなければ財産の差押えに進みます。流れは次のとおりです。
- 延滞金:納期限の翌日から納付の日までの日数に応じて加算されます。本則の割合は年14.6%(納期限の翌日から1か月を経過する日までは年7.3%)です(地方税法72条の53第1項)。
- 督促状:納期限後20日以内に、都道府県の職員が督促状を発します(地方税法72条の66第1項)。条例で異なる期間を定めている都道府県もあります。
- 差押え:督促状を発した日から10日を経過しても完納しないと、財産を差し押さえなければならないとされています(同法72条の68第1項)。
延滞金の割合には「当分の間」の特例があります。本則の割合を、その年の「平均貸付割合」(国内銀行の貸出約定平均金利をもとに財務大臣が告示する割合)に1%を足した割合(延滞金特例基準割合)と比べ、特例基準割合が7.3%より低い年は、1か月以内は特例基準割合に1%を足した割合、1か月を超える分は特例基準割合に7.3%を足した割合になります(同法附則3条の2第1項)。国税の延滞税では令和8年の平均貸付割合は年0.8%で、1か月を超える部分の割合が年9.1%、2か月以内の部分が年2.8%と示されています(財務省資料)。個人事業税の延滞金も同じ平均貸付割合を使う仕組みですが、実際の率と運用は都道府県ごとに案内されるため、納税通知書や都道府県の案内で確認してください。
納期限までに納められなかったことにやむを得ない事由があると都道府県知事が認めるときは、延滞金が減免されることがあります(同法72条の53第2項)。支払いが厳しいときは、納期限の前に、納税通知書を出した都道府県税事務所へ相談してください。
よくある計算・手続きの間違い
- 青色申告特別控除を引いたまま計算する:個人事業税では適用されないため、確定申告上の事業所得へ足し戻す。
- 年途中の開業・廃業でも290万円を全額引く:営業期間が1年未満なら事業主控除は月割額を使う。
- すべての個人事業にかかると考える:法定業種と実際の業務内容で判定され、対象外となる事業もある。
- 廃業年も確定申告だけで済ませる:年途中の廃業は、原則として廃止日から1か月以内の個人事業税申告が別途必要。
- 法人成り・廃業の年に見込控除を使わず翌年の通知を待ってしまう:個人事業を廃止すると翌年の通知を受け取れないため、廃業年分の必要経費に算入するには見込控除の手続きが必要。
公式一次情報
- 東京都主税局「個人事業税」(税額の算出、青色申告特別控除の足し戻し、事業主控除)
- 神奈川県「個人事業税」(納期、年税額1万円以下の取扱い)
- 埼玉県「個人事業税」(納期、年税額1万円以下の取扱い)
- 福岡県「個人事業税」(納期、年税額1万円以下の取扱い)
- 大阪府「個人事業税」(納期、年税額1万円以下の取扱い)
- 愛知県「個人事業税」(納期、年税額1万円以下の取扱い)
- 国税庁「所得税基本通達 37-6・37-7」(廃業した年分の必要経費算入の時期、事業を廃止した年分の課税見込額の見込控除)
- e-Gov法令検索「地方税法」(72条の53 個人の事業税の延滞金、72条の66 督促、72条の68 滞納処分、附則3条の2 延滞金の割合の特例)
- 財務省「延滞税・利子税・還付加算金について」(令和8年の平均貸付割合0.8%と延滞税の割合)
まとめ
- 個人事業税は都道府県の税金。確定申告上の事業所得には青色申告特別控除を足し戻して計算する。
- 年間税額を概算して毎月積み立て、8月・11月の納付に備える。
- 事業主控除290万円は、営業期間が1年未満なら月割りになる。
- 確定申告をしていれば通常は別申告不要だが、年途中の廃業は1か月以内の申告が必要。
- 法人成り・廃業の年は、事業主控除後の所得×税率÷(1+税率)で見込控除額を計算し、廃業年分の必要経費に算入できる。
利益に対する個人事業税・所得税・住民税の目安は、確定申告の税額試算で確認できます。個人事業税・住民税・国民健康保険をあわせた、利益別の早見表は、記事「個人事業主の税金はいくら?利益別の早見表」にまとめています。
よくある質問
- 個人事業税はいつ払いますか?
- 都道府県の税金で、年2回(第1期は8月、第2期は11月)に分けて納めます。8月ごろに都道府県(東京は都税事務所)から納税通知書が届きます。一括で納めることもできます(出典:東京都主税局)。
- 個人事業税はいくらですか?
- 事業所得から事業主控除290万円を差し引いた額に、業種別の税率(多くは第1種5%)をかけて計算します。事業所得が290万円以下なら課税されません。エンジニア・ライターなど法定70業種に含まれない事業は非課税となる場合があります(出典:東京都主税局)。
- 個人事業税の申告は必要ですか?
- 所得税の確定申告または住民税の申告をしていれば、その内容が都道府県に共有されるため、個人事業税の申告は別に必要ありません(出典:東京都主税局)。