雇用保険の例外の加入条件|同居の親族・65歳以上・更新しない契約
原則では対象外の同居の親族、週20時間未満でも入れる65歳以上、31日未満で更新しない契約の人について説明します。
労働保険の制度雇用保険の基本の条件(週20時間以上・31日以上の雇用見込み)は雇用保険の加入条件にまとめています。この記事は、その基本から外れる3つの場面を扱います。同居の親族を雇う場合、65歳以上の人が2つの事業所で働く場合、31日未満で更新しない契約の場合です。
同居の親族の3要件
徳島労働局の「被保険者となる者、ならない者の具体例」では、個人事業の事業主(実質的に代表者の個人事業と同様と認められる法人を含む)と同居している親族は、原則として被保険者になりません。次の3つにすべて当てはまる場合に限り、被保険者になる場合があります。
| 要件 | 労働局の説明 |
|---|---|
| ① 指揮命令に従っている | 業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること |
| ② 就業の実態と賃金が他の労働者と同様 | 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、賃金の決定・計算・支払方法・締切・支払いの時期などが、就業規則その他これに準ずるものに定められ、その管理が他の労働者と同様になされていること |
| ③ 事業主と利益を一にする地位にない | 取締役等でないこと |
同居の親族以外の労働者がいない場合は、被保険者になりません。家族だけで営む会社では、親族が従業員の名目でも対象にならない点に注意が必要です。
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資格取得届の添付書類
雇用保険法施行規則第6条第5項は、事業主が同居の親族(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある人を含む)などの資格取得届を出すときは、通常の届出に書類を添えるよう定めています。添える書類は、労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳、登記事項証明書など、被保険者となった事実と年月日を証明できる書類です。このほか職業安定局長が定める書類も必要です。
労働局の資料では、同居の親族の場合に必要な書類として、登記事項証明書と、その事業所で雇われている他の労働者の出勤簿などが挙げられています。同条第6項は、職業安定局長が定めるところにより、これらの書類を添えないことができるとも定めています。実際にどの書類が必要かは、提出先のハローワークで確認してください。
役員との関係
同居の親族の3つ目の要件は、取締役などの地位にないことです。そのため、同居の家族を役員にした場合、その人は同居の親族としての例外には当たりません。
役員の扱いは別の定めです。代表取締役・代表社員などの代表者は被保険者になりません。代表者以外の取締役や監査役も原則として対象外です。
部長や工場長などの従業員の身分も持つ兼務役員は、就労の実態や給料の支払いからみて労働者としての性格が強く、雇用関係が明確にある場合に限り、被保険者になります。その場合は、就業規則、登記事項証明書、賃金台帳、雇用契約書などの提出が必要です。家族を役員にする場合の注意はみなし役員と家族の役員就任で扱っています。
65歳以上の複数事業所での雇用
1つの事業所では週20時間に届かなくても、2つの事業所の合計で20時間以上になる65歳以上の人は、本人が申し出ると高年齢被保険者になれます。雇用保険法第37条の5は、次の3つの要件をすべて満たす人が、厚生労働大臣に申し出て、申出を行った日から高年齢被保険者になれると定めています。
- 2以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の人であること
- 1つの事業主の適用事業での1週間の所定労働時間が20時間未満であること
- 2つの事業主の適用事業(1つの事業主の適用事業での所定労働時間が省令で定める時間数以上のものに限る)での1週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること
3つ目の「省令で定める時間数」は、雇用保険法施行規則第65条の7で5時間と定められています。
申出は、本人が管轄のハローワークの長に、労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳などを添えて行います(同規則第65条の6第1項)。申出に係る事業主が同居の親族などに当たる場合は、登記事項証明書などの書類も添えます(同条第2項)。
事業主は、申出に必要な証明を本人から求められたときは、速やかに証明しなければなりません(同条第4項)。また、労働者がこの申出をしたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはなりません(雇用保険法第73条)。
更新しない旨の明示がある契約
31日以上の雇用見込みがあるかどうかは、雇入れの当初から判断します。徳島労働局の「被保険者について」は、契約期間が25日の場合を例に、次のように整理しています。
| 契約の内容 | 判断 |
|---|---|
| 更新しない旨の明示がある | 雇入れの当初から31日以上の雇用見込みがないと判断できるため、加入できない(日雇労働被保険者として加入できる場合がある) |
| 更新しない旨の明示があったが、契約期間の途中で31日以上の雇用見込みとなった | その事実が発生した日から加入する(例:4月20日に契約を7日延長すると、4月20日から加入) |
更新の明示がない場合は、同様の契約で雇われた人に更新などで31日以上雇われた実績があれば、31日以上の雇用見込みがあると判断できます。更新しない旨を契約書に書くかどうかで加入の判断が変わるため、契約書の文言は実際の運用に合わせて整えておきます。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「雇用保険法」(第6条:適用除外、第37条の5:高年齢被保険者の特例、第73条。2026-10-14確認)
- e-Gov法令検索「雇用保険法施行規則」(第6条第5項・第6項:同居の親族の資格取得届の添付書類、第65条の6・第65条の7:65歳以上の申出と5時間。2026-10-14確認)
- 徳島労働局「被保険者となる者、ならない者の具体例」(PDF)(同居の親族の3要件、兼務役員の扱い。2026-10-14確認)
- 徳島労働局「被保険者について」(PDF)(31日以上の雇用見込みの具体例、更新しない旨の明示がある場合。2026-10-14確認)
よくある質問
- 同居の家族を従業員として雇うと、雇用保険に入れますか?
- 原則として入れません。指揮命令に従っていること、就業の実態や賃金が他の労働者と同様であること、取締役など事業主と利益を一にする地位にないことの3つをすべて満たす場合に限り、被保険者になる場合があります(徳島労働局の資料)。同居の親族以外の労働者がいない場合は、被保険者になりません。
- 同居の親族の資格取得届には、何を添えますか?
- 雇用保険法施行規則第6条第5項により、労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳、登記事項証明書などと、職業安定局長が定める書類を添えます。労働局の資料では、登記事項証明書と、他の労働者の出勤簿などが挙げられています。必要な書類はハローワークで確認してください。
- 65歳以上で、2つの会社で週10時間ずつ働いています。雇用保険に入れますか?
- 入れる場合があります。2つの事業所の週の所定労働時間の合計が20時間以上で、1つの事業所では週20時間未満などの要件を満たすと、本人の申出から高年齢被保険者になれます(雇用保険法第37条の5・施行規則第65条の7)。事業主は申出を理由に不利益な取扱いをしてはなりません。
- 更新しない契約の25日契約は、雇用保険に入りますか?
- 更新しない旨が明示されている場合は、雇入れの当初から31日以上の雇用見込みがないと判断され、加入できません。契約の途中で31日以上雇う見込みになったときは、その事実が発生した日から加入します(徳島労働局の資料)。
