二以上事業所勤務届|複数の会社で加入するときの期限と保険料
会社員のまま自分の会社を作って役員報酬を受ける人や、2社の役員を兼ねる人は、2か所で社会保険に入ることがあります。そのときに本人が出す「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の期限、提出先、保険料の決まり方を、日本年金機構の案内で整理します。
社会保険同時に2か所以上の会社で社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入要件を満たしたときは、被保険者本人が、事実が起きた日から10日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。会社が代わりに出す届出ではない点が、ふつうの資格取得届と違います。
- 加入要件は会社ごとに判断され、両方で満たせば両方で加入します。
- 届出で「主たる事業所」を1つ選び、健康保険の保険者と事務の窓口が決まります。
- 標準報酬月額は2社の報酬月額を合算して決め、保険料は報酬の比率で2社に按分します。
届出が必要になる人
日本年金機構の案内では、被保険者が同時に2か所以上の適用事業所で使用されることになった場合に、本人の届出で主たる事業所を選ぶとされています。
同機構のリーフレットは、対象の例として次の働き方を挙げています。
- A社とB社の両方で法人の代表者になっている人
- A社で法人の代表者、B社で正社員として勤務する人
- A社とB社の両方で正社員として勤務する人
- A社とB社の両方で短時間労働者として勤務し、それぞれで加入要件を満たす人
加入するかどうかは、事業所ごとに加入要件を満たすかで判断されます。短時間労働者の要件は企業規模によって異なるため、勤務先に確認します。
会社員が副業で法人を作り、自分に役員報酬を払う場合も、法人側で加入要件を満たせばこの形になります。法人側の考え方は会社員が副業で法人を作るときで確認できます。
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提出期限・提出先・添付書類
| 項目 | 内容(日本年金機構) |
|---|---|
| 届書 | 健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届 |
| 提出する人 | 被保険者本人 |
| 提出期限 | 事実発生から10日以内 |
| 提出先 | 選択した事業所の所在地を管轄する事務センターまたは年金事務所 |
| 提出方法 | 電子申請、郵送、窓口持参 |
| 添付書類 | 資格確認書、高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証などが交付されている場合のみ |
この届書を出すには、それぞれの適用事業所で被保険者になるための資格取得届が出ていることが前提です。新たに被保険者になる場合は、事業所から資格取得届が提出されていることを確認します。
資格取得届の期限(5日以内)と書き方は、社会保険の資格取得届・喪失届で確認できます。
マイナンバーを届書に書いて出す場合は、マイナンバーが確認できる書類と身元確認書類が必要です。窓口ではマイナンバーカードを見せます。
保険料の決まり方と計算例
日本年金機構の案内では、それぞれの事業所で受ける報酬月額を合算した月額で標準報酬月額が決まります。保険料は、その標準報酬月額による保険料額を、それぞれの事業所で受ける報酬月額に基づいて按分して決まります。
決まった標準報酬月額と保険料額は、選択した事業所の所在地を管轄する事務センターから、それぞれの事業所へ通知されます。
例として、A社から月20万円、B社から月10万円の報酬を受け、合算した30万円が標準報酬月額30万円に当たる場合の厚生年金保険料を計算します。厚生年金保険料率は18.3%(労使合計)で、概算です。
| 手順 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 合算した標準報酬月額の保険料 | 30万円 × 18.3% | 5万4,900円 |
| A社の分 | 5万4,900円 × 20万円 / 30万円 | 3万6,600円 |
| B社の分 | 5万4,900円 × 10万円 / 30万円 | 1万8,300円 |
それぞれの会社は、この按分後の額を労使で折半します。健康保険料は選択した事業所の保険者の料率で同じように計算されるため、ここでは省いています。
報酬額ごとの保険料の違いは、1人社長の会社の社会保険料で確認できます。
選択のあとに起きること・注意点
- 健康保険の資格情報は、選択した事業所を管掌する保険者に登録されます。協会けんぽ加入の事業所を選ぶと、都道府県が異なれば保険者の支部も変わります。
- すでに協会けんぽの被保険者で、引き続き協会けんぽ加入の事業所を選ぶ場合は、被保険者整理番号が新しい番号に変わります。
- 健康保険組合に加入している事業所を選んだときは、組合への手続きも必要です。
- 70歳以上の人は、厚生年金保険の「70歳以上被用者所属選択・二以上事業所勤務届」を出します。
- 国や地方公共団体の短時間勤務職員で共済組合の適用を受ける場合は、国等の事業所を選びます。
どの事業所を選ぶとどちらの保険者になるかは、勤務先の健康保険の種類で変わります。迷うときは年金事務所か加入先の健康保険組合に確認してください。
よくある質問
- 二以上事業所勤務届は誰が出しますか?
- 被保険者本人です。日本年金機構の案内では、本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を事実発生から10日以内に提出します。
- 提出先はどこですか?
- 選択した事業所の所在地を管轄する事務センターまたは年金事務所です。提出方法は電子申請、郵送、窓口持参です。
- 2社で社会保険に入ると保険料は2倍になりますか?
- なりません。2社の報酬月額を合算して標準報酬月額を決め、その保険料額を各社の報酬に応じて按分します。
- 自分の会社と別の会社の両方で代表者になっている場合も対象ですか?
- 日本年金機構のリーフレットは、A社とB社の両方で法人の代表者になっている人を対象の例に挙げています。それぞれの会社で加入要件を満たすかどうかで判断されます。

