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暗号資産の利益は個人と法人でどう課税されるか(雑所得・事業所得の区分と法人の期末時価評価)

ビットコインなどの暗号資産で利益が出たときの課税を、個人と法人に分けて整理します。個人の所得区分(雑所得・事業所得)、損益通算の制限、損益の計算方法の届出、法人の期末時価評価までを、国税庁のFAQにもとづいて説明します。

国税庁FAQ(令和7年12月改訂)にもとづく
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

暗号資産の売却益や、暗号資産で商品を買ったときの値上がり益は、個人では原則として雑所得として総合課税になります。法人では、期末に持っている暗号資産に時価評価の決まりがあります。この違いが、法人にする前に確認したい点です。

この記事は、個人の所得区分、損益の計算方法、法人の期末評価の3点に絞ります。個人事業主と法人の違いの全体像は別の記事にあります。個別の税額は、税理士または税務署にご確認ください。

個人の所得区分:原則は雑所得

国税庁のFAQは、暗号資産取引で生じた利益について、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されるとしています。

その年の暗号資産取引の収入金額が300万円を超える場合は、取引の帳簿書類を保存していれば、原則として事業所得になります。帳簿書類の保存がなければ、原則として雑所得(業務に係る雑所得)です。

帳簿があっても事業所得とは限りません:FAQは、帳簿書類があっても営利性が認められない場合などは、個別に判断するとしています。

事業所得か雑所得かで、青色申告特別控除が使えるかなどが変わります。会社員や個人事業主が本業とは別に暗号資産を持つ場合の副業の区分は、事業所得と雑所得の区分の記事もあわせて確認してください。

損益通算の制限と税率

暗号資産の利益は総合課税です。他の所得と合計して所得税の税率を当てるため、課税される所得が大きいほど税率が上がります。最高税率は、課税所得4,000万円以上の部分の45%です(国税庁No.2260)。

別に復興特別所得税が、基準所得税額の2.1%かかります。

FAQは、雑所得の損失は給与所得など他の所得と通算できないとしています。損益通算ができるのは、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の損失です(所得税法69条)。暗号資産で損が出た年に、給与の所得と相殺して税額を減らすことはできません。

なお、給与の収入が1か所だけで全額が源泉徴収されている人は、給与・退職以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁No.1900)。暗号資産の雑所得も、この所得に含めて考えます。

損益の計算方法と届出

個人は、暗号資産を売ったときの原価を、総平均法か移動平均法のどちらかで計算します。暗号資産の種類ごとに選びます。

項目内容
計算方法総平均法または移動平均法(種類ごとに選ぶ)
届出「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」。初めて暗号資産を取得した年の確定申告期限(原則翌年3月15日)までに提出
届出がないとき総平均法で計算
申告に添える書類暗号資産の計算書。年間取引報告書をもとに作成できる

取引所が複数ある人は、取引所ごとではなく、暗号資産の種類ごとに計算します。年間取引報告書の数字を、そのまま合算しない点に注意してください。

法人:期末の時価評価

法人が事業年度末に持っている暗号資産のうち、活発な市場が存在するものは、時価法で評価します。評価損益は、その事業年度の益金または損金に入ります(法人税法61条)。売っていなくても、期末に値上がりしていれば、その差額に法人税がかかります。

  • 時価は、価格を公表する者が公表する、期末日の最終の売買価格が基準です。
  • 評価損益は、翌事業年度に洗い替えます。
  • 評価方法の届出がない場合、売却した暗号資産の原価は移動平均法で計算します(FAQの注記)。
期末時価評価の対象外もあります:自社で発行した一定の暗号資産や、一定の譲渡制限がついた暗号資産は、期末時価評価の対象になりません。該当するかは、FAQの定義を確認してください。

個人が暗号資産を法人へ現物出資や売却で移す場合の課税について、今回確認した国税庁のFAQには、直接の記載を見つけられていません。FAQは、個人が暗号資産を法人へ無償で渡す場合(寄附)について、時価を収入に入れ、帳簿価額を必要経費に入れるとしています。出資や売却で移す形を考えるときは、事前に税理士か税務署に確認してください。

法人にする前に確認する順番

  • 暗号資産の年間の収入金額と、帳簿書類を保存しているかを確認する。
  • 含み益がある暗号資産を、個人のまま持つか、法人へ移すかを決める。移す場合の課税は、税理士に事前に確認する。
  • 法人で持つ場合は、期末の時価評価で、売っていない値上がり益にも法人税がかかることを見積もりに入れる。
  • 法人の税率と社会保険の負担を、個人と法人の違いの記事で比べる。

どちらが有利かは、利益の大きさ、他の所得、保有の期間で変わります。個別の判断は税理士に相談してください。

まとめ

  • 個人の暗号資産の利益は、原則として雑所得。収入が年300万円を超え帳簿書類を保存していれば、原則として事業所得。
  • 総合課税のため、最高税率は45%。雑所得の損失は給与所得など他の所得と通算できない。
  • 個人の原価計算は総平均法か移動平均法。届出がなければ総平均法。
  • 法人は期末に、活発な市場がある暗号資産を時価評価し、評価損益をその年度に計上する。
  • 個人から法人へ移すときの課税は、事前に税理士か税務署に確認する。

公式一次情報

よくある質問

暗号資産の利益は何所得ですか?
国税庁のFAQでは、原則として雑所得です。収入金額が年300万円を超え、帳簿書類を保存している場合は、原則として事業所得になります。
暗号資産で損が出たら、給与と相殺できますか?
雑所得の損失は、給与所得など他の所得と通算できません(国税庁FAQ)。
損益の計算方法は選べますか?
総平均法か移動平均法を、暗号資産の種類ごとに選べます。初めて取得した年の確定申告期限までに届出をします。届出がなければ総平均法です。
法人が持つ暗号資産は、売らなくても課税されますか?
活発な市場がある暗号資産は、期末に時価で評価し、評価損益をその年度の益金または損金にします。売っていなくても、期末の値上がり益に法人税がかかります。
暗号資産を法人へ移す場合の課税は決まっていますか?
今回確認した国税庁FAQには、現物出資や売却で移す場合の直接の記載を見つけられていません。事前に税理士か税務署に確認してください。
本記事について。税理士監修前の概説です。暗号資産の所得区分や法人への移転の課税は、税理士または税務署にご確認ください。