法人の町内会費・祭り協賛金・神社寄付の経理
地元の祭りの協賛金や神社への寄付、町内会への支出を、広告宣伝費と寄附金のどちらで処理するか。国税庁の通達、タックスアンサー、国税局の事前照会回答を手がかりに考えます。
国税庁の公表資料地域の祭りや神社、町内会への支出は、広告の見返りがあるか、見返りのない贈与かで扱いが分かれます。見返りがあれば広告宣伝費の考え方、金銭の贈与なら寄附金が原則です。この記事では、区分の考え方と、法人税・消費税の扱いを説明します。
寄附金の損金算入限度額の計算は法人の寄附金の損金算入限度額で扱っています。この記事は、支出がそもそも寄附金になるのかどうかの分かれ目に絞ります。
寄附金と広告宣伝費の分かれ目
国税庁のタックスアンサーNo.5281によると、寄附金とは、寄附金、拠出金、見舞金などどんな名義でも、法人が行った金銭その他の資産や経済的利益の贈与または無償の供与をいいます。ただし、法人の事業遂行と直接関係があると認められる広告宣伝や見本品の費用、交際費、接待費、福利厚生費とされるものは、寄附金から除かれます。
No.5262も、寄附金、拠出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれる一方、これらの名義でも交際費等、広告宣伝費、福利厚生費とされるものは寄附金から除かれるとしています。つまり、名目が「協賛金」か「寄付」かでは決まらず、個々の実態を検討して判定します。
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神社の祭礼への寄贈金
措置法通達61の4(1)-2は、事業に直接関係のない者に対して金銭や物品を贈与した場合、それが寄附金か交際費等かは個々の実態で判定するとしたうえで、金銭でした贈与は原則として寄附金とするとしています。そして、交際費等に含まれないものの例として、次の2つを挙げています。
- 社会事業団体、政治団体に対する拠金
- 神社の祭礼等の寄贈金
No.5262とNo.5281も、神社の祭礼等の寄贈金を、事業に直接関係のない者に対する金銭の贈与として、原則として寄附金になる例に挙げています。広告などの見返りがなく、神社の祭礼に金銭を寄贈した場合は、寄附金として扱うのが原則です。
祭りの協賛金で広告の特典がある場合
協賛金に、協賛者名の掲載などの広告宣伝の特典が付く場合の扱いが分かる資料として、関東信越国税局の事前照会に対する文書回答(川口宿鳩ヶ谷宿日光御成道まつり)があります。広告宣伝を主な目的として協賛する企業等が支払う協賛金の取扱いを照会したもので、協賛金額に応じて、次のような特典が付く事実関係でした。
- 新聞折込チラシ、ガイドブックへの協賛者名簿の掲載
- 実行委員会ホームページへの協賛者名の掲載
- 会場設置ボード、大のぼりへの協賛者名の掲載
この事実関係に対する取扱いは、次のとおりです。
| 論点 | 照会の内容(国税局が差し支えないとしたもの) |
|---|---|
| 損金の時期 | 協賛金は一括払いで、個々の広告の対価も定められていないため、広告ごとに期間を分けて費用にすることはできない。全協賛者に共通するホームページ掲載期間を基礎に期間配分して、損金(個人は必要経費)にする |
| 物品協賛 | 広告宣伝を目的に物品を無償提供する費用(搬入・据付の費用を含む)も、その総額をホームページ掲載期間で期間配分する |
| 消費税 | 協賛金の支出は課税仕入れに係る対価の額に該当する |
見返りの特典がない協賛金は、広告宣伝費に当たる事情がなければ、前の節のとおり金銭の贈与として寄附金に当たるかを検討することになります。
町内会費はどう扱うか
法人が町内会や自治会に払う会費を直接取り上げた国税庁のタックスアンサーや通達は、今回の確認では見つかりませんでした。そのため、町内会費の勘定科目をこの資料から断定することはできません。
確認できるのは、上の区分の考え方です。会費でも、広告宣伝や福利厚生など別の性質があれば寄附金から除かれ、見返りのない金銭の贈与であれば寄附金に当たるというものです。町内会の側から何かの役務の提供を受けているのか、地域への贈与なのかを実態で整理しておくと、判断しやすくなります。
消費税の扱い
タックスアンサーNo.6463は、寄附金の支出は対価を得て行われる取引ではないため課税仕入れにならないとしています。ただし、名目は寄附でも、その寄附に対価性が認められる場合は課税仕入れになります。金銭による寄附は課税仕入れにならず、物品を購入して寄附した場合は、その物品の購入代金が課税仕入れになります。
会費については、No.6467が、同業者団体や組合に払う会費が課税仕入れになるかは、その団体から受ける役務の提供と会費との間に明らかな対価関係があるかで判定するとしています。名目が会費でも、研修費、施設利用料、情報の提供料など実質的に役務の対価と認められるものは課税仕入れです。
ただし、この案内は同業者団体や組合を対象としたもので、町内会を名指ししたものではありません。町内会では、対価関係で判定する考え方を参考にします。
会費・入会金・寄附金の消費税の判定は会費・入会金・寄附金・祝金の消費税の扱いで、同業団体の会費の法人税の扱いは同業団体の会費・加入金の経理で扱っています。
まとめ
- 協賛金、寄付、会費のどの名目でも、広告宣伝費などに当たれば寄附金から除かれ、当たらない金銭の贈与は原則として寄附金になる。
- 神社の祭礼等の寄贈金は、措置法通達61の4(1)-2で、交際費等に含まれない例(寄附金になる例)に挙がっている。
- 広告の特典が付く祭りの協賛金は、国税局の事前照会回答で、共通の広告期間を基礎に期間配分して損金にする扱いが示されている(個別の事実関係についての回答)。
- 町内会費を直接扱う国税庁の資料は確認できず、実態で判断する。
- 消費税は、寄附は課税仕入れにならず、対価性があれば課税仕入れになる。
公式情報
- 国税庁 措置法通達61の4(1)-1・61の4(1)-2(交際費等の範囲・寄附金との区分)
- 国税庁タックスアンサーNo.5262 交際費等と寄附金との区分
- 国税庁タックスアンサーNo.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算
- 関東信越国税局 文書回答事例 川口宿鳩ヶ谷宿日光御成道まつりにおいて協賛者が支出する費用の税務上の取扱いについて(照会)
- 国税庁タックスアンサーNo.6463 寄附金や交際費の取扱い
- 国税庁タックスアンサーNo.6467 会費や入会金の仕入税額控除
よくある質問
- 神社のお祭りに出した寄付は、経費になりますか?
- 神社の祭礼等の寄贈金は、原則として寄附金になる例に挙げられています。寄附金は損金に算入できる額に限度があります(出典:国税庁No.5262、措置法通達61の4(1)-2)。
- 祭りの協賛金で広告に名前が載る場合、寄附金になりますか?
- 広告宣伝を目的とし、特典として協賛者名が掲載される協賛金について、関東信越国税局の事前照会回答は、共通の広告期間で期間配分して損金にする扱いを差し支えないとしています。実態で判断され、この回答は個別の事実関係についてのものです。
- 町内会費は、寄附金と広告宣伝費のどちらですか?
- 町内会費を直接取り上げた国税庁の資料は確認できていません。広告宣伝など別の性質があれば寄附金から除かれ、見返りのない金銭の贈与なら寄附金に当たるという区分の考え方で、実態を整理します(出典:国税庁No.5262、No.5281)。
- 寄附金には消費税の仕入税額控除は使えますか?
- 寄附金の支出は課税仕入れになりません。名目が寄附でも対価性が認められる場合は課税仕入れになります(出典:国税庁No.6463)。

