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法人の寄附金の損金算入限度額:一般寄附金・指定寄附金・国等への寄附金の違い

法人が寄附をしたとき、全額を経費(損金)にできるとは限りません。支出先ごとの区分と、一般寄附金の限度額の計算式を、条文と国税庁の資料で整理します。

法人税
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人が支出した寄附金は、支出先で扱いが分かれます。国や地方公共団体への寄附金と財務大臣が指定した指定寄附金は、原則として全額が損金になります。

特定公益増進法人への寄附金は、一般とは別枠の限度額まで損金になります。それ以外の一般寄附金は、資本金等と所得から計算する限度額までです。

普通法人の一般寄附金の限度額は、(資本金等の額×月数÷12×0.25%+所得の金額×2.5%)×1/4で計算し、小さい会社ほど寄附金の損金算入枠は小さくなります。個人事業主の寄附金控除とは仕組みが別です。

寄附金の区分と損金算入の扱い

国税庁のタックスアンサーNo.5281は、寄附金を支出先で次の6つに分けています。

支出先の区分損金算入の扱い
一般の寄附金(下の5つ以外)限度額の範囲内で損金算入
完全支配関係がある他の法人への寄附金全額が損金不算入
国・地方公共団体への寄附金原則として全額が損金算入
指定寄附金(財務大臣が指定)原則として全額が損金算入
特定公益増進法人への寄附金一般とは別枠の特別限度額の範囲内で損金算入
国外関連者への寄附金全額が損金不算入

寄附金は、法人が支出した金額のうち、限度額を超える部分が損金不算入になるしくみです(法人税法37条)。損金不算入額は法人税の所得に加算されます。法人税の税率は法人税の税率、決算申告の全体は法人の決算と申告を参照してください。

一般寄附金の限度額の計算式

法人税法施行令73条1項1号は、普通法人などの限度額を次の式で定めています。

普通法人の一般寄附金の損金算入限度額:(期末の資本金の額と資本準備金の額の合計額×当期の月数÷12×1,000分の2.5+所得の金額×100分の2.5)×4分の1

資本や出資を持たない法人(資本のない普通法人など)、非営利型の一般社団法人・一般財団法人などは、所得の金額×1.25%が限度額です(同項2号)。

式の「所得の金額」は、繰越欠損金の控除などを適用しない場合の金額とされています(同条2項)。実際の申告では、この調整後の所得で計算します。

架空の計算例:資本金等1,000万円、所得の金額800万円、12か月決算の普通法人の場合。資本金等の部分は1,000万円×12÷12×2.5÷1,000=25,000円、所得の部分は800万円×2.5%=200,000円で、合計225,000円の4分の1、限度額は56,250円です。一般寄附金を100,000円支出したなら、56,250円が損金算入、残り43,750円が損金不算入になります。

特定公益増進法人への寄附金は別枠

特定公益増進法人には、独立行政法人、日本赤十字社、公益社団法人・公益財団法人、一定の学校法人、社会福祉法人、更生保護法人などが含まれます(法人税法施行令77条)。主たる目的の業務に関連する寄附金は、一般の限度額とは別に、次の特別損金算入限度額まで損金になります(同令77条の2)。

普通法人の特別損金算入限度額:(資本金等の額×当期の月数÷12×1,000分の3.75+所得の金額×100分の6.25)×2分の1

特別限度額を超えた部分は、一般寄附金の限度額の範囲で損金に算入されます(国税庁タックスアンサーNo.5283)。

架空の計算例:前の例と同じ会社(資本金等1,000万円、所得800万円、12か月)の特別限度額は、(1,000万円×3.75÷1,000+800万円×6.25%)×1/2=(37,500円+500,000円)×1/2=268,750円です。この会社が公益社団法人に300,000円、そのほか一般の寄附金として100,000円を支出したとします。
公益社団法人への分のうち268,750円は特別枠で損金になり、超えた31,250円は一般寄附金に加わって131,250円になります。一般の限度額56,250円との差、75,000円が損金不算入です。

国等への寄附金と指定寄附金

国や地方公共団体への寄附金は、寄附をした法人が設備を専属的に利用するなど特別の利益が及ぶと認められるものを除き、限度額の計算に入れず全額が損金になります(法人税法37条3項1号)。

指定寄附金は、公益法人などへの寄附金のうち、広く一般に募集され、教育・科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献など公益の増進に寄与する緊急を要する支出に充てられることが確実なものとして、財務大臣が指定したものです(同項2号)。指定された寄附金は、財務省のホームページの告示で確認できます(国税庁タックスアンサーNo.5281)。寄附先が公益法人でも、財務大臣の指定がなければ指定寄附金にはなりません。

国等への寄附金と指定寄附金は、確定申告書にその額と明細を記載した書類を添付した場合に限り、限度額の計算から除かれます(同条9項)。

寄附金に当たるもの・当たらないもの

寄附金は、寄附金・拠出金・見舞金など名目を問わず、金銭その他の資産や経済的な利益を贈与または無償で与えたものをいいます(法人税法37条7項)。時価より低い価額で資産を譲渡したときの差額のうち、実質的な贈与と認められる部分も含まれます(同条8項)。

広告宣伝費・見本品費用、交際費・接待費、福利厚生費とされるものは寄附金から除かれます。取引先への贈答や接待は法人の交際費の扱いになります。役員が個人として負担すべき支出を法人が払った場合は、寄附金ではなく給与として扱われます(国税庁タックスアンサーNo.5281)。

寄附金の支出は、経理処理にかかわらず、実際に金銭などで支払ったときに認識します。未払の寄附金や未決済の手形払は含まれず、仮払の寄附金は含まれます(同No.5281)。

個人事業主が寄附をした場合の控除は、所得税の寄附金控除で別に整理しています。

申告で出す明細書

寄附金の損金算入の計算は、確定申告書に別表十四(二)「寄附金の損金算入に関する明細書」を添付して行います。特定公益増進法人への寄附金では、その法人の主たる目的の業務に関連する寄附金であることを証する書類などを保存しておく必要があります(国税庁タックスアンサーNo.5283)。

まとめ

  • 国等への寄附金と指定寄附金は原則全額損金。完全支配関係のある法人・国外関連者への寄附金は全額損金不算入。
  • 特定公益増進法人への寄附金は、別枠の特別限度額まで損金算入。超えた分は一般寄附金に加わる。
  • 一般寄附金の限度額は、普通法人なら(資本金等×月数÷12×0.25%+所得×2.5%)×1/4。
  • 申告では別表十四(二)を添付し、国等・指定寄附金は明細書の添付が要件。

公式一次情報

よくある質問

法人が寄附をすると、全額を経費にできますか?
全額とは限りません。国や地方公共団体への寄附金と指定寄附金は原則全額、特定公益増進法人への寄附金は別枠の限度額まで、それ以外は一般寄附金の限度額までが損金になります。
一般寄附金の限度額はどう計算しますか?
普通法人は、(資本金等の額×当期の月数÷12×1,000分の2.5+所得の金額×100分の2.5)×4分の1です。資本のない法人などは、所得の金額×1.25%です。
特定公益増進法人への寄附金は、一般寄附金と合算しますか?
別枠です。特別損金算入限度額まで損金になり、超えた分は一般寄附金の限度額の計算に加わります。
寄附先が公益法人なら指定寄附金になりますか?
なりません。指定寄附金は財務大臣が指定したものだけで、財務省の告示で確認します。公益社団法人や公益財団法人は、指定がなくても特定公益増進法人として別枠の扱いを受けられます。
取引先への贈答は寄附金ですか?
交際費や広告宣伝費とされるものは寄附金から除かれます。事業と直接関係のない相手への贈与は、原則として寄附金です。
本記事について。専門家監修前の概説です。2026年10月7日時点の条文と国税庁の公開情報にもとづく一般的な案内で、個別の税務判断に代わるものではありません。実際の判定は、所轄の税務署または税理士へご確認ください。