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発明・社内提案の報奨金は何の所得?給与・一時所得・譲渡所得の区分

会社が従業員や役員に支給する発明の報奨金や社内提案の賞金は、特許の承継か、通常の職務の範囲内かなどで、給与所得・一時所得・譲渡所得・雑所得に分かれます。国税庁タックスアンサー2592で、区分と源泉徴収が必要になる場合を整理します。

国税庁の取扱い
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

社内提案制度で業務改善のアイデアに賞金を出す。従業員が開発した発明の特許を会社が引き継いで報奨金を払う。こうした支給は、全部が給与になるわけではありません。

国税庁のタックスアンサー2592では、報奨金や賞金の所得の区分は、特許等の権利を会社が承継したか、通常の職務の範囲内の工夫か、支給が一時か継続的かなどで分かれます。区分によって、源泉徴収が必要かどうかも変わります。

ほかの従業員向けの支給は「永年勤続表彰・創業記念品の非課税の条件」「従業員の資格取得費用・研修費の課税」で整理しています。

支給の種類と所得の区分

業務上有益な発明や考案をした役員または使用人に、使用者が支給する報償金、表彰金、賞金等の取扱いは、次の表のとおりです。

支給の場面所得の区分
特許等を受ける権利や特許権等を会社が承継するとき、一時に支給譲渡所得
権利を承継した後に支給雑所得
会社が特許を受ける権利を最初から取得する制度で、相当の利益として支給雑所得(源泉徴収は不要)
本人が取得した特許権等に実施権を設定したことで支給雑所得(使用料は源泉徴収の対象)
社内提案など、通常の職務の範囲内の工夫給与所得
通常の職務の範囲外の工夫で、一時に支給一時所得
通常の職務の範囲外の工夫で、実施後の成績等に応じ継続的に支給雑所得

特許等の権利に関わる支給

対象になる権利は、特許、実用新案登録、意匠登録を受ける権利と、特許権、実用新案権、意匠権です。

権利の承継のときに一時に支給されるものは譲渡所得、承継した後に支給されるものは雑所得です。支給のタイミングで区分が変わります。

会社が職務発明の特許を受ける権利を最初から取得する制度(使用者原始帰属制度)では、発明者は会社から相当の利益を受ける権利を持ちます。この権利に基づく支給は雑所得で、源泉徴収の必要はありません。

従業員や役員が自分で取得した特許権等に、通常実施権または専用実施権を設定して会社から支給を受けるときも、雑所得です。この特許権等の使用料は、源泉徴収の対象となる報酬・料金に当たります。支給のときに10.21%(1回の支払額が100万円を超える部分は20.42%)の源泉徴収が必要です。

社内提案・工夫への賞金

特許等を受けるまでに至らない工夫にも取扱いがあります。社内提案制度で、事務や作業の合理化、製品の品質の改善、経費の節約などに寄与する工夫をした人への支給です。

  • 通常の職務の範囲内の工夫:給与所得
  • 通常の職務の範囲外で、一時に支給:一時所得
  • 通常の職務の範囲外で、実施後の成績等に応じて継続的に支給:雑所得

その人の本来の仕事の範囲内の提案への賞金は、給与所得になります。給与として扱うときは、源泉徴収の対象になる給与の支払いに含めて処理することになるため、給与計算の担当者への共有が必要です。

災害防止の功績・篤行への一時金

災害や災害による損害の防止に功績のあった人に一時に支給するときの区分は、その防止が通常の職務の範囲内かで分かれます。

  • 通常の職務の範囲内:給与所得(賞与)。例は、災害の防止を本来の職務とする守衛などへの支給
  • 通常の職務の範囲外:一時所得

人命救助などの篤行により社会的に顕彰され、使用者に栄誉を与えた人に一時に支給されるものは、一時所得です。

表彰の記念品や、永年勤続の表彰は別の取扱いです。「永年勤続表彰・創業記念品の非課税の条件」を参照してください。

まとめ

  • 特許等の権利を会社が承継するとき、一時に支給されるものは譲渡所得、承継後に支給されるものは雑所得
  • 会社が最初から権利を取得する制度での相当の利益は雑所得で、源泉徴収は不要
  • 本人の権利に実施権を設定した使用料は雑所得で、10.21%(100万円超の部分は20.42%)の源泉徴収が必要
  • 社内提案は、通常の職務の範囲内なら給与所得、範囲外の一時支給なら一時所得、継続支給なら雑所得

公式一次情報

よくある質問

社内提案の賞金は、給与として課税されますか?
その人の通常の職務の範囲内の工夫なら給与所得です。範囲外で一時に支給するなら一時所得、実施後の成績に応じて継続的に支給するなら雑所得です。
従業員の特許を会社が買い取ると、何の所得ですか?
特許を受ける権利や特許権を会社が承継する際に一時に支給されるものは譲渡所得、承継した後に支給されるものは雑所得です。
職務発明の相当の利益に、源泉徴収は必要ですか?
会社が特許を受ける権利を最初から取得する制度に基づく相当の利益の支給は雑所得で、源泉徴収の必要はありません。
特許権の使用料に源泉徴収は必要ですか?
役員や使用人が取得した特許権等に実施権を設定した場合の使用料は、報酬・料金に当たり、10.21%の源泉徴収が必要です。1回の支払額が100万円を超える部分は20.42%です。
守衛への災害防止の賞金は何の所得ですか?
災害の防止を本来の職務とする守衛などへの支給は、給与所得(賞与)です。
本記事について。税理士監修前の概説です。取扱いは国税庁タックスアンサーの令和8年4月1日現在のもので、個別の支給が当てはまるかどうかは事情で判断が変わることがあります。実際の処理は、所轄の税務署、または顧問税理士にご確認ください。