一時所得の計算方法(特別控除50万円・2分の1課税)と対象になるもの
懸賞金、生命保険の満期金、法人から受け取った金品などは一時所得になります。計算式、50万円の特別控除、税額を出すときの2分の1、源泉分離課税になる例外を、国税庁タックスアンサーNo.1490と法令で確認します。
国税庁タックスアンサーNo.1490・所得税法34条一時所得は、事業や給与のように続けて得る収入ではなく、たまたま受け取った金品にかかる所得です。事業をしている人でも、事業と関係なく受け取ったものは事業所得ではなく一時所得として計算します。
この記事は、一時所得の定義、計算式、計算例、確定申告が要るかどうかの見方をまとめます。ふるさと納税の返礼品に限った話はふるさと納税の返礼品と一時所得で扱っています。
一時所得とは(対象になるもの)
所得税法34条は、一時所得を、ほかの8つの所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、労務や資産の譲渡の対価ではないものと定めています。国税庁のNo.1490が挙げる例は次のとおりです。
| 例 | 国税庁が付ける条件 |
|---|---|
| 懸賞や福引きの賞金品 | 業務に関して受けるものを除く |
| 競馬や競輪の払戻金 | 営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く |
| 生命保険の一時金、損害保険の満期返戻金等 | 業務に関して受ける生命保険の一時金を除く |
| 法人から贈与された金品 | 業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除く |
| 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の報労金等 | なし |
| 資産の移転等の費用に充てるための交付金のうち、目的の支出に充てられなかった分 | なし |
「業務に関して受けるもの」は一時所得から除かれます。たとえば事業の取引先から事業の売上に関連して受け取る金品は、事業所得などの別の所得として扱われます。事業と無関係の懸賞金や保険の満期金は、個人事業主でも一時所得です。
この記事の内容を申告書に落とすときの本PR
記事で確かめた内容を、申告書の記入や帳簿の付け方まで一冊で追いたいとき向けです。
一時所得の金額の計算式
国税庁のNo.1490と所得税法34条2項・3項は、一時所得の金額を次のとおり説明しています。
引ける「支出した金額」は、その収入を生じた行為をするため、またはその収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限られます。収入に直接ひもづかない費用は引けません。
特別控除は最高50万円です。法令では、収入から支出を引いた残りが50万円に満たないときは、その残りの額が特別控除の額になります。このため、一時所得の金額がマイナスになることはありません。
生命保険の一時金は払込保険料を引く
生命保険契約などに基づく一時金を受け取ったとき、一時所得の計算で引く「支出した金額」には、その契約の保険料または掛金の総額が入ります。所得税法施行令183条2項2号の定めです。
同じ条の2項1号では、その一時金とともに、または支払を受けた後に受け取る剰余金や割戻金は、一時所得の総収入金額に加えると定めています。保険金を受け取るときは、満期金の額だけでなく、あわせて受け取る配当金も収入に入れます。
- 引く保険料は、その契約の保険料または掛金の総額。実際の金額は契約ごとに異なるため、保険会社の案内で確認する。
- 年金形式で受け取る保険金は、一時所得ではなく雑所得として別の計算になる(同条1項)。
- 確定給付企業年金などの一時金は、一時所得にならない場合がある。受け取る一時金の種類は、支払元の案内で確認する。
計算例(懸賞金と保険の満期金)
数字はすべて説明用の仮定です。実際の金額は、契約や支払の内容で変わります。
| ケース | 総収入 | 支出した金額 | 特別控除前の残り | 特別控除 | 一時所得の金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 懸賞の賞金を受け取った | 80万円 | 0円 | 80万円 | 50万円 | 30万円 |
| 養老保険の満期金を受け取った | 300万円 | 240万円(払込保険料の総額) | 60万円 | 50万円 | 10万円 |
| 景品などで総収入が40万円 | 40万円 | 0円 | 40万円 | 40万円(残りが50万円未満のため) | 0円 |
1年間に複数の一時所得がある場合は、収入を合計し、支出を合計して、1回だけ50万円の特別控除を差し引きます。所得税法34条2項が、その年中の一時所得の総収入金額の合計額から支出の合計額を引くと定めているためです。
税額の計算では2分の1にする
No.1490は、一時所得の金額の2分の1に相当する金額を、給与所得などほかの所得の金額と合計して総所得金額を求め、そこから税額を計算すると説明しています。所得税法22条2項2号も、譲渡所得(一定のものを除く)と一時所得の合計額の2分の1を総所得金額に入れると定めています。
上の懸賞金の例なら、一時所得の金額30万円のうち、総所得金額に入るのは15万円です。
例外もあります。No.1490によると、懸賞金付預貯金等の懸賞金等や、保険期間が5年以内などの要件を満たす一時払養老保険・一時払損害保険等の差益は、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、地方税5%)の源泉分離課税です。この場合は確定申告を行えません。
給与をもらっている人の確定申告の要否
法人成りして役員報酬を受け取っている人や、会社員の人は、給与所得に加えて一時所得がある場合の確定申告の要否が気になります。国税庁のNo.1900は、給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収の対象となる場合、給与所得と退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は確定申告が必要としています。
No.1900は、この「各種の所得金額」に一時所得がどう入るか、2分の1にする前後のどちらで数えるかを、個別には書いていません。迷うときは、一時所得の金額を計算したうえで、税務署や国税庁の相談窓口に確認してください。
- 給与の年間収入が2,000万円を超える人は、ほかの所得にかかわらず確定申告が必要。
- 同族会社の役員で、その会社から貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取る人は、確定申告が必要な場合がある。
- 確定申告が不要な場合でも、還付を受けたいときは申告できる(国税庁No.1900)。
予定納税が関係する年は予定納税の対象判定、確定申告全体の期限は還付申告の記事でも確認できます。
公式一次情報
よくある質問
- 一時所得の特別控除はいくらですか?
- 最高50万円です。収入から支出を引いた残りが50万円に満たないときは、その残りの額が特別控除になります(所得税法34条3項)。
- 一時所得はなぜ2分の1にするのですか?
- 税額の計算では、一時所得の金額の2分の1に相当する金額を総所得金額に入れる決まりです(国税庁No.1490、所得税法22条2項2号)。なぜそうなっているかの理由は、国税庁の同ページには書かれていません。
- 生命保険の満期金は一時所得になりますか?
- 一時金で受け取り、業務に関して受けるものでなければ、一時所得に当たります(国税庁No.1490)。年金形式で受け取る場合は雑所得です(所得税法施行令183条1項)。
- 個人事業主が受け取った賞金は一時所得ですか?
- 業務に関して受けるものは一時所得から除かれます。事業と関係なく受け取った懸賞や福引きの賞金品は一時所得です。
- 一時所得が50万円以下なら申告はいりませんか?
- 特別控除で一時所得の金額が0円になる場合は、一時所得による所得はありません。ただし、ほかの所得があるときや還付を受けたいときの申告は別に判断が要ります。
まとめ
- 一時所得の金額は、総収入-支出した金額-特別控除(最高50万円)で求める。
- 生命保険の一時金では、その契約の保険料総額を支出した金額として引く。
- 税額の計算では、一時所得の金額の2分の1を総所得金額に入れる。
- 懸賞金付預貯金や一定の一時払保険の差益は、源泉分離課税で確定申告できない。
次に知りたいことは、ふるさと納税の返礼品と一時所得、予定納税の対象判定、給与所得控除の早見表です。

