ガイド

予定納税の対象判定|前年還付・開業1年目・譲渡所得

予定納税の通知が来る人と来ない人の分かれ目を、国税庁の定める予定納税基準額の考え方から整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

前年分が還付申告なら、原則として今年の予定納税は発生しません。予定納税の基準は前年分の申告納税額(予定納税基準額)で、これが15万円以上の人だけが対象です。還付なら納める税額が出ていないため15万円に届かず、通知も来ません(国税庁「No.2040 予定納税」)。

「前の年は確定申告で還付だった。今年は予定納税を払うのか」「開業したばかりでも通知は来るのか」という疑問は、予定納税の判定の仕組みを知ると自分で答えが出せます。

予定納税は、自分で対象かどうかを申し出る制度ではありません。税務署が前年分の税額から基準額を出し、15万円以上の人にだけ通知します。その基準額の決まり方と、よくあるケース別の見方をまとめます。

判定は予定納税基準額が15万円以上かどうか

予定納税の対象になるのは、予定納税基準額が15万円以上の人です。基準額は、その年の5月15日現在で確定している前年分の所得金額や税額などをもとに計算します(国税庁「No.2040 予定納税」)。

原則として、前年分の申告納税額がそのまま予定納税基準額になります。15万円以上なら、所轄の税務署長から6月15日までに書面またはe-Taxで予定納税額が通知されます。

つまり:自分で申請する制度ではなく、前年の申告納税額が15万円以上なら通知が届く、という順番です。通知が来なければ、その年の予定納税はありません。

制度の全体像と納付の流れは、個人事業主の予定納税とはで整理しています。この記事は「自分は対象か」の判定に絞ります。

ケース別の見方(還付・赤字・開業1年目)

判定の物差しは「前年分の申告納税額」です。次のように考えると、通知の有無の見当がつきます。

  • 前年が還付申告だった:納める税額が出ていないため、基準額が15万円以上になりません。予定納税の通知は来ない見込みです。
  • 前年が赤字だった:所得税が出ないので、同じく基準額は15万円に届きません。
  • 開業1年目(前年に事業所得がない):基準額のもとになる前年分の税額がなく、通知は来ない見込みです。開業した年の税額は翌年3月の確定申告で確定し、開業2年目の予定納税の判定に使われます。開業した年に15万円以上の納税額が出た人は、開業2年目に通知が来ることがあります。
  • 前年の申告納税額が15万円未満:基準額が15万円に届かないため、通知は来ません。
注意:「前年の売上が多かった」ことは判定に関係しません。見るのは、確定申告で出た納税額です。青色申告特別控除や各種の所得控除で納税額が小さくなっていれば、売上が大きくても対象外になることがあります。

なお、給与や報酬から源泉徴収されている税額は、納める額から差し引かれます。源泉徴収が多い人は、申告納税額が小さくなりやすい点も押さえておきましょう。

譲渡所得・一時所得・雑所得があるときの計算

前年の所得に一定の種類が含まれていると、基準額は「申告納税額そのまま」ではなく、別の計算になります。国税庁は、次のいずれかに当てはまる場合を例外としています。

  • 前年分の所得に、山林所得・退職所得などの分離課税の所得(分離課税の上場株式等の配当所得等を除く)、または譲渡所得・一時所得・雑所得・平均課税を受けた臨時所得が含まれている
  • 前年分の所得税で外国税額控除の適用を受けている
  • 前年分の所得税で災害減免法の適用を受けている

この場合は、これらの所得(除外所得)がなかったものとして計算した税額から、除外所得に係らない源泉徴収税額を差し引き、復興特別所得税額を加えた金額が基準額になります。災害減免法の適用があった年は、その適用がなかったものとして計算します。

ポイント:前年にふるさと納税の返礼品などで一時所得があった年、不動産や資産を売って譲渡所得があった年、副業の雑所得があった年は、その分が基準額に入りません。確定申告の納税額が大きくても、予定納税の基準額はそれより小さくなることがあります。

上場株式の配当などを分離課税で申告した場合の扱いは、国税庁の説明で別に定められています。細かい計算は、通知書に載る金額で確認するのが確実です。

数字で見る判定の例

金額を仮に置いた例です(実際の通知額は税務署の計算によります)。

前年分の状況(例)基準額の見方通知
申告納税額が90万円90万円(原則どおり)来る。7月と11月に30万円ずつ
申告納税額が12万円15万円未満来ない
還付申告で納税額なし15万円未満来ない
開業1年目で前年の所得なし前年の税額がない来ない

基準額が90万円なら、その3分の1にあたる30万円ずつを第1期(7月1日〜7月31日)と第2期(11月1日〜11月30日)に納めます。納めた額は、翌年の確定申告で年間の税額から差し引いて精算します。

令和8年度税制改正の基礎控除の見直しは、予定納税額の計算では考慮されず、確定申告の際に最終的な年間の所得税額で精算されます(国税庁)。

通知が来たあとの動き

通知が届いたら、まず金額と納期限を通知書で確認します。今年の所得が前年より減りそうなら、予定納税の減額申請ができます。第1期分・第2期分の申請は7月1日〜7月15日、第2期分のみは11月1日〜11月15日です。

対象ケースや期限は予定納税の減額申請、納付の流れは個人事業主の予定納税とはにまとめています。

通知が来ない場合でも、確定申告で納税額が出れば、その納税額が翌年の判定に使われます。前年の利益を入れた所得税の目安は、確定申告の税額試算で確認できます。

次に知りたいことは、確定申告のやり方、所得税の納付方法、還付申告のやり方です。

まとめ

  • 予定納税の対象かどうかは、予定納税基準額が15万円以上かで決まる。
  • 基準額は、原則として前年分の申告納税額。通知は6月15日までに届く。
  • 前年が還付・赤字・開業1年目などで納税額が出ていなければ、通知は来ない見込み。
  • 譲渡所得・一時所得・雑所得などがある年は、それらを除いた計算になる。
  • 通知後に所得が減りそうなら、減額申請を検討する。

公式一次情報

よくある質問

前年が還付申告でした。今年の予定納税は発生しますか?
予定納税は、前年分の申告納税額などから計算した予定納税基準額が15万円以上の人が対象です。還付で納税額が出ていなければ、基準額が15万円に届かないため、通知は来ない見込みです(出典:国税庁)。
開業したばかりでも予定納税の通知は来ますか?
基準額は前年分の所得や税額をもとに計算します。前年に事業所得がなく税額が出ていなければ、15万円以上にならず、通知は来ない見込みです。開業2年目で、開業した年に15万円以上の納税額が出ていれば、通知が来ることがあります。
予定納税の通知はいつ届きますか?
対象の人には、税務署長からその年の6月15日までに、書面またはe-Taxで通知されます(出典:国税庁)。
前年に一時所得や譲渡所得があると基準額はどうなりますか?
譲渡所得・一時所得・雑所得などの除外所得がある場合は、これらがなかったものとして計算した税額をもとに基準額を出します(出典:国税庁)。
通知が来ない年は何もしなくてよいですか?
予定納税の納付は不要です。ただし、確定申告で年間の所得税を計算して納める手続きは、通常どおり必要です。
本記事について。税理士監修前の概説です。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は税務署または専門家へご確認ください。