給与所得控除の早見表(令和8・9年分)最低74万円・上限195万円
給与所得控除は、給与や役員報酬の収入から差し引ける、会社員向けの経費に代わる控除です。令和8年分・令和9年分の控除額の速算式と、収入別の早見表、役員報酬を取る法人成り後の計算例を、国税庁タックスアンサーNo.1410で確認します。
国税庁タックスアンサーNo.1410・令和8年分・令和9年分法人成りをすると、自分への報酬は事業の所得ではなく、会社から受け取る役員報酬(給与所得)になります。このとき、収入の金額に応じた給与所得控除が自動的に差し引かれます。控除の最低額は令和8年分から変わりました。
この記事は、給与所得控除の計算式と早見表、令和7年分との違い、役員報酬での計算例をまとめます。役員報酬の金額をどう決めるかは役員報酬の決め方で扱っています。
給与所得控除とは(給与所得の計算式)
国税庁のNo.1410は、給与所得の金額を、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出すると説明しています。給与所得控除額は、収入金額に応じて決まります。
事業所得なら、売上から実際に使った必要経費を引きます。給与所得は、実際の経費の代わりに、この控除が自動で差し引かれる仕組みです。法人成りで個人事業の経費が会社の経費に移る点は、個人事業と法人の違いでも比較しています。
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令和8年分・令和9年分の速算式
令和8年12月1日に施行され、令和8年分と令和9年分に適用される控除額は次のとおりです(収入金額は給与所得の源泉徴収票の支払金額)。
| 給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 220万円まで | 74万円 |
| 220万円超〜360万円 | 収入金額×30%+8万円 |
| 360万円超〜660万円 | 収入金額×20%+44万円 |
| 660万円超〜850万円 | 収入金額×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
同じ年に給与所得の源泉徴収票が2枚以上ある場合は、支払金額を合計して表に当てはめます。
収入別の早見表(令和8・9年分と令和7年分)
上の速算式で計算した、収入ごとの控除額の目安です。令和7年分の最低額は、収入190万円までが65万円でした。
| 給与等の収入 | 令和8・9年分の控除額 | 令和7年分の控除額 |
|---|---|---|
| 100万円 | 74万円 | 65万円 |
| 200万円 | 74万円 | 68万円 |
| 240万円 | 80万円 | 80万円 |
| 300万円 | 98万円 | 98万円 |
| 360万円 | 116万円 | 116万円 |
| 480万円 | 140万円 | 140万円 |
| 600万円 | 164万円 | 164万円 |
| 700万円 | 180万円 | 180万円 |
| 850万円以上 | 195万円 | 195万円 |
令和8年分の改正で変わったのは、低い収入の部分です。令和7年分は、190万円超から速算式(収入×30%+8万円)に入っていました。令和8年分・令和9年分は、最低額が74万円に上がり、220万円までその額が続きます。
収入が240万円以上になると、2つの年分で控除額は同じです。
役員報酬での計算例
役員報酬は、会社から受け取る給与等として給与所得になります。年間の役員報酬を前提にした、給与所得の目安は次のとおりです(社会保険料や基礎控除などの所得控除は入れていません)。
| 月額 | 年間収入 | 給与所得控除額 | 給与所得の目安 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 120万円 | 74万円 | 46万円 |
| 20万円 | 240万円 | 80万円 | 160万円 |
| 30万円 | 360万円 | 116万円 | 244万円 |
| 50万円 | 600万円 | 164万円 | 436万円 |
この給与所得から、社会保険料控除や基礎控除などを差し引いた残りが、課税される所得です。役員報酬を増やすと給与所得控除も増えますが、会社の利益は減り、社会保険料は増えます。どこで釣り合うかは一人社長の社会保険料で確認できます。
- 収入が220万円以下の部分は控除額が一定の74万円なので、報酬を増やすほど給与所得は増える。
- 850万円を超えると控除は195万円で止まり、増えた報酬はそのまま給与所得に積み上がる。
- 役員報酬の改定時期には、法人税法上の制限(定期同額給与)があるので、期の途中での改定は事前に確認する。
220万円未満・660万円未満の計算の特例
国税庁は、表の金額と別に、次の2つの扱いを案内しています。
| 収入の範囲 | 給与所得の求め方 |
|---|---|
| 69万1,000円以上74万1,000円未満 | 給与所得はなし |
| 74万1,000円以上219万1,000円未満 | 収入金額-74万円 |
| 219万1,000円以上220万円未満 | 収入に応じて145万1,000円〜145万6,000円と定められている |
| 660万円未満 | 所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)で求める |
660万円未満の収入は、実際の給与所得の金額を別表第五から求めます。早見表で求めた金額は概算で、正確な金額は、年末調整や確定申告で使う別表第五の金額が基準になります。
役員報酬を決めたあとの年末調整の流れは法人の年末調整で説明しています。
公式一次情報
よくある質問
- 給与所得控除の最低額はいくらですか?
- 令和8年分・令和9年分は74万円です。令和7年分は65万円でした(国税庁No.1410)。
- 給与所得控除の上限はいくらですか?
- 給与等の収入金額が850万円を超えると、195万円が上限です(国税庁No.1410)。
- 役員報酬にも給与所得控除は使えますか?
- 役員報酬は給与所得として扱われるため、給与所得控除が差し引かれます。ただし、事業所得になる個人事業の売上には使えません。
- 年収360万円の給与所得はいくらですか?
- 速算式では控除額が116万円で、給与所得の目安は244万円です。660万円未満の収入は別表第五で求めるため、実際の金額とは異なることがあります。
- 個人事業主にも給与所得控除はありますか?
- 事業所得の個人事業主には給与所得控除はなく、売上から必要経費を差し引きます。給与の収入がある場合に限り、その給与に控除が使えます。
まとめ
- 給与所得は、収入金額から給与所得控除額を引いて求める。
- 令和8・9年分は、収入220万円までの控除額が74万円、850万円超で195万円が上限。
- 令和7年分の最低額は65万円で、240万円以上の収入では令和8年分と控除額が同じ。
- 660万円未満の収入は別表第五で給与所得を求めるため、早見表は目安。
次に知りたいことは、役員報酬の決め方、一人社長の社会保険料、年収の壁です。

