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一人法人でも必要な株主総会と議事録|年1回の開催義務と過料リスク

社長1人のマイクロ法人でも、株主総会の開催と議事録の作成・保管は法律上の義務です。

会社法の制度
編集:法人成りシミュレーション編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人成りをして、社長1人・株主も自分だけの「マイクロ法人」になった場合でも、株主総会を開き、議事録を作って保管する義務はなくなりません。実質的には自分1人の意思決定であっても、株式会社である以上は会社法上の手続きを踏む必要があります

実務では「1人だけの会社だから形式は省略していい」と誤解されがちですが、議事録が無いと、税務調査で役員報酬・決算関連の意思決定の根拠を示せなかったり、過料(行政上の金銭的な制裁)の対象になったりするリスクがあります。基本的なルールを整理します。

定時株主総会は毎年1回、招集が必要

株式会社は、毎事業年度の終了後、一定の時期に定時株主総会を招集しなければなりません(会社法296条1項)。会社法自体には「決算日から◯か月以内」という明文の期限はありませんが、株主名簿の基準日効力(会社法124条2項、基準日から3か月以内に権利行使)や、法人税の確定申告期限(原則2か月、届出により延長可)との関係から、実務上は決算日から3か月以内に開催するのが一般的です。株主が自分1人であっても、招集の手続き自体は省略できません。

議事録の作成・備置義務

株主総会を開催したら、法務省令で定める事項を記載した議事録を作成しなければなりません(会社法318条1項)。作成した議事録は、本店に株主総会の日から10年間支店に写しを5年間備え置く必要があります(同条2項・3項)。株主・債権者は、営業時間内であればいつでも議事録の閲覧・謄写を請求できます(同条4項)。

社長1人の会社で、実際には話し合いをせず1人で決めた場合でも、決議があったものとして議事録を作成するのが実務です(会社法上、株主全員が書面で同意すれば実際の開催を省略できる「書面決議」のみなし制度もありますが、その場合も同意書面の作成・保管が必要です)。

議事録を作らないと過料の対象になり得る

議事録に記載すべき事項を記載しなかったり、虚偽の記載をしたりした場合、取締役等は100万円以下の過料に処される可能性があります(会社法976条7号)。過料は刑罰(前科がつく罰金・懲役等)とは異なる行政上の金銭的な制裁ですが、法律上の義務違反として制裁の対象になっている点は変わりません。

実務で過料が実際に科されるかどうかは個別の事案によりますが、「1人だけの会社だから議事録は不要」という理解は会社法上の建前とは異なるため、必要な議事録は残しておくことが望ましいといえます。

一人法人での実務対応

社長1人・株主1人のマイクロ法人では、実際に話し合う相手がいないため、決算承認・役員報酬の決定などの重要事項について、自分1人で決議した内容を議事録として書面化しておくのが実務上の対応です。議事録には、開催日時・場所、出席した株主の議決権数、議事の経過の要領とその結果、議事録作成者の氏名などを記載します(会社法施行規則72条)。ひな形は法務局や司法書士のウェブサイトで公開されているものを参考にできます。

税務調査では、役員報酬の額や支給時期の変更(定期同額給与の例外要件など)について、株主総会・取締役会の決議の有無が確認されることがあります。議事録を残しておくことは、会社法上の義務であると同時に、税務上の説明資料としても役立ちます。

まとめ

  • 株式会社である以上、株主が1人でも定時株主総会の招集義務(会社法296条1項)は無くならない。実務上は決算日から3か月以内が一般的。
  • 議事録の作成義務(会社法318条1項)があり、本店に10年間・支店に写しを5年間備え置く。
  • 議事録の記載漏れ・虚偽記載は100万円以下の過料の対象になり得る(会社法976条7号)。
  • 一人法人でも、決議内容を議事録として書面化しておくのが実務上の基本対応。

法人成り全体の手続きの流れは法人化の手続きを、マイクロ法人特有の注意点はマイクロ法人の社会保険を参照してください。

公式一次情報

  • e-Gov法令検索「会社法」(第296条1項:定時株主総会は毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないこと。第318条:株主総会の議事録の作成義務、本店に10年間・支店に写しを5年間備え置く義務、株主・債権者の閲覧謄写請求権。第976条7号:議事録等に記載すべき事項を記載しない場合等は100万円以下の過料に処すること)

よくある質問

社長1人の会社でも株主総会を開く必要がありますか?
必要です。株式会社である以上、株主が1人であっても定時株主総会の招集義務は会社法上なくなりません(会社法296条1項)。実務上は決算日から3か月以内に開催するのが一般的です。
議事録はどのくらいの期間、保管する必要がありますか?
本店に株主総会の日から10年間、支店がある場合は写しを5年間備え置く必要があります(会社法318条2項・3項)。
議事録を作らないとどうなりますか?
取締役等が100万円以下の過料に処される可能性があります(会社法976条7号)。過料は刑罰とは異なりますが、法律上の義務違反であることに変わりはありません。
本記事について。税理士監修前の概説です。議事録の記載事項・様式や個別の運用は、司法書士・弁護士等の専門家にご確認ください。