法人の解散・清算と土地・家屋の固定資産税|1月1日の登記名義で決まる納税義務者
会社が土地や建物を持ったまま解散・清算するとき、固定資産税を払うのは誰かを整理します。賦課期日、登記簿上の所有者、法人が消滅していた場合の扱いを、地方税法と会社法の条文で確認します。
地方税の手続き会社の解散を決めても、本店や倉庫、駐車場として使っていた土地・建物が会社名義のまま残ることがあります。固定資産税は、毎年1月1日の所有者に課される市町村の税で、法務局での解散・清算結了の登記とは別の話です。
この記事では、土地・家屋について、清算中と清算結了後のそれぞれで納税義務者がどう決まるかを条文で整理します。機械や備品などの償却資産は法人の解散・清算と償却資産税で扱っています。
納税義務者は1月1日の登記名義で決まる
固定資産税の賦課期日は、地方税法359条で毎年1月1日です。納税義務者は固定資産の所有者で(同法343条1項)、土地と家屋については、登記簿に所有者として登記されている者を指します(同条2項)。
償却資産は課税台帳の登録で決まりますが、土地・家屋は1月1日に登記簿に所有者として載っている人が納税義務者になります。解散の登記をしても、土地や建物の所有権の登記は自動では変わりません。
清算中は会社が納税義務者のまま
会社法476条は、清算をする株式会社は「清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす」としています。解散の日から清算結了まで、会社は存続しています。
そのため、1月1日の時点で清算中の会社が土地・家屋の登記名義人であれば、納税義務者はその会社です。売却して買主へ所有権移転登記をする前に1月1日を迎えると、その年度の納税義務者は会社のままになります。
合同会社など持分会社の清算は会社法の別の条文で定められています。この記事は株式会社を前提にしているため、持分会社は担当課や専門家に確認してください。
清算結了で法人が消滅していたとき
清算結了の登記は、清算結了の承認の日から2週間以内に本店の所在地で行います(会社法929条)。登記簿上の所有者が法人のまま、会社だけが先に消滅することもあり得ます。
地方税法343条2項は、所有者として登記されている法人が賦課期日前に消滅しているときは、賦課期日(1月1日)において、その土地・家屋を現に所有している者が所有者にあたると定めています。
この場合、誰が「現に所有している者」にあたるかの判断が必要になります。清算結了の前に不動産の登記名義をどうするかは、清算人や司法書士などの専門家と早めに相談してください。
納期と納税通知書
固定資産税は普通徴収の方法で、市町村が交付する納税通知書で納めます(地方税法364条1項)。納期は4月、7月、12月、2月中で市町村の条例が定めます(同法362条1項)。
解散・清算で本店を移したり閉じたりするときは、通知書が届かない事態を避けるために、市町村の税務担当課へ連絡先を確認してください。地方税の異動届出書の出し方は法人の解散と地方税の異動届出書で確認できます。
架空条件の当てはめ
次の表は説明用の架空条件です。上の仕組みにあてはめた場合の見方を示します。最終的な課税は、市町村が台帳をもとに決めます。
| 架空の状況 | 1月1日の登記名義 | 見方 |
|---|---|---|
| 11月に解散し、12月20日に建物を売って移転登記も終えた | 買主 | その年度の納税義務者は買主(登記簿上の所有者。343条2項) |
| 12月に解散し、建物の売買契約は年内だが移転登記が1月になった | 会社 | 1月1日の登記名義は清算中の会社。会社が納税義務者のまま |
| 清算結了の登記後も、土地が会社名義のまま残っていた | 消滅した法人 | 343条2項により、1月1日に現に所有している者が所有者にあたる。市町村に確認する |
売買の代金精算や、固定資産税の負担を当事者間でどう分けるかは、契約で決める事項です。税の納税義務者の判定とは別に扱われるため、売買契約書の内容と専門家の助言をあわせて確認してください。
次に知りたいこと
法人の解散と清算の流れ(登記から清算結了までの全体像)
法人の解散・清算と償却資産税(機械・備品などの1月1日の所有)
清算人の役割と選任
まとめ
- 土地・家屋の固定資産税は、1月1日に登記簿へ所有者として登記されている者が納税義務者(地方税法343条2項・359条)。
- 株式会社は清算結了まで存続するとみなされるため(会社法476条)、清算中は会社が納税義務者のまま。
- 所有者として登記された法人が1月1日前に消滅していたときは、現に所有している者が所有者にあたる(343条2項)。
- 売却と移転登記を12月31日までに済ませるかどうかで、翌年度の納税義務者が変わる。
公式一次情報
- e-Gov法令検索 地方税法(343条の納税義務者・359条の賦課期日・362条の納期・364条の徴収方法。2026-11-05確認)
- e-Gov法令検索 会社法(476条の清算株式会社の能力・929条の清算結了の登記。2026-11-05確認)
よくある質問
- 会社が解散したら、土地・建物の固定資産税は誰が払いますか?
- 1月1日に登記簿へ所有者として登記されている者が納税義務者です。解散後も清算結了までは会社が存続するとみなされるため、登記名義が会社のままなら会社が納税義務者になります(出典:地方税法343条・359条、会社法476条)。
- 12月に建物を売却しましたが、移転登記は1月でした。その年の固定資産税は?
- 土地・家屋の納税義務者は、賦課期日の1月1日に登記簿上の所有者として登記されている者です。1月1日の時点で登記名義が会社なら、その年度の納税義務者は会社になります(出典:地方税法343条2項・359条)。
- 清算結了後に、会社名義の土地が残っていたらどうなりますか?
- 地方税法343条2項は、所有者として登記された法人が賦課期日前に消滅しているときは、その日に現に所有している者を所有者にあたると定めています。誰にあたるかは事情によるため、市町村の担当課に確認してください(出典:地方税法343条2項)。
- 固定資産税はいつ納めますか?
- 納期は4月、7月、12月、2月中で、市町村の条例が定めます。市町村から届く納税通知書で納めます(出典:地方税法362条・364条)。

