法人の解散・清算と償却資産税|1月1日の所有と全品減少の申告
会社を解散しても、清算が終わるまで法人は存続します。解散・清算の年に償却資産税の申告をどう扱うかを、会社法と地方税法の条文、東京都主税局・大垣市の案内で整理します。
地方税の手続き解散の登記をしたあとも、パソコンや機械、内装などの事業用資産が会社に残っていることがあります。償却資産税は1月1日に資産を持っている人に課される市町村の税で、税務署への解散の届出とは窓口が別です。
この記事では、解散から清算結了までの間に1月1日を迎えるときの考え方と、資産がすべてなくなったときの申告を整理します。個人事業の廃業は廃業したときの償却資産税で扱っており、ここでは法人に絞ります。
解散しても清算結了まで法人は存続する
会社法475条1号は、株式会社が解散した場合に清算をしなければならないと定めています。476条は、清算をする株式会社が「清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす」としています。
清算結了の登記は、清算結了の承認の日から2週間以内に本店の所在地で行います(会社法929条)。つまり、解散の日から清算結了の登記までの間、会社は清算株式会社として存続しています。
合同会社など持分会社の清算は会社法の別の条文で定められています。この記事は株式会社を前提にしており、持分会社は条文を読み替える必要があるため、担当課に確認してください。
課税は1月1日の所有で決まる
固定資産税の賦課期日は、地方税法359条で毎年1月1日です。償却資産の所有者は、1月1日現在の償却資産を1月31日までに資産の所在地の市町村長へ申告します(同法383条)。
東京都主税局も、毎年1月1日(賦課期日)現在の所有者に課税すると案内しています。条文のとおり1月1日の所有で決まるため、1月2日以降に所有権が移っても、その年度の納税義務者は変わりません。解散や清算結了が1月2日以降でも同じです。
大垣市は、1月1日時点で廃業している場合、その申告年度について償却資産分は課税されないと案内しています。法人の場合も、判断の軸は「1月1日に、会社が申告対象の資産を持っているか」です。
解散・清算の年の申告
東京都主税局の申告の手引き(令和8年度)は、廃業・移転・合併等で全ての資産が減少した方も、減少の申告をするよう案内しています。申告先は資産の所在する区の都税事務所で、申告書の「18 備考(添付書類等)」欄に「令和7年6月廃業」のように記入する例が載っています。
大垣市は、廃業届を出していても、原則として償却資産申告書で廃業の申告が別に必要としています。解散の登記や税務署への異動届出書を出しただけでは、償却資産の窓口には伝わらないと考えて準備してください。
| 手続き | 出す先 | 償却資産への伝わり方 |
|---|---|---|
| 解散の登記・清算結了の登記 | 法務局 | 法務局の手続き。償却資産の窓口は市町村で別 |
| 異動届出書(解散の届出) | 税務署・都道府県・市町村の法人関係窓口 | 償却資産は申告書の備考欄で伝える(東京都・大垣市の案内) |
| 償却資産申告書の全品減少 | 資産の所在地の市町村(東京23区は都税事務所) | 資産がすべてなくなったことを伝える申告 |
解散時の地方税の異動届出は法人の解散と地方税の異動届出書で確認できます。
架空条件の当てはめ
次の表は説明用の架空条件です。上の仕組みにあてはめた場合の見方を示します。税額や課税の有無は、提出した申告書をもとに市町村(東京23区は都)が決めます。
| 架空の状況 | 1月1日の所有 | 見方 |
|---|---|---|
| 11月に解散し、12月中に設備をすべて売却した | なし | 翌年1月の申告は全品減少。備考欄に解散日・処分日を記入する |
| 12月に解散し、設備を1月1日にも持っている(清算結了前) | あり | 会社は清算結了まで存続するため、1月1日の所有者は会社。自治体に確認する |
| 2月に解散し、設備を3月に売却した | その年の1月1日はあり | その年度の課税は1月1日の所有で決まる(地方税法359条) |
清算の途中で資産を株主へ渡す場合など、所有者が変わる場面の申告は、自治体によって案内が異なる可能性があります。資産の一覧と処分日がわかる資料を持って、資産の所在地の担当課に確認してください。
次に知りたいこと
法人の解散と清算の流れ(登記から清算結了までの全体像)
法人の償却資産税の申告(毎年1月31日の申告の基本)
廃業したときの償却資産税(個人事業の場合)
まとめ
- 株式会社は解散しても清算結了まで存続するとみなされる(会社法476条)。
- 課税は賦課期日(1月1日)の所有で決まり、1月2日以降の解散や売却では納税義務者は変わらない(地方税法359条)。
- 資産がすべてなくなったら、東京都では減少の申告(備考欄に廃業等を記入)。解散の登記や異動届出書とは別に出す。
- 解散後も1月1日に資産を持っているときや、持分会社の場合は、担当課に確認する。
公式一次情報
- e-Gov法令検索 会社法(475条の清算の開始原因・476条の清算株式会社の能力・929条の清算結了の登記。2026-11-05確認)
- e-Gov法令検索 地方税法(343条3項の納税義務者・359条の賦課期日・383条の申告。2026-11-05確認)
- 東京都主税局「固定資産税(償却資産)」Q&A(1月1日現在の所有者への課税。2026-10-24確認)
- 東京都主税局「令和8年度 固定資産税(償却資産)申告の手引き」(廃業等で全ての資産が減少した場合の減少の申告・備考欄の記入例。2026-11-05確認)
- 大垣市「償却資産Q&A」(廃業の申告・1月1日時点の廃業。2026-10-24確認)
よくある質問
- 会社を解散したら、償却資産税の申告は不要ですか?
- 不要とは限りません。株式会社は清算結了まで存続するとみなされ(会社法476条)、1月1日に申告対象の資産を持っていれば申告の対象になり得ます。大垣市は廃業の申告が別に必要としています(出典:会社法、大垣市)。
- 12月に解散して、1月2日に設備を売却しました。その年の課税はどうなりますか?
- 固定資産税は賦課期日の1月1日現在の所有者に課されます。賦課期日は1月1日と条文で決まっているため、1月2日以降に売却しても、その年度の納税義務者は1月1日の所有者のままです(出典:地方税法359条、東京都主税局)。
- 資産がすべてなくなったときは、どう申告しますか?
- 東京都主税局の申告の手引きは、全ての資産が減少した方も減少の申告をするよう案内しています。備考欄に「令和7年6月廃業」のように記入します(出典:東京都主税局 申告の手引き)。
- 清算結了の登記をすれば、償却資産の手続きも終わりますか?
- 清算結了の登記は法務局の手続きです(会社法929条)。償却資産の申告は市町村(東京23区は都税事務所)が窓口で、登記とは別に必要かどうかを担当課に確認してください。

