法人の償却資産税の申告|1月31日の期限・免税点150万円・対象になる資産と少額資産の扱い
会社が毎年1月に出す償却資産の申告について、申告先・期限・対象になる資産・少額資産の扱い・免税点150万円・出さなかったときの扱いを説明します。法人税の決算とは別の手続きです。
地方税の手続き償却資産税は、土地・家屋以外の事業用の資産(パソコン、コピー機、看板、内装工事など)にかかる固定資産税です。法人税の申告とは別に、資産がある市区町村へ毎年申告します。
申告するのは、毎年1月1日に会社が持っている償却資産で、期限は1月31日です。決算月や黒字・赤字に関係なく、同じ時期に出します。
申告するもの・期限・申告先
地方税法第383条は、固定資産税の納税義務がある償却資産の所有者に、毎年1月1日現在の償却資産について、所在・種類・数量・取得時期・取得価額・耐用年数などを、1月31日までに資産の所在地の市町村長へ申告するよう定めています。
東京都23区は、特例で都が固定資産税を課します。東京都主税局の案内では、申告書は資産が所在する区の都税事務所の償却資産班に出します。電子申告(eLTAX)、郵送、窓口のどれでも出せます。
申告先は、法人事業税の申告先と異なることがあります。東京都主税局は、申告の前に確認するよう案内しています。支店や工場など複数の場所に資産がある場合は、資産の所在地ごとの市区町村へ出します。
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申告の対象になる資産
地方税法第341条第4号は、償却資産を、土地・家屋以外の事業の用に供することができる資産のうち、減価償却額または減価償却費が法人税法・所得税法上の損金または必要経費に算入されるものと定めています。鉱業権、漁業権、特許権などの無形減価償却資産は含みません。自動車税・軽自動車税の課税対象になる自動車なども除かれます。
東京都主税局の案内に挙がっている主な例は、次のとおりです。
| 区分 | 主な例(東京都主税局の例示) |
|---|---|
| 全業種に共通 | パソコン、コピー機、ルームエアコン、応接セット、看板、LAN設備、賃借人(テナント)が取り付けた内装・内部造作 |
| 建設業 | ブルドーザー・パワーショベル・フォークリフトなど(軽自動車税の課税対象になるものを除く)、大型特殊自動車 |
| 料理飲食店業 | テーブル、椅子、厨房用具、冷凍冷蔵庫、カラオケ機器 |
| 小売業 | 陳列棚、陳列ケース |
| 医(歯)業 | レントゲン装置、手術機器、歯科診療ユニットなどの医療機器 |
同じ案内は、福利厚生に使う資産、建設仮勘定で処理している資産、簿外資産、償却済みの資産も、1月1日に事業の用に供することができる状態なら申告の対象になると説明しています。遊休の資産も同じです。
事務所を借りて会社が内装工事をした場合、その内装・内部造作は、賃借人(テナント)が取り付けたものとして例示に入っています。
少額の資産はどこまで対象か
地方税法第341条第4号は、取得価額が少額である資産など政令で定める資産を、償却資産から除いています。政令(地方税法施行令第49条)は、法人税法施行令第133条第1項または第133条の2第1項の規定で、取得価額の全部または一部が損金に算入される資産を、その除外の資産としています。
法人税法施行令第133条は、取得価額が10万円未満の減価償却資産などを、事業の用に供した事業年度に損金経理できるとする規定です。資産ごとの扱いは、次のように分かれます。
| 資産の経理 | 償却資産税の申告 |
|---|---|
| 取得価額10万円未満で、一時に全額を損金経理した | 政令の除外に当たり、申告の対象にならない |
| 一括償却資産として、3年で均等に損金算入している | 政令の除外に当たり、申告の対象にならない |
| 取得価額20万円未満でも、個別に減価償却をしている | 申告の対象になる(東京都主税局の案内) |
| 租税特別措置法の中小企業者等の少額減価償却資産の特例で、全額を損金算入した | 申告の対象になる(東京都主税局の案内) |
法人税で全額を経費にした資産でも、特例を使った30万円未満の資産は、償却資産税では申告します。法人税の処理と申告の要否が一致しないため、固定資産台帳に「償却資産税の申告対象」の区分を設けておくと、毎年の拾い出しが楽になります。
少額資産の法人税側の処理は少額減価償却資産と一括償却資産の損金算入で整理しています。
免税点150万円と税額の計算
地方税法第351条は、同一の者が同じ市町村の区域内に持つ償却資産の課税標準額が150万円に満たない場合、固定資産税を課すことができないと定めています。東京23区では、課税標準額は資産が所在する区ごとに評価額を合算して求め、150万円未満なら課税されず、納税通知書も届きません。
税率は、東京都主税局の案内では100分の1.4です。課税標準額(1,000円未満切り捨て)に税率をかけ、100円未満を切り捨てます。
| 例(課税標準額) | 税額の目安 |
|---|---|
| 140万円 | 課税されない(150万円未満) |
| 300万円 | 300万円 × 1.4% = 4万2,000円 |
課税標準額は取得価額そのものではなく、取得年月・取得価額・耐用年数をもとに1月1日現在の評価額を資産ごとに出して合計した金額です。評価額が取得価額の5%を下回る場合は、取得価額の5%が評価額になります。
免税点の判定は課税する側が申告書をもとに行うため、課税されなさそうな会社も申告書は出します。個人事業のときの扱いは個人事業主の償却資産税、法人成りで資産を移す年の申告者は法人成りと償却資産税の申告で確認できます。
申告から納付までの流れ
東京都主税局の案内では、流れは次のとおりです。
- 1月1日現在の償却資産を、1月31日までに申告する。
- 申告と調査をもとに価格が決まり、償却資産課税台帳に登録される。
- 税額が決まり、東京23区では6月上旬に納税通知書が届く。
- 通常4回の納期(23区では6月、9月、12月、翌年2月)に分けて納める。
納期は市町村ごとに異なります。23区以外の資産がある場合は、納税通知書の記載を確認してください。
申告しなかったときの扱い
地方税法第386条は、正当な理由なく申告しなかった場合に、市町村が条例で10万円以下の過料を定めることができると規定しています。過料を定めているかどうかは市町村ごとに異なります。
東京都主税局の案内では、申告後に調査が行われ、申告漏れが判明すると修正を求められます。
賦課決定は、その年度だけでなく、地方税法第17条の5第5項により5年度分まで遡ります。偽りその他不正の行為で税額を免れた場合は、同条第7項により7年度分です。過年度分の追加課税は、通常の納期とは異なり、納期が1回になります。
新しく買った資産を申告から漏らしたまま数年たつと、まとめて請求されることになります。毎年の拾い出しの手順を決めておくことが、いちばんの対策です。
毎年の準備に使う書類
東京都主税局は、実際に申告するときは、法人は固定資産台帳や法人税申告書の別表16などをもとに行うよう案内しています。次の順で準備すると、抜けを減らせます。
- 前年1月2日から当年1月1日までに取得した資産を、固定資産台帳から拾う(取得年月・取得価額・耐用年数)
- 前年に売却・廃棄した資産を除く
- 少額資産のうち、申告の対象になるもの(個別償却のもの、特例で損金算入したもの)を追加する
- 資産の所在地が複数ある場合は、市区町村ごとに分ける
耐用年数の考え方は減価償却の基本、設立後に出す地方税の届出は法人成りの地方税の届出で整理しています。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「地方税法」(第341条第4号: 償却資産の定義。第351条: 免税点。第383条: 1月31日までの申告。第386条: 不申告に対する過料)
- e-Gov法令検索「地方税法施行令」(第49条: 少額の資産など償却資産から除かれる資産)
- 東京都主税局「固定資産税(償却資産)」(申告先、対象資産の例、20万円未満の個別償却資産や特例適用資産も対象、税率1.4%、納期、過年度への遡及)
よくある質問
- 法人の償却資産税の申告期限はいつですか?
- 毎年1月31日です。毎年1月1日現在の償却資産について、資産の所在地の市町村長(東京23区は都税事務所)へ申告します(地方税法第383条)。決算月に関係なく同じ時期です。
- 資産が150万円未満でも申告は必要ですか?
- 必要です。免税点(地方税法第351条)は課税の有無を決める基準で、課税標準額が150万円未満なら課税されません。ただし、その判定は申告書をもとに行われるため、申告書は出します。
- 10万円未満で経費にしたパソコンも申告しますか?
- 一時に全額を損金経理した取得価額10万円未満の資産は、政令の除外に当たり、申告の対象にならないと読めます(地方税法施行令第49条)。個別に減価償却をしている20万円未満の資産は、東京都主税局の案内では申告の対象です。
- 30万円未満の少額資産の特例で全額経費にした資産も申告しますか?
- 申告します。東京都主税局は、租税特別措置法の中小企業者等の少額減価償却資産の特例を適用して損金算入した資産を、申告対象の例に挙げています。
- 赤字の会社でも申告は必要ですか?
- 必要です。申告の対象になるかどうかは、1月1日現在の所有と、償却資産の定義に当たるかで決まり、法人税の黒字・赤字では決まりません。
- 申告しないと、どうなりますか?
- 市町村の条例で10万円以下の過料が定められている場合があります(地方税法第386条)。調査で漏れがわかると、5年度分まで遡って課税され、不正があれば7年度分です。
まとめ
- 償却資産税の申告は、毎年1月1日現在の資産を1月31日までに、資産の所在地の市区町村(23区は都税事務所)へ出す。
- パソコン・コピー機・看板・テナントの内装など、事業用の土地・家屋以外の資産が対象になる。
- 10万円未満の全額損金経理と一括償却資産は対象外。個別償却の20万円未満と、30万円未満の特例で損金算入した資産は対象になる。
- 課税標準額が150万円未満なら課税されないが、申告書は出す。税率は東京都の案内で1.4%。
- 不申告は過料の定めがある市町村もあり、調査で漏れがわかると5年度分まで遡る。
次に知りたいこと
法人成りと償却資産税の申告(資産を法人へ移した年の申告者)
少額減価償却資産と一括償却資産の損金算入(法人税側の処理)
個人事業主の償却資産税(個人事業の申告)
税金・手続きカレンダー(1月の期限を確認する)
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