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自己株式の取得(金庫株)とみなし配当|株主が会社に株を売るときの課税と会社法の手続き

株主が自分の会社に株を売ると、受け取ったお金のうち会社の資本金等の額を超える部分は、配当とみなされます。法人税法第24条・所得税法第25条の条文と、会社法で必要になる株主総会の決議・分配可能額の制限を整理しました。

e-Gov法令検索「法人税法・所得税法・会社法」の条文にもとづく
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

会社が株主から自社の株を買い取ることを、自己株式の取得(いわゆる金庫株)といいます。株主が個人の場合、売却代金のすべてが株の売却益になるわけではなく、会社の資本金等の額のうち売った株に対応する金額を超える部分は、配当とみなして課税されます(所得税法第25条第1項第5号)。

自己株式の取得では、会社法の手続きと分配可能額の制限があり、税金は「みなし配当」の部分と株の譲渡の部分に分かれます。このページは仕組みの整理で、税額の計算は載せていません。

会社法で必要な手続きと制限

株式会社が株主との合意で自社の株を有償で取得するには、あらかじめ株主総会の決議で、取得する株式の数、交付する金銭等の内容と総額、株式を取得できる期間(1年以内)を定める必要があります(会社法第156条第1項)。

特定の株主からだけ買い取りたいときは、同じ株主総会の決議で、特定の株主に通知する旨を定めます(第160条第1項)。他の株主は、自分も売主に加えるよう請求できます(同条第3項)。売主になる特定の株主は、原則としてその総会で議決権を行使できません(同条第4項)。

株主に交付する金銭等の帳簿価額の総額は、効力が生じる日の分配可能額を超えてはなりません(第461条第1項)。利益剰余金が少ない会社では、買い取れる金額に限りがあります。

みなし配当になる部分

所得税法第25条第1項は、会社が自己株式を取得して株主に金銭等を交付した場合に、その金額が、会社の資本金等の額のうちその株式に対応する部分の金額を超えるときは、超える部分を配当とみなすと定めています(第5号)。法人税法第24条第1項第5号も、株主が法人の場合について同じ仕組みを定めています。

部分扱い
資本金等の額のうち売った株に対応する金額まで株の譲渡の対価として扱う
それを超える部分配当とみなす(所得税法第25条、法人税法第24条)

株に対応する資本金等の額の計算方法は、法人税法施行令第23条第1項第6号が定めています。株の種類が1つの会社では、取得の直前の資本金等の額を、その直前の発行済株式等の総数で割り、売った株数を掛けて計算します(同号イ)。種類が2つ以上ある会社は、種類ごとの計算になります(同号ロ)。

みなし配当の部分は配当として扱われ、残りの譲渡の部分は株の譲渡として扱われます。税額の計算は、売却価額と株の取得費・資本金等の額の資料が必要になるため、取得の前に税理士へ確認してください。

みなし配当にならない取得

法人税法施行令第23条第4項は、第24条第1項第5号の対象から外す取得を定めています。金融商品取引所の開設する市場における購入、事業の全部の譲受け、合併に反対する株主の買取請求に基づく買取りなどが、その例です(第1号、第4号、第8号)。

非上場の会社が、株主との相対の合意で自社の株を買い取る場合は、通常これらに当たりません。個人株主から買い戻す中小企業の取得は、みなし配当の判定が必要になるのが基本です。

株主が法人の場合

株主が法人の場合は、法人税法第24条第1項が、資本金等の額のうちその株式に対応する部分を超える金額を、受取配当等の益金不算入の対象になる金額(第23条第1項第1号・第2号)とみなします。受取配当等の益金不算入の割合は、株式の保有割合などで変わります。

個人株主から買い戻すケースでは、株の売却が配当と譲渡に分かれる点が最初の確認事項です。取得を決める株主総会の進め方は株主総会と議事録、法人が受け取る配当の扱いは受取配当等の益金不算入も見てください。

公式一次情報

確認日は2026年10月12日です。

よくある質問

株主が会社に株を売ると、全額が株の売却益になりますか?
なりません。資本金等の額のうち売った株に対応する金額を超える部分は、配当とみなされます(所得税法第25条第1項第5号)。
自己株式を取得するには、株主総会の決議が必要ですか?
株主との合意で有償で取得する場合は、あらかじめ株主総会の決議で取得する株式の数、交付する金銭等の内容と総額、取得できる期間を定めます(会社法第156条第1項)。
いくらでも買い取れますか?
いいえ。株主に交付する金銭等の帳簿価額の総額は、効力が生じる日の分配可能額を超えてはなりません(会社法第461条第1項)。
特定の1人の株主からだけ買い取れますか?
株主総会の決議で特定の株主に通知する旨を定めれば可能ですが、他の株主は自分も売主に加えるよう請求できます(会社法第160条)。
本記事について。税理士・弁護士の監修前の概説です。自己株式の取得は、価格の決め方や株主ごとの課税で扱いが大きく変わるため、実際の判断は取得の前に税理士へご相談ください。
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典