経営セーフティ共済の一時貸付金|借入限度額の計算・利息・返済
経営セーフティ共済(倒産防止共済)は、取引先が倒産していなくても、掛金を担保に事業資金を借りられます。借入限度額の計算表、利息の払い方、返済と借換、共済金貸付との違いを、中小機構の案内にもとづき整理します。
中小機構の制度取引先が倒産していなくても、加入後12か月を過ぎ、掛金を12か月以上納めていれば、解約手当金の95%を上限に「一時貸付金」を借りられます。借入額は30万円以上で5万円単位、借入期間は1年、返済は期限一括です。
「共済金の貸付け」は取引先の倒産が条件ですが、一時貸付金にその条件はありません。資金繰りが一時的に苦しいときの手段として、仕組みと注意点をまとめます。
一時貸付金と共済金貸付の違い
経営セーフティ共済には、借入れの制度が2つあります。取引先の倒産が要るのは共済金貸付、要らないのが一時貸付金です。共済全体の仕組みは経営セーフティ共済とはで説明しています。
| 項目 | 一時貸付金 | 共済金貸付 |
|---|---|---|
| 借りられる場面 | 取引先が倒産していなくても、臨時に事業資金が必要なとき | 直接の取引先が倒産し、売掛金債権や前渡金返還請求権の回収が困難になったとき |
| 加入期間の条件 | 加入後12か月を経過し、納付月数が12か月以上 | 倒産が加入後6か月以上たってから生じ、6か月分以上の掛金を納付済み |
| 申込みの期限 | 借入限度額が30万円以上あること | 倒産の事態が生じてから6か月以内 |
| 借りられる額の目安 | 解約手当金の95%が上限。30万円以上で5万円単位 | 請求額が50万円と月間取引額の20%のいずれにも達しないときは借りられない |
共済金貸付の上限額や返済の条件は、中小機構の案内で確認してください。売掛金の貸倒れに備える経理は貸倒引当金で扱っています。
この記事の内容を申告書に落とすときの本PR
記事で確かめた内容を、申告書の記入や帳簿の付け方まで一冊で追いたいとき向けです。
借りられる条件
中小機構の案内では、一時貸付金を借りるには次の条件があります。
- 倒産防止共済に加入後12か月を経過していて、納付月数が12か月以上であること
- 借入可能額が30万円以上であること
- 振込口座は共済契約者と同一名義であること
- 借入れは1事業者につき1つの契約のみ
- 借入金の使途は事業資金(運転資金・設備資金)
審査の結果によっては借入れできない場合もある、と案内されています。
借入限度額の計算表
借入限度額は、掛金の納付月数に応じて、掛金総額に次の割合を掛けて計算します。納付月数が40か月以上なら「掛金総額×95%×95%」、最高限度額は760万円です。
| 掛金の納付月数 | 一時貸付金の借入限度額 |
|---|---|
| 1か月〜11か月 | 0円(利用できません) |
| 12か月〜23か月 | 掛金総額 × 75% × 95% |
| 24か月〜29か月 | 掛金総額 × 80% × 95% |
| 30か月〜35か月 | 掛金総額 × 85% × 95% |
| 36か月〜39か月 | 掛金総額 × 90% × 95% |
| 40か月以上 | 掛金総額 × 95% × 95%(掛金総額が800万円なら760万円) |
たとえば月額5万円を24か月納めた場合、掛金総額は120万円です。120万円×80%×95%=91万2,000円で、5万円未満を切り捨てた90万円が借入限度額の目安になります(上の表からの試算です)。
利息の払い方と手取りの例
利率は金融情勢などで変わります。中小機構の案内に載っている令和6年4月1日時点の利率は年0.9%です。借りる時点の利率は、申込み前に中小機構の案内で確認してください。
利息は借入時に1年分が一括で前払いとなり、借入額から差し引かれた金額が口座に振り込まれます。中小機構の例では、565万円を借りたとき、利息(年0.9%)は5万850円で、振込額は559万9,150円です。
先ほどの90万円なら、年0.9%の利息は8,100円、振込額は89万1,900円という計算になります(利率が変わっていなければ。試算です)。
返済・借換と延滞したとき
借入期間は1年で、返済は期限一括償還です。返済期日の約1か月前に、中小機構から償還金振込票などの書類が届きます。
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 一括返済 | 償還期日までに、借入額をまとめて返す |
| 同額借換 | 借入額を返さず、新しい借入額に対する約定利息を払って、手続きから1年後を新しい償還期日にする |
| 減額借換 | 現在の借入額と減額後の差額と、借換後の借入額に対する約定利息を払って、1年後を新しい償還期日にする |
| 増額借換 | 借入れを増やしたいときの手続き。手続きから1年後が新しい償還期日になる |
償還期日までに返済も借換もできない場合は、延滞した額に年14.6%の違約金(延滞利息)がかかります。償還期日から5か月を経過しても返済すべき額や違約金が残っていると、納付した掛金からその額が差し引かれます。
利用前の注意点
- 借入限度額は掛金の積み立てで決まる:加入直後は0円、納付月数に応じて限度額が増える仕組みです。
- 共済金貸付との重複:一時貸付金の利用中に共済金貸付を利用する場合、共済金貸付額から一時貸付金の貸付額が差し引かれます。
- 返せないと積立が減る:延滞が5か月を超えると掛金から充当されるため、解約手当金として受け取れる額も減ります。解約手当金の受け取りは課税の対象です。
- 最新の条件の確認:利率や制度の取扱いは見直されることがあります。申込みの前に、中小機構の契約者向けページで最新の内容を確認してください。
次に知りたいこと
公式一次情報
- 中小機構 経営セーフティ共済 一時貸付金制度(借入条件・借入限度額の計算表・利率と利息の前払い・借換・違約金。2026-10-24確認)
- 中小機構 経営セーフティ共済 共済金の借入れについて(共済金貸付の要件と借りられない場合。2026-10-24確認)
よくある質問
- 取引先が倒産していなくても借りられますか?
- 借りられます。一時貸付金は、取引先が倒産していなくても、臨時に事業資金が必要なときに利用できる制度です。
- いつから借りられますか?
- 加入後12か月を経過していて、納付月数が12か月以上で、借入可能額が30万円以上のときです。
- いくらまで借りられますか?
- 解約手当金の95%が上限です。納付月数が40か月以上なら掛金総額×95%×95%で、最高限度額は760万円です。30万円以上で5万円単位で借ります。
- 利息はいつ払いますか?
- 借入時に一括前払いです。新規借入れでは、送金額から約定利息が差し引かれます。
- 返済はどうなりますか?
- 借入期間は1年で、期限一括償還です。同額借換・減額借換・増額借換の手続きで、さらに1年後を償還期日にすることもできます。
- 返せなかったらどうなりますか?
- 延滞額に年14.6%の違約金がかかります。償還期日から5か月を経過しても残っていると、納付した掛金から差し引かれます。

