年金の繰下げ受給の増額率と個人事業主・法人役員の注意点
65歳より後に年金を受け取り始めると、月数に応じて年金額が増えます。増額率の計算と早見表、個人事業主と法人役員で気をつける点を、日本年金機構の案内で整理します。
2026年時点の制度年金の繰下げ受給の増額率は、0.7% × 65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数で計算します。上限は昭和27年4月2日以後生まれの人で84%(75歳まで繰り下げた場合)です。増額した年金額は、繰下げ請求の手続きをした時点の増額率で決まります。
個人事業主が受け取る国民年金(老齢基礎年金)は繰り下げられます。法人の役員など厚生年金に加入して働く人は、在職中の支給停止分が増額の対象にならない点に注意が必要です。
増額率の計算式と上限
日本年金機構の案内では、繰下げ受給で増える額は、老齢基礎年金の額(振替加算額を除く)と老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)に増額率をかけて計算します。
- 繰下げできるのは66歳以後:66歳以後で受け取りたい時期に手続きをします。手続きをした時点で増額率が決まります。
- 上限は75歳まで:昭和27年4月2日以後生まれの人は、75歳に達した月を過ぎて請求しても増額率は増えません。増額された年金は75歳までさかのぼって決定され、支払われます。
- 昭和27年4月1日以前生まれの人:繰下げの上限年齢は70歳までで、増額率は最大42%です。
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増額率の早見表(66歳〜75歳)
計算式に、65歳に達した月から数えた月数をあてはめた値です(ちょうどその年齢の誕生月に申し出た場合の目安)。月単位の正確な増額率は、日本年金機構の「繰下げ増額率早見表」で確認できます。
| 繰り下げる年齢 | 月数 | 増額率 |
|---|---|---|
| 66歳 | 12か月 | 8.4% |
| 67歳 | 24か月 | 16.8% |
| 68歳 | 36か月 | 25.2% |
| 69歳 | 48か月 | 33.6% |
| 70歳 | 60か月 | 42.0% |
| 71歳 | 72か月 | 50.4% |
| 72歳 | 84か月 | 58.8% |
| 73歳 | 96か月 | 67.2% |
| 74歳 | 108か月 | 75.6% |
| 75歳 | 120か月 | 84.0% |
個人事業主が繰り下げるとき
個人事業主は、国民年金の老齢基礎年金を繰り下げて受け取れます。増額の対象は老齢基礎年金の額で、加給年金額や振替加算額は増額の対象になりません。また、繰下げの待機期間(年金を受け取っていない期間)中は、加給年金額や振替加算を受け取ることができません。
国民年金に上乗せする付加年金や、国民年金基金の扱いは、付加年金や個人事業主が年金を増やす方法で説明しています。
法人役員が繰り下げるとき
法人の役員が厚生年金に加入して働き続ける場合は、在職老齢年金の制度で年金の一部が支給停止になることがあります。日本年金機構は、65歳以後に厚生年金保険に加入していた期間や、70歳以後に厚生年金保険の適用事業所に勤務していた期間に、在職老齢年金で支給停止される額は、増額の対象にならないと案内しています。
この場合の繰下げ加算額は、繰下げ加算額に平均支給率をかけて計算します。平均支給率は、月ごとの支給率(1 −(在職支給停止額 ÷ 65歳時の老齢厚生年金額))の合計を繰下げ待機期間で割った値です。役員報酬と年金の支給停止の関係は役員報酬と在職老齢年金で整理しています。
繰下げの注意点
- 日本年金機構と共済組合等から複数の老齢厚生年金を受け取れる場合は、すべての老齢厚生年金について同時に繰下げ請求をする必要があります。
- 増額率は手続きをした時点で決まります。手続きの時期を確認してから請求します。
- 実際に何歳で受け取るのが有利かは、受け取れる年金の種類、在職の有無、他の収入によって異なります。個別の試算は年金事務所で相談できます。
よくある質問
- 年金を75歳まで繰り下げると何%増えますか?
- 0.7%に、65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数(120か月)をかけて、84%増えます。昭和27年4月2日以後に生まれた人が対象で、昭和27年4月1日以前生まれの人は70歳が上限で最大42%です。
- 個人事業主でも年金の繰下げはできますか?
- できます。老齢基礎年金の額に増額率をかけて増額されます。ただし、加給年金額や振替加算額は増額の対象になりません。
- 会社の役員として働いていると、繰下げの増額は減りますか?
- 在職老齢年金で支給停止される額に相当する部分は増額の対象になりません。繰下げ加算額は平均支給率をかけて計算されます。
- 75歳を過ぎてから請求すると、さらに増えますか?
- 増えません。昭和27年4月2日以後生まれで、65歳に達した時点で老齢基礎年金を受け取る権利がある人は、75歳に達した月を過ぎて請求しても増額率は増えず、増額された年金は75歳までさかのぼって決まります。
まとめ
- 増額率は0.7% × 65歳に達した月から申出月の前月までの月数。
- 上限は75歳で84%。昭和27年4月1日以前生まれは70歳で42%。
- 加給年金額・振替加算額は増額されず、待機中は受け取れない。
- 法人役員は、在職老齢年金で支給停止される額が増額の対象外。
- 増額率は手続きをした時点で決まる。
公式一次情報
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」(増額率の計算式、上限年齢、在職中の扱い、注意点。2026-10-19確認)

