個人事業主の納税証明書・所得証明・課税証明|その1〜4と年度の選び方
提出先から税金や所得の証明を求められたときに、国税の納税証明書と市区町村の所得・課税・納税証明書を取り違えないための選び方を整理します。
国税庁・e-Tax・自治体の公式情報「納税証明書」という名前でも、税務署が出す国税の証明書と、市区町村が出す住民税の証明書は別物です。所得を証明する書類も、国税の「その2」と市区町村の所得・課税証明書では、発行元と年度の表し方が異なります。
先に提出先へ、証明する内容・税目・年分または年度・必要部数を確認し、その指定から発行元を逆引きするのが確実です。
必要な証明書の逆引き表
提出先の案内に「所得」「納付額」「未納がないこと」のどれが必要か書かれているかを確認します。書類名だけでは判断せず、発行元も一緒に確かめてください。
| 証明したい内容 | 候補になる書類 | 発行元・請求先 |
|---|---|---|
| 申告所得税の所得金額 | 国税の納税証明書「その2」 | 現在の納税地を所轄する税務署 |
| 国税の納付すべき額・納付済額・未納額 | 国税の納税証明書「その1」 | 現在の納税地を所轄する税務署 |
| 国税に未納がないこと | 「その3」または個人用の「その3の2」 | 現在の納税地を所轄する税務署 |
| 前年の所得・控除・住民税額 | 市区町村の所得証明書・課税証明書 | 必要年度の1月1日に住所があった市区町村 |
| 住民税の年税額・納付済額・未納額 | 市区町村の納税証明書 | 住民税を課税した市区町村 |
自治体によって証明書の名称や載る項目が異なります。提出先が必要としている項目を伝え、どの種類を取るべきか確認してください。
国税の納税証明書その1〜4
国税庁は、納税証明書を証明内容ごとに分けています。個人事業主が選ぶときは、次の区分を確認します。
| 種類 | 証明する主な内容 | 選ぶときの確認 |
|---|---|---|
| その1 | 納付すべき税額、納付済額、未納税額等 | 税目・年分・必要部数を指定する |
| その2 | 申告所得税・復興特別所得税に係る所得金額 | 証明する年分を指定する |
| その3 | 指定した税目に未納がないこと | 提出先が指定する税目を確認する |
| その3の2 | 申告所得税・復興特別所得税、消費税・地方消費税に未納がないこと | 個人用の様式 |
| その4 | 指定期間に滞納処分を受けていないこと | 証明する期間を確認する |
所得金額なら「その2」、納付額なら「その1」、未納がないことなら「その3」系という違いがあります。提出先が種類を指定している場合は、その指定を優先します。
所得証明・課税証明・住民税の納税証明
市区町村の証明書は、国税ではなく個人住民税に関する書類です。課税証明書には前年の所得、所得控除、住民税の課税額などが載るのが一般的です。
京都市には、所得金額を証明する所得証明書と、所得金額・課税額・控除内訳等を証明する課税証明書があります。一方、名称や掲載項目は自治体ごとに異なるため、自分の市区町村の案内で確認が必要です。
住民税の納税証明書は、年税額・納付済額・未納額等を証明します。税務署が出す国税の納税証明書とは発行元も内容も違います。
所得の年分と課税年度の1年差
住民税は前年の所得にもとづいて翌年度に課税されます。そのため、証明書の「所得のあった年」と「課税年度」は1年ずれます。
| 証明したい所得 | 国税のその2 | 市区町村の証明書 |
|---|---|---|
| 令和7年中の所得 | 令和7年分を指定 | 令和8年度を指定する例 |
京都市では、令和8年度の所得証明・課税証明に令和7年中の所得が載ります。新年度分は原則6月1日から発行すると案内しています。発行開始日は自治体ごとに確認してください。
転居している場合でも、必要年度の1月1日に住所があった市区町村が請求先になります。現在の住所地と異なることがあるため、年度と1月1日の住所をセットで確認します。
請求方法・手数料・必要書類
国税の納税証明書は、e-Taxで請求し電子データ・郵送・税務署窓口で受け取る方法と、書面で窓口または郵送請求する方法があります。
| 請求方法 | 国税の手数料 | 主な確認事項 |
|---|---|---|
| e-Taxでオンライン請求 | 原則370円単位 | 電子データ・郵送・窓口から受取方法を選ぶ。電子データや郵送受取は電子証明書等が必要 |
| 税務署窓口で書面請求 | 原則400円単位 | 交付請求書、手数料、本人確認・番号確認の書類を用意 |
| 税務署へ郵送請求 | 原則400円単位+返信郵送料 | 交付請求書、収入印紙、返信用封筒、本人確認・番号確認書類の写しを用意 |
その1・その2は、税目数や年度数、枚数に応じて手数料が増えます。災害復旧資金の借入れなど、用途によって手数料が免除される場合もあります。
市区町村の証明書は、窓口・郵送・コンビニ交付などの方法があります。対象となる証明書、手数料、取得できる年度、転出後の扱いは自治体ごとに違います。
請求前に確認する例外
- 提出先の指定:書類名だけでなく、税目・年分または年度・原本か電子データか・必要部数を確認する
- 申告・納付の直後:国税庁は、申告や納税の直後は当日中に発行できない場合があると案内している
- 住民税の納付直後:自治体の記録へ反映するまで時間がかかる場合がある。急ぐときの持参書類は自治体へ確認する
- 課税資料がない場合:収入がなくても、市区町村に課税資料がなければ証明書を発行できず、申告が必要になる場合がある
- 代理人が請求する場合:委任状など、本人請求とは別の書類が必要になる
国民年金保険料の免除申請では、所得証明書が原則添付不要となる条件があります。健康保険の扶養手続きで課税証明書を使う場合は、被扶養者届の収入確認書類も確認してください。
公式一次情報
- 国税庁「No.9208 納税証明書の請求」(その1〜4の証明内容、請求先、発行時期の注意)
- 国税庁「納税証明書の交付請求手続」(手数料、窓口・郵送の必要書類)
- e-Tax「納税証明書の交付請求」(オンライン請求と受取方法)
- 国分寺市「課税証明書と納税証明書の違い」(住民税の証明内容)
- 京都市「所得証明書、課税証明書」(種類、年度、請求先、発行開始時期)
- 渋谷区「住民税納課税証明書」(発行条件、納付直後の注意)
まとめ
- 国税の納税証明書と、市区町村の所得・課税・納税証明書は発行元と内容が異なる。
- 国税は、所得金額ならその2、納付額ならその1、未納がないことならその3系を確認する。
- 住民税証明は、所得の年と課税年度が1年ずれ、必要年度の1月1日の住所地が請求先になる。
- 提出先へ種類・税目・年分または年度・媒体・部数を確認してから請求する。
よくある質問
- 所得を証明したいときは、納税証明書その2で足りますか?
- 提出先が申告所得税の所得金額を求めている場合は候補になります。住民税の所得・課税証明書を指定されることもあるため、発行元・年分または年度を提出先へ確認してください。
- 令和7年の所得が載る課税証明書は何年度ですか?
- 京都市の例では令和8年度です。住民税は前年所得にもとづいて翌年度に課税されるため、所得の年と課税年度が1年ずれます。
- 引っ越したあとは、現在の市区町村で所得証明書を取れますか?
- 必要年度の1月1日に住所があった市区町村が請求先です。現在の住所地と異なる場合は、当時の市区町村の請求方法を確認してください。
- 申告や納付をした当日に証明書を取れますか?
- 取れない場合があります。国税庁は申告・納税直後の当日発行ができない場合があると案内しています。住民税も反映時期が自治体ごとに異なります。