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法人化すると配偶者・親を健康保険の扶養に入れられるか

国民健康保険には扶養という考え方がありません。法人化して協会けんぽ等に加入すると、配偶者や親を被扶養者にできる場合があります。収入要件と手続きを整理します。

協会けんぽ・日本年金機構の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

個人事業主が加入する国民健康保険には、被扶養者という制度がありません。世帯の人数分だけ、それぞれの保険料がかかります。法人化して健康保険(協会けんぽ等)に加入すると、一定の収入要件を満たす配偶者や親などを被扶養者にでき、その家族分の保険料負担がなくなります。

この記事では、被扶養者になれる人の範囲、収入要件、手続きを協会けんぽ・日本年金機構の公式情報にもとづいて整理します。

国民健康保険には扶養の概念がない

横浜市は、国民健康保険には職場の健康保険のような「本人」「被扶養者」という考え方はなく、一人ひとりが「被保険者」になるとしています。配偶者や親と同じ世帯であっても、それぞれが個別に国民健康保険の被保険者になり、保険料もそれぞれにかかります(保険料の納付義務は世帯主が負います)。

法人化して代表者が協会けんぽ等の健康保険に加入すると、この仕組みが変わります。収入要件を満たす配偶者・親等を被扶養者にできれば、その家族分は保険料を新たに負担せずに健康保険の給付を受けられます。

被扶養者になれる人の範囲

日本年金機構は、被保険者の配偶者(事実婚を含む)・子・孫・兄弟姉妹・父母や祖父母等の直系尊属は、同居していなくても被扶養者になれるとしています。これら以外の3親等内の親族(おじ・おば、甥・姪等)や、事実婚の配偶者の父母・子は、同居していることが要件になります。

配偶者だけでなく、親(父母・祖父母)も同居せずに被扶養者にできる点は、法人化を検討する際に見落とされやすいポイントです。

収入要件(130万円未満・同居と別居の違い)

日本年金機構は、被扶養者になるための収入要件を、年間収入130万円未満(60歳以上または一定の障害がある場合は180万円未満)で、かつ被保険者により主として生計を維持されていることとしています。

同居か別居かで基準が変わる:被保険者と同居している場合は、被扶養者にしたい人の年間収入が被保険者の年間収入の半分未満であることが必要です。別居している場合は、被扶養者にしたい人の年間収入が、被保険者からの仕送り額より少ないことが必要です。

手続き(事実発生から5日以内)

日本年金機構は、家族を被扶養者にする手続きの提出期限を、事実発生から5日以内としています。提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所です。

必要書類は、続柄を確認する書類(戸籍謄本または住民票、マイナンバーの記載等で省略できる場合あり)と、収入を確認する書類(課税証明書、年金額の通知書、離職票等、該当するもの)です。別居している場合は仕送りの事実が分かる通帳の写し等、内縁関係の場合は戸籍謄本と住民票が追加で必要になります。

配偶者控除(税制)との違い

ここまでの被扶養者の要件は、健康保険法・厚生年金保険法にもとづく社会保険の制度です。所得税・住民税の配偶者控除は、根拠法令の異なる別の税制上の制度で、収入基準も異なります(令和8年分は配偶者の合計所得62万円以下が基準で、本記事の年間収入130万円未満とは別の基準)。配偶者控除・配偶者特別控除の要件と控除額は個人事業主の配偶者控除・配偶者特別控除で解説しています。

マイクロ法人化にともなう社会保険料全体の仕組みと役員報酬の決め方は、記事「マイクロ法人で社会保険料はいくら安くなる?」を参照してください。協会けんぽの保険料率は都道府県ごとに異なるため、協会けんぽの保険料率が都道府県で変わる仕組みも確かめてください。

まとめ

  • 国民健康保険には被扶養者という区分がなく、世帯の加入者それぞれに保険料がかかる。
  • 法人化して健康保険(協会けんぽ等)に加入すると、要件を満たす配偶者・親等を被扶養者にできる。
  • 配偶者・子・父母や祖父母等の直系尊属は、同居していなくても被扶養者になれる。それ以外の3親等内の親族は同居が必要。
  • 収入要件は年間130万円未満(60歳以上等は180万円未満)で、同居なら被保険者の収入の半分未満、別居なら仕送り額未満であることが必要。
  • 手続きの提出期限は事実発生から5日以内。所得税・住民税の配偶者控除とは別の制度。

公式一次情報

よくある質問

国民健康保険には扶養がありませんか?
ありません。横浜市は、国民健康保険には職場の健康保険のような「本人」「被扶養者」という考え方はなく、一人ひとりが「被保険者」になるとしています(出典:横浜市)。法人化して健康保険に加入すると、要件を満たす家族を被扶養者にできます。
親も被扶養者にできますか?
できます。日本年金機構は、配偶者・子・孫・兄弟姉妹・父母や祖父母等の直系尊属は、同居していなくても被扶養者になれるとしています(出典:日本年金機構)。
被扶養者になるための収入要件は?
年間収入130万円未満(60歳以上または一定の障害がある場合は180万円未満)で、被保険者により主として生計を維持されていることが要件です。同居の場合は被保険者の年間収入の半分未満、別居の場合は仕送り額未満であることが必要です(出典:日本年金機構)。
配偶者控除と何が違いますか?
被扶養者は社会保険(健康保険)の制度、配偶者控除は所得税・住民税の制度で、根拠法令も収入要件も異なります(配偶者控除は令和8年分で配偶者の合計所得62万円以下が基準)。配偶者控除・配偶者特別控除は個人事業主の配偶者控除・配偶者特別控除で解説しています。
本記事について。税理士・社会保険労務士監修前の概説です。個別の認定可否は年金事務所または加入する健康保険組合にご確認ください。