NPO法人の設立手続き|認証の要件・縦覧2週間・法人税の扱い
任意団体や個人事業の活動をNPO法人(特定非営利活動法人)にする場合に、設立までの流れ、認証の基準(社員10人以上など)、設立登記の期限、法人税のかかり方を、内閣府・国税庁などの公式資料で整理します。
法人化(法人成り)ボランティアや地域活動、福祉・教育などの活動を続けている人が法人格を持つ方法の1つが、NPO法人(特定非営利活動法人)です。株式会社や一般社団法人と違い、設立には所轄庁(都道府県など)の「認証」が必要です。
この記事は、認証までの流れと期間、認証の基準、設立登記の期限、法人税のかかり方を整理します。事業で利益を出して分配したい場合は、NPO法人の仕組みと合うかどうかも確認してください。
設立までの流れと期間
内閣府のNPOホームページによると、NPO法人を設立するには、法律で定められた書類を添付した申請書を所轄庁に出して設立の「認証」を受け、そのあとに登記をします。認証を受けただけでは法人にならず、登記をして初めて法人として成立します。
| 段階 | 内容 | 期間・期限 |
|---|---|---|
| 1 | 設立総会を開き、申請書類をそろえて所轄庁に申請する | - |
| 2 | 所轄庁が書類の一部を公衆の縦覧に供し、インターネットなどで公表する | 申請書の受理から2週間 |
| 3 | 所轄庁が認証または不認証を決定し、書面で通知する | 縦覧期間の経過後2か月以内(条例でより短い期間を定める所轄庁もある) |
| 4 | 主たる事務所の所在地で設立の登記をする | 認証通知があった日から2週間以内 |
| 5 | 登記事項証明書と成立時の財産目録を添えて所轄庁へ届け出る | 遅滞なく |
所轄庁は、都道府県の知事または指定都市の長です。確認は書面審査で行うことが原則とされています。
申請書に添付する書類は、定款、役員名簿、役員の就任承諾書及び誓約書の謄本、役員の住所または居所を証する書面、社員のうち10人以上の氏名と住所を示した書面、認証要件に適合することを確認した書面、設立趣旨書、設立の意思決定を証する議事録の謄本、設立当初の事業年度と翌事業年度の事業計画書・活動予算書の10種類です。
この記事の内容を申告書に落とすときの本PR
記事で確かめた内容を、申告書の記入や帳簿の付け方まで一冊で追いたいとき向けです。
認証の基準
所轄庁は、申請が次の基準に適合すると認めるときは、設立を認証しなければならないとされています(内閣府)。
| 基準 |
|---|
| 特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること |
| 営利を目的としないこと(構成員に収益を分配したり財産を還元したりすることを目的としない) |
| 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと |
| 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること |
| 宗教活動や政治活動を主たる目的としないこと |
| 特定の公職者(候補者を含む)や政党を推薦・支持・反対することを目的としないこと |
| 暴力団などの統制の下にある団体でないこと |
| 10人以上の社員を有すること |
内閣府の比較ページでは、組織の要件として、10人以上の社員、理事3人以上、監事1人以上が必要と示されています。1人や家族だけでは作れず、最低でも社員10人が必要です。
「営利を目的としない」は、利益を得てはいけないという意味ではありません。内閣府は、構成員に収益を分配したり財産を還元したりしないことだと説明しています。
認証後の登記と届出
設立の登記は、認証通知があった日から2週間以内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局で行います。登記が済むと、遅滞なく所轄庁へ登記事項証明書と財産目録を添えて届け出ます。
認証を受けてから6か月が過ぎても登記をしないときは、所轄庁は認証を取り消すことができます。新潟県の案内では、設立登記の登録免許税は非課税とされています。登記の前に、法務局で最新の取扱いを確認してください。
法人税のかかり方
国税庁の質疑応答事例によると、NPO法人は法人税法上の公益法人等とみなされ、収益事業を行う場合に法人税の申告が必要です。税率は普通法人と同じです。
収益事業とは、法人税法施行令5条が定める34の事業(物品販売業、不動産貸付業、請負業、技芸教授業など)で、継続して事業場を設けて行われるものです。NPO法人でも、収益事業から生じた所得には法人税がかかります。34事業の一覧は、末尾の国税庁パンフレットに載っています。
また、収入金額の合計額が8,000万円以下の小規模な法人を除き、事業年度の収支計算書を提出する必要があります(国税庁、租税特別措置法68条の6)。
一般社団法人との違い
公式資料で確認できた範囲で、2つの法人の違いを並べます。
| 項目 | NPO法人 | 一般社団法人 |
|---|---|---|
| 設立の方式 | 所轄庁の認証のあとに登記 | 公証人の定款認証のあとに登記 |
| 設立時の人数 | 社員10人以上、理事3人以上、監事1人以上 | 社員2人以上、理事1人以上 |
| 活動分野 | 特定非営利活動(法律に定める分野)を主たる目的とする | 事業の公益性の有無は問われない |
| 利益の分配 | 構成員に分配しない | 社員に分配する定めは効力を持たない |
| 法人税 | 公益法人等として収益事業の所得に課税 | 非営利型法人の要件を満たせば収益事業の所得に課税。満たさなければ全所得に課税 |
一般社団法人の設立手続きと費用は、一般社団法人で法人成りする場合の設立手続き・費用と法人税の扱いにまとめています。
まとめ
NPO法人は、所轄庁へ申請して認証を受けたあと、認証通知から2週間以内に登記して成立します。認証の基準には、10人以上の社員と、報酬を受ける役員が総数の3分の1以下であることなどが含まれます。
法人税は、収益事業から生じた所得にかかります。個別の判断は、所轄庁や税理士にご相談ください。
よくある質問
- NPO法人の設立に必要な人数は?
- 10人以上の社員が必要です。理事は3人以上、監事は1人以上が必要です(出典:内閣府NPOホームページ「認証制度について」、内閣府「公益法人制度とNPO法人制度の比較」)。
- 認証を受けるまでの期間は?
- 申請書の受理から2週間、書類の一部が縦覧されます。所轄庁は、その縦覧期間の経過後2か月以内に認証または不認証を決定します(出典:内閣府NPOホームページ「認証制度について」)。
- 認証を受けたら、いつまでに登記しますか?
- 認証通知があった日から2週間以内に、主たる事務所の所在地で設立の登記を行います。認証から6か月を過ぎても登記しないと、認証が取り消されることがあります(出典:同上)。
- NPO法人は利益を出してはいけませんか?
- 利益を得てはいけないという意味ではなく、構成員に収益を分配したり財産を還元したりしないことを指します(出典:内閣府NPOホームページ「認証制度について」)。
- NPO法人にも法人税はかかりますか?
- かかります。法人税法上の公益法人等とみなされ、収益事業を行う場合に法人税の申告が必要です(出典:国税庁「特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人の法人税法上の取扱い」)。
法人の形ごとの比べ方は、個人事業と法人の違いと株式会社と合同会社の違いで扱っています。
公式一次情報
- 内閣府NPOホームページ「認証制度について」(申請書類10種類、縦覧2週間、認証の決定は縦覧期間経過後2か月以内、登記は認証通知から2週間以内、6か月で認証取り消し、認証の基準。2026-10-23確認)
- 内閣府「公益法人制度とNPO法人制度の比較」(社員10人以上、理事3人以上、監事1人以上、役員報酬を受ける者は3分の1以下。2026-10-23確認)
- 国税庁「特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人の法人税法上の取扱い」(公益法人等とみなされ収益事業に法人税、税率は普通法人と同じ、収支計算書。2026-10-23確認)
- 新潟県「NPO法人設立認証後の手続き(設立登記と登記完了届)」(登記は認証通知から2週間以内、登録免許税は非課税。2026-10-23確認)
- 国税庁パンフレット「一般社団法人・一般財団法人と法人税」(収益事業34事業の一覧。2026-10-23確認)

