定款認証の手続きと費用|株式会社は必要・合同会社は不要
株式会社を作るときは、定款に公証人の認証を受けなければ効力が生じません。合同会社には認証が要りません。認証が要る会社・要らない会社の区別、認証を受ける公証役場、必要な書類、手数料(3万円・4万円・5万円)、収入印紙4万円の扱い、認証後の変更を、会社法と日本公証人連合会の案内にもとづいて整理します。
法人化(法人成り)法人成りで株式会社を選ぶと、設立登記の前に定款を公証役場で認証してもらう手続きが入ります。合同会社を選ぶと、この手続きはありません。
この記事は、認証が必要かどうか、どこでどう受けるか、いくらかかるかを説明します。電子定款で印紙代が不要になる仕組みは電子定款の記事、事業目的の書き方は定款の事業目的の記事で扱います。
認証が必要な会社・不要な会社
株式会社の設立時の定款(原始定款)は、公証人の認証を受けなければ効力が生じません(会社法30条1項)。日本公証人連合会は、認証が必要な定款として株式会社、一般社団法人・一般財団法人、税理士法人などを挙げています。
合名会社・合資会社・合同会社の持分会社は、認証が不要です。持分会社の定款は、社員になろうとする人が作成して全員が署名か記名押印をします(会社法575条1項)。電磁的記録で作ることもできます(同条2項)。
株式会社にだけ認証が求められるのは、株式会社が不特定多数の人がかかわる設計の会社で、設立後の紛争の予防や不正の防止の必要性が特に高いためだと、日本公証人連合会は説明しています。合同会社と株式会社の違い全体は合同会社と株式会社の比較を見てください。
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どの公証役場で受けるか
定款の認証は、会社の本店の所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人しかできません(公証人法62条の2)。たとえば東京都内に本店を置く会社の定款は、東京都内の公証役場で認証を受けます。
管轄の外の公証人がした認証は無効になります。本店の所在地をどこにするかを決めてから、その地域の公証役場を探します。
手続きの流れと必要書類
定款の認証は、発起人が公証人に頼む(嘱託する)形で行います。公証人に提出するのは、定款の原本2通です。1通は役場が保存し、もう1通が会社の保存用として戻ります。
設立登記では認証を受けた謄本1通が必要になるため、通常は定款3通を出します。
発起人が本人であることを示すために、実務では発起人の印鑑登録証明書を出します。発行後3か月以内のものに限られます。発起人の代わりに別の人が手続きをする場合は、委任状と、その人の本人確認書類が要ります。
- 商号・目的・本店の所在地・出資される財産の価額(またはその最低額)・発起人の氏名と住所を決め、定款を作ります(会社法27条)。
- 認証を受ける公証役場に、書類や日程を確認します。
- 公証役場で認証を受けます。
- 認証後に、資本金の払込みなどを経て設立登記を申請します。
定款に記載する事項は、必ず書く事項を欠くと定款が無効になります。事業目的の書き方は、末尾の関連記事で確認できます。
認証にかかる費用
株式会社の定款認証の手数料は、資本金の額などによって次のとおり決まります(公証人手数料令35条)。
| 資本金の額等 | 認証の手数料 |
|---|---|
| 100万円未満 | 3万円(一定の小規模な設立は1万5000円) |
| 100万円以上300万円未満 | 4万円 |
| 300万円以上 | 5万円 |
100万円未満で1万5000円になるのは、発起人全員が個人で3名以下、発起設立、取締役会を置かないの3つをすべて満たすときです。定款に資本金の額が書かれていない場合は、「設立に際して出資される財産の価額」が基準になります。「最低額」を書いた定款は5万円の区分です。
手数料のほかに、登記用の謄本の手数料が1枚250円かかります。紙の定款には、収入印紙4万円を公証人が保存する原本に貼ります。電子定款なら収入印紙は不要です。
電子定款の仕組みは、末尾の関連記事で確認できます。
日本公証人連合会は、株式会社の設立に最低限かかる費用として、認証手数料(3万円から5万円)、謄本代(1枚250円)、印紙代(4万円、電子定款は不要)、設立登記の登録免許税(15万円か出資額の1000分の7のいずれか高い額)を挙げています。設立前に、これらの合計を見積もっておくと安心です。
認証後の変更
公証人の認証が必要なのは、設立時の定款だけです。設立後に定款を変更するときは、認証は要りません。
設立前に認証を受けた定款は、原則として変更できません(会社法30条2項)。認証を受けたあとに創立総会で本店の所在地を別の法務局の管轄に移したときは、変更後の定款について、新しい管轄の公証人に改めて認証を受けます。軽微な誤記を訂正できるかどうかは、認証した公証人に確認するよう、日本公証人連合会が案内しています。
次に知りたいこと
電子定款とは:収入印紙4万円が不要になる仕組み
定款の事業目的の書き方:登記で審査される点と変更の手続き
合同会社と株式会社どっち:費用・手間・取引条件の比較
まとめ
- 株式会社の設立時の定款は、公証人の認証がないと効力が生じない(会社法30条1項)。
- 合同会社などの持分会社は、定款の認証が不要。
- 認証は、本店の所在地を管轄する法務局所属の公証人にしか頼めない。
- 認証手数料は資本金により3万円・4万円・5万円。紙の定款は収入印紙4万円、電子定款は不要。
- 設立後の定款変更では認証は要らない。
公式一次情報
- 日本公証人連合会「定款認証」(認証が必要な定款・不要な定款、管轄、必要書類、費用)
- 日本公証人連合会「手数料」(定款認証の手数料、収入印紙)
- e-Gov法令検索「会社法」(27条 定款の記載事項、30条 定款の認証、575条 持分会社の定款の作成)
よくある質問
- 合同会社の設立でも定款の認証は必要ですか?
- 必要ありません。合同会社などの持分会社の定款は、公証人の認証が要りません(出典:日本公証人連合会)。
- 定款の認証はどこで受けますか?
- 会社の本店の所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人が行います。管轄の外の公証人がした認証は無効です(出典:日本公証人連合会、公証人法62条の2)。
- 定款認証の手数料はいくらですか?
- 資本金が100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円です。このほかに謄本1枚につき250円がかかります(出典:日本公証人連合会)。
- 収入印紙4万円は必ず必要ですか?
- 紙の定款では必要です。電子定款の場合は収入印紙を貼る必要がありません(出典:日本公証人連合会)。
- 設立後に定款を変更するときも認証が必要ですか?
- 必要ありません。公証人の認証が要るのは設立時の定款だけです(出典:日本公証人連合会)。

