定款の事業目的の書き方|登記で審査される点・後から変更する手続きと登録免許税3万円
株式会社を設立するときの定款の「目的」について、会社法の定めと法務省の審査の扱い、記載例の形、設立後に目的を変えるときの手続きを、法務省の案内にそって整理します。
法人化(法人成り)法人成りで株式会社を作るとき、定款には必ず「目的」(その会社がどんな事業を行うか)を書きます。目的に書いていない事業を後から始めたくなったときは、目的の変更の手続きが要ります。
この記事は、目的の書き方に決まった型があるかどうか、登記で何が審査されるか、設立後に変えるときの費用と手順を整理します。許認可が必要な事業の目的の書き方は、個別の事業ごとに違うため、確認できなかった点として分けて書きます。
目的は定款に必ず書く事項
会社法27条は、株式会社の定款に書かなければならない事項として、目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称と住所の5つを挙げています。目的は、この5つの1番目に置かれた書かなければならない事項です。
| 号 | 定款に書く事項(会社法27条) | この記事のほか |
|---|---|---|
| 1号 | 目的 | この記事 |
| 2号 | 商号 | 法人成りの商号の決め方 |
| 3号 | 本店の所在地 | 本店を自宅にする場合とバーチャルオフィス |
| 4号 | 出資される財産の価額またはその最低額 | 資本金の決め方 |
| 5号 | 発起人の氏名または名称と住所 | 法人化の手続き |
登記で審査されること、されないこと
法務省の「会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A」は、会社の目的が具体的かどうかについては、従来と異なり、登記の申請に際して審査はしないと説明しています。法務省民事局長通達(会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱い)にも、設立の登記等では目的の具体性の審査を要しないと書かれています。
ただし同じQ&Aは、次の2点を注意として書いています。
- 目的に適法性や明確性がないもの(公序良俗に反するもの、記載内容が不明確なもの)は、これまでと同様に登記できない。
- 書き方によっては、官公庁への届出や取引などで不都合が生じることがあり得る。詳しくは提出先の官公庁などに問い合わせる。
つまり、登記の窓口で「具体的でない」と断られることはなくても、許認可の申請先や取引先が、目的の記載を見て判断する場面は残ります。どの許認可でどう見られるかは、この記事では確認できていません。
記載例の形と書くときの考え方
法務局が公開している「目的の変更」の登記申請書の記載例では、目的は番号を付けて並べ、最後の号を「前各号に附帯する一切の事業」とする形になっています。
| 号 | 記載例(法務局の様式の形) |
|---|---|
| 1 | ○○の製造販売 |
| 2 | ○○の売買 |
| 3 | 前各号に附帯する一切の事業 |
上の表は法務局の様式にある記載の形で、実際に書く事業内容は会社ごとに決めます。この記事が確認できたのは、形式と審査の扱いまでです。次の考え方は、法務省の案内から導けることだけにしぼっています。
- 今やる事業と、近い将来に始める予定の事業を書いておくと、後で目的の変更をする手間を減らせる。
- 許認可が必要な事業は、申請先が目的の記載を見る場合があるため、先に申請先へ確認する。
- 意味が分かりにくい表現は、明確性がないとされて登記できないおそれがある。
会社の費用や設立の流れ全体は法人成りにかかる費用で、個人事業から会社へ事業をそのまま移す場合の手続きは法人化の手続きで扱っています。
設立後に目的を変えるとき
目的は定款の事項なので、変えるには定款の変更が必要です。会社法466条は、株式会社が成立後に株主総会の決議で定款を変更できると定めています。定款変更の決議は特別決議で、議決権を行使できる株主の議決権の過半数(定款で3分の1以上に下げられる)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です(会社法309条2項11号)。
| 手順 | 内容 | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| 1. 株主総会の特別決議 | 目的を変更する決議をする | 会社法466条・309条2項11号 |
| 2. 変更の登記 | 変更が生じたときから2週間以内に、本店の所在地で申請 | 会社法915条1項 |
| 3. 登録免許税 | 3万円(法務局の記載例) | 法務局「株式会社変更登記申請書(目的の変更)」 |
| 4. 添付書類 | 株主総会議事録、株主リスト | 同上 |
法務局の記載例には、目的は変更した部分だけでなく、変更後のすべての目的を記録するという注意書きがあります。登録免許税の額は、記載例の1件の金額です。ほかの変更とあわせて申請する場合の扱いは、この記事では確認できていません。
議事録の作り方は株主総会議事録の作り方、本店移転や役員変更とあわせて登記を行う場合は本店移転の登記も参考になります。
まとめ
- 目的は、株式会社の定款に必ず書く事項(会社法27条1号)。
- 登記では目的の具体性は審査されない。ただし適法性・明確性がないものは登記できない(法務省)。
- 書き方によっては官公庁への届出や取引で不都合が出ることがあり、提出先への確認が必要(法務省Q&A)。
- 目的の変更は株主総会の特別決議、変更から2週間以内に登記。登録免許税は記載例で3万円。
- 許認可が必要な事業の目的の書き方は、この記事では確認できなかった。
よくある質問
- 定款の目的は必ず書く必要がありますか?
- 必要です。目的は、株式会社の定款に書かなければならない事項の1つです(出典:会社法27条1号)。
- 目的が抽象的でも登記できますか?
- 法務省は、会社の目的が具体的かどうかについては登記の申請に際して審査はしないとしています。ただし、適法性や明確性がないものは登記できません(出典:法務省「会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A」Q15)。
- 目的に書いていない事業を始めるにはどうしますか?
- 株主総会の特別決議で目的を変更し、変更から2週間以内に変更の登記を申請します(出典:会社法466条・309条2項11号・915条1項)。
- 目的の変更の登録免許税はいくらですか?
- 法務局の「目的の変更」の記載例では3万円です(出典:法務局「株式会社変更登記申請書(目的の変更)」)。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法」(27条:定款の絶対的記載事項、309条2項11号:定款変更は特別決議、466条:定款の変更、915条1項:変更の登記は2週間以内。2026-10-04確認)
- 法務省「会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A」(Q15:目的の具体性は審査しない、適法性・明確性がないものは登記できない、官公庁への届出などで不都合の可能性。2026-10-04確認)
- 法務省「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」(第7部第2「会社の目的の具体性」:設立の登記等で具体性の審査を要しない。2026-10-04確認)
- 法務局「株式会社変更登記申請書(目的の変更)」記載例(目的は変更後のすべてを記録、登録免許税3万円、添付は株主総会議事録と株主リスト。2026-10-04確認)