法人の本店所在地は自宅?バーチャルオフィス?決める前の注意点
本店所在地は法定の登記事項で、誰でも取得できる登記事項証明書に記載されます。決める前に知っておきたい点を整理します。
会社法・建設業法の制度法人を設立するとき、本店所在地をどこにするかは最初に決める登記事項の一つです。自宅を本店にする、賃貸事務所を借りる、バーチャルオフィスを使うなど選択肢がありますが、本店所在地は登記事項であり、誰でも取得できる登記事項証明書に記載される公開情報です。
プライバシーの観点と、将来取得する可能性がある許認可の要件の観点から、決める前に知っておきたい点を整理します。
本店所在地は法定登記事項
株式会社を設立するときは、会社法911条3項3号により、本店及び支店の所在場所を登記しなければなりません。合同会社も同様に本店所在地は登記事項です。本店所在地は、会社の設立時から変更のたびに登記に反映され、削除や非公開にすることはできません。
自宅を本店にする場合のプライバシー
自宅を本店にすると、初期費用を抑えられる一方で、会社・法人の登記事項証明書は所定の手数料を払えば誰でも請求でき、自宅の住所が第三者に知られる状態になります。取引先や顧客に住所を直接開示していなくても、登記情報を調べれば分かる点は変わりません。
賃貸物件を自宅と本店の両方に使う場合は、契約上「事務所利用」「法人登記」が禁止されていないかを、契約前に貸主・管理会社へ確認しておくと安心です。バーチャルオフィス・レンタルオフィスを使えば、自宅の住所を登記に出さずに済みます。
許認可を取る予定がある場合の注意
建設業許可を取る予定がある場合は注意が必要です。建設業法施行規則1条は、許可の単位となる営業所を「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」と定めており、見積り・入札・契約締結などを実際に行える実体的なスペースが必要とされています。バーチャルオフィスのように常駐スペースを持たない形態では、この営業所要件を満たせない場合があります。
個人事業から法人成りする際の許認可の引き継ぎ全般は個人事業の許認可は法人成りで引き継げるかを参照してください。許認可を取る予定がある業種は、本店所在地を決める前に、その許可を管轄する行政庁(都道府県・国の出先機関等)へ営業所の要件を確認しておくと、設立後の変更登記の手間を避けられます。
まとめ
- 本店所在地は会社法上の登記事項で、削除・非公開にはできない。
- 自宅を本店にすると、登記事項証明書を通じて自宅住所が誰でも調べられる状態になる。
- 建設業許可等、営業所に実体を求める許認可を取る予定がある場合は、バーチャルオフィスでは要件を満たせないことがある。
- 賃貸契約で事務所利用・法人登記が禁止されていないか、契約前に確認する。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法」第911条(本店及び支店の所在場所が株式会社の設立登記事項であること)
- 法務省「会社・法人の登記事項証明書等を請求される方へ」(登記事項証明書は誰でも請求できること)
- e-Gov法令検索「建設業法施行規則」第1条(営業所の定義=常時建設工事の請負契約を締結する事務所)
よくある質問
- 自宅を本店にすると、住所は誰にでも見られてしまいますか?
- はい。会社・法人の登記事項証明書は所定の手数料を払えば誰でも請求でき、本店所在地はそこに記載されます(出典:法務省)。自宅の住所を公開したくない場合は、バーチャルオフィスやレンタルオフィスを本店にする方法があります。
- バーチャルオフィスを本店にすると、どんな許認可でも取れなくなりますか?
- 業種・許認可の種類によります。建設業許可のように、契約締結等の実体的な行為ができる営業所を求める許認可では、バーチャルオフィスでは要件を満たせない場合があります(出典:建設業法施行規則)。許認可を取る予定がある場合は、事前に管轄行政庁へ確認してください。
- 本店所在地は後から変更できますか?
- 変更登記により変更できますが、登記事項の変更には登録免許税がかかり、都道府県・市区町村をまたぐ変更では管轄法務局も変わります。最初にある程度見通しを立てておくと、変更の手間を減らせます。