ガイド

個人事業の許認可は法人成りで引き継げる?建設業・飲食店・古物商の扱い

許認可の種類によって、引き継げる・引き継げないが分かれます。代表的な13の許認可を整理します。

各省庁・都道府県の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

個人事業で許認可(建設業許可・飲食店営業許可・古物商許可など)を受けて営業している場合、法人成りをすると、その許認可は自動的に新会社へ引き継がれるわけではありません。個人と法人は法律上別の人格として扱われるため、許認可の根拠法ごとに「引き継げる制度があるか」が異なります。

引き継ぎ手続きを怠ると、無許可営業として罰則の対象になったり、営業できない空白期間が生じたりするおそれがあります。代表的な19の許認可の扱いを整理します。

許認可19種の引き継ぎ可否 早見表

許認可引き継ぎ根拠・手続き
建設業許可引き継げる事前に認可を受ける(建設業法17条の2)
飲食店営業許可引き継げる(全部譲渡のみ)保健所へ地位の承継届(令和5年12月13日改正)
旅館業引き継げる(全部譲渡のみ)事業譲渡契約前に都道府県知事の承認申請(令和5年12月13日改正)
興行場引き継げる(全部譲渡のみ)地位の承継届(令和5年12月13日改正)
公衆浴場業引き継げる(全部譲渡のみ)地位の承継届(令和5年12月13日改正)
クリーニング業引き継げる(全部譲渡のみ)地位の承継届(令和5年12月13日改正)
食鳥処理業引き継げる(全部譲渡のみ)都道府県知事へ地位の承継届
古物商許可引き継げない法人名義で新規取得
宅地建物取引業免許引き継げない個人の廃業で失効、法人名義で新規取得
産業廃棄物収集運搬業許可引き継げない法人名義で新規取得
貨物自動車運送事業の許可引き継げる一般貨物は認可(同法30条)、軽貨物は届出(同法36条)
探偵業の開始届出引き継げない法人名義で新規届出
質屋営業許可引き継げない法人名義で新規許可
旅行業登録引き継げない(保証金は承継可)法人名義で新規登録(登録番号も変わる)
警備業認定引き継げない法人名義で新規認定
有料職業紹介事業許可引き継げない法人名義で新規許可
美容所・理容所譲渡なら引き継げる営業の譲渡なら承継届、そうでなければ新規開設届
建築士事務所登録引き継げない個人の廃業届+法人の新規登録
酒類小売業免許承継はできない(同時申請で切替可)新規免許申請と既存免許の取消申請を同時提出

建設業許可:事前の認可を受ければ引き継げる

建設業許可は、令和2年10月1日施行の建設業法改正により、個人事業から法人への事業譲渡について、あらかじめ国土交通大臣または都道府県知事の認可を受ければ、許可番号を含めて建設業者としての地位を引き継げるようになりました(建設業法17条の2)。改正前は、いったん個人の許可を廃業し、法人で新規に許可を取り直す必要があり、その間は請負金額500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事を受注できない空白期間が生じていました。認可制度を使えば、この空白期間を避けられます。

承継の認可を受けるには、承継後も経営業務の管理責任者・専任技術者などの要件を法人側で満たしていることが必要です。認可の申請先・必要書類は許可行政庁(国土交通大臣許可か都道府県知事許可かで異なる)によって細部が変わるため、法人成りの計画段階で早めに窓口へ相談することをおすすめします。

飲食店営業許可:承継届で引き継げる(令和5年12月改正)

飲食店営業などの食品衛生法に基づく許可は、令和5年12月13日以降の事業譲渡について、譲受人(新会社)が新たな許可申請をしなくても、「地位の承継届」を保健所へ提出することで引き継げるようになりました。対象は、旅館業・食品衛生法の営業(飲食店・食品販売等)・理容所・興行場・公衆浴場・クリーニング店・美容室・食鳥処理業の8業種です。

ただし、営業の全部を譲渡する場合に限られ、一部だけの譲渡には適用されません。譲渡契約書などの証拠書類の添付が必要で、保健所による事後の施設調査もあります。法人成りの前に、営業許可を出した保健所へ事前相談することが推奨されています。

旅館業・興行場・公衆浴場業・クリーニング業・食鳥処理業:承継届で引き継げる(令和5年12月改正)

旅館業法・興行場法・公衆浴場法・クリーニング業法・食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律も、令和5年12月13日の改正で「営業者の地位の承継」制度が導入され、事業を全部譲渡した場合は新規の許可・登録を取り直さなくても、地位の承継の届出で引き継げるようになりました。

ただし手続きの重さは業種で異なります。興行場・公衆浴場業・クリーニング業は、施行日(令和5年12月13日)以降に締結した事業譲渡契約であれば、譲渡後に承継届を提出する事後届出で足ります。旅館業だけは事業譲渡契約を結ぶ前に都道府県知事の承認申請が必要で、承認前に契約の効力を発生させると新規の営業許可申請の扱いに戻ります。

食鳥処理業は、地位を承継した事実を証する書類とともに都道府県知事へ遅滞なく届け出る仕組みです。施行日より前に締結した契約は、いずれの業種も従来どおり新規の許可・登録申請が必要です。

古物商・宅建業・産廃収集運搬業:引き継げず法人で新規取得が必要

古物商許可:引き継げない・法人で新規取得

古物商許可には、建設業許可(17条の2)や食品衛生法の営業許可(承継届)のような、事業承継のための認可・届出制度が古物営業法にはありません。個人許可申請と法人許可申請は、必要書類が別に定められた区分で、個人で受けていた許可を、その人が法人の代表者になったからといって法人がそのまま使えるわけではありません。法人として営業を続けるには、法人名義で新たに古物商許可を申請する必要があります。

審査には一定の日数がかかるため、法人設立と申請のタイミングによっては、営業できない期間が生じないよう早めに準備を進める必要があります。詳細な運用(申請書類・審査期間)は、営業所を管轄する警察署(防犯係)へ事前に確認することをおすすめします。

宅地建物取引業免許:引き継げない・法人で新規取得

宅地建物取引業法には、建設業法17条の2のような事業承継の事前認可制度がありません。個人事業主が廃業すれば、宅建業法11条の届出により個人の免許はその効力を失います。法人として営業を続けるには、法人名義で新たに免許を申請する必要があります。

免許の要件(事務所・専任の宅地建物取引士の配置など)を審査する期間があるため、廃業・新規申請のタイミングによっては営業できない空白期間が生じるおそれがあります。免許を出した都道府県の宅建業免許担当窓口(複数都道府県に事務所がある場合は国土交通大臣免許の窓口)へ、法人成りの計画段階で事前相談することをおすすめします。

産業廃棄物収集運搬業許可:引き継げない・法人で新規取得

産業廃棄物収集運搬業の許可についても、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)14条には、建設業許可のような事業譲渡時の承継認可制度が規定されていません。個人の許可を法人がそのまま使うことはできず、法人として新たに許可を申請する必要があります。

許可の審査基準(施設・許可要件など)は個人・法人で共通ですが、申請から許可までに一定の期間がかかります。許可を出した都道府県・政令市の産業廃棄物担当窓口へ、法人成りの計画段階で事前に確認することをおすすめします。

貨物自動車運送事業の許可:認可を受ければ引き継げる(軽貨物は届出)

一般貨物自動車運送事業は、貨物自動車運送事業法30条にもとづき、国土交通大臣の認可を受ければ、譲受人(新会社)が許可に基づく権利義務を承継できます。事業の全部を譲渡する場合が対象で、認可の申請では譲受人側が事業を適切に行える体制(施設・車両・人員・資金)を備えているかが審査されます。

一方、軽自動車を使う貨物軽自動車運送事業(軽貨物)は許可制ではなく届出制です。同法36条は、事業の全部を譲渡したときに遅滞なく届け出るよう定めています。譲渡届の記載事項、黒ナンバー車の使用者変更、安全管理者の選任は軽貨物の個人事業主が法人成りするときの届出で整理しています。

探偵業・質屋・旅行業・警備業・有料職業紹介:引き継げず法人として新たに届出・許可が必要

探偵業の開始届出:引き継げない・法人として新たに届出が必要

探偵業を営むには、探偵業の業務の適正化に関する法律にもとづき、営業所ごとに、営業所の所在地を管轄する警察署を経由して都道府県公安委員会へ開始届出をする必要があります(許可制ではなく届出制)。この法律には建設業法17条の2や食品衛生法の承継届のような事業承継の規定がなく、個人事業主が法人化しても、個人の届出をそのまま法人が使うことはできません。

届出に必要な添付書類も、個人は住民票の写しや欠格事由に該当しない旨の誓約書、法人は定款・登記事項証明書と役員全員分の住民票の写し等と、区分が分かれています。法人として営業を続けるには、法人名義で新たに開始届出を行う必要があります。

あわせて、令和6年4月1日の法改正により、探偵業届出証明書の制度が廃止され、受理した公安委員会・受理番号・提出年月日などを記載した標識を営業所の見やすい場所に自ら作成して掲示する制度に変わりました。常時雇用する従業者が6人以上でウェブサイトを開設している場合は、同じ内容をウェブサイト上にも掲示する義務があります(5人以下またはウェブサイト未開設の場合は対象外)。法人成りで新たに開始届出をする際は、この標識掲示への対応もあわせて必要です。

質屋営業許可:引き継げない・法人として新たに許可が必要

質屋を営むには、質屋営業法にもとづき、営業所ごとに都道府県公安委員会の許可を受ける必要があります。この法律にも建設業法17条の2のような事業承継の認可制度はなく、個人が受けていた許可を法人がそのまま使うことはできません。法人として営業を続けるには、法人名義で新たに許可を申請する必要があり、申請には定款・登記事項証明書に加えて役員全員分の住民票の写しや破産していないことの市区町村長証明など、個人申請にはない書類が必要になります。

なお質屋営業法には、質屋が死亡した場合に限り、公安委員会の承認を受けた相続人または相続財産管理人がそれまでの質契約の処理に当たれる規定(同法28条3項)がありますが、これは相続時の質置主保護のための例外であり、法人成りの場面で許可そのものを承継できる制度ではありません。

旅行業登録:引き継げない・法人として新たに登録が必要

旅行業を営むには、旅行業法にもとづき登録行政庁の登録を受ける必要があります(募集型企画旅行を扱う第1種旅行業は観光庁長官、第2種・第3種・地域限定旅行業と旅行業者代理業は主たる営業所を管轄する都道府県知事)。個人事業から法人への切り替えは事業の全部譲渡にあたり、旅行業法には登録そのものを引き継ぐ承継制度がないため、譲渡日から30日以内に事業譲渡の届出をしたうえで、法人として新たに登録を受ける必要があります(同法15条)。登録を引き継げない結果、登録番号も新しいものに変わります。

空白期間を避けるには、法人を設立してから法人として旅行業登録を申請・取得し、登録が下りたあとに個人側の廃業届を出す順序で進めることが実務上の目安です。なお、登録の抹消日から6か月以内に営業保証金についての権利の承継届出をすれば、既に供託していた営業保証金を新法人が供託したものとみなす制度があり(同法16条)、登録自体とは別に保証金の扱いだけは引き継げる点に注意してください。

警備業認定:引き継げない・法人として新たに認定が必要

警備業を営むには、警備業法にもとづき、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の認定を受ける必要があります(同法4条)。警備業法には、建設業法17条の2や貨物自動車運送事業法30条のような事業承継の認可制度がなく、個人事業主として受けていた認定を、法人化後にそのまま法人が使うことはできません。法人として営業を続けるには、法人名義で新たに認定を申請する必要があります。

認定申請書に記載する事項も、個人事業主は本人の氏名・住所等、法人は役員全員の氏名・住所等と、個人・法人で区分されています。認定証の有効期間は認定を受けた日から5年(同法5条)で、標準処理期間は申請からおおむね40日とされています(警視庁の案内による)。審査期間中は営業ができないため、法人成りの計画段階で、認定を出す予定の公安委員会(主たる営業所を管轄する警察署の生活安全課)へ早めに相談することをおすすめします。

有料職業紹介事業許可:引き継げない・法人として新たに許可が必要

有料職業紹介事業を行うには、職業安定法にもとづき厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」(第8 その他の手続等)は、現に許可を受けている個人事業主が法人化する場合、新たな事業組織(法人)による新規の許可申請を行わせ、許可後は直ちに従前の個人事業を廃止させると定めており、個人の許可がそのまま法人へ引き継がれることはありません。

法人として新規許可を受けるには、財産的基礎の要件(資産総額から負債総額を控除した額が500万円×事業所数以上、かつ自己名義の現金・預金の額が150万円+60万円×(事業所数-1)以上)や、職業紹介責任者の選任などの許可基準を満たす必要があります。個人の紹介事業に登録していた求人者・求職者情報も、法人化にともない改めて登録し直す必要があります。許可申請の手数料(収入印紙5万円)とは別に、許可1件あたり9万円の登録免許税もかかります。

美容所・理容所:営業の譲渡なら承継届、そうでなければ新規の開設届

美容所・理容所は、美容師法11条・理容師法11条にもとづき、開設前に保健所へ開設届を出し、構造設備の検査を受けて確認を受けます。法人成りでは、この開設者を個人から新会社へ切り替える手続きが必要になります。

令和5年12月13日に承継届の制度が始まったため、個人から法人への切り替えが「営業の譲渡」にあたるかどうかで、承継届で足りるか、新規の開設届が必要かが分かれます。神奈川県は「個人営業から法人営業に切り替える場合」を譲渡による地位の承継の対象とし、事業譲渡契約が必要と案内しています。名古屋市・さいたま市は営業を譲り受けた場合を承継届の対象と案内していますが、法人成りの場合の扱いまでは明記していません。

承継届の根拠は美容師法12条の2・理容師法11条の3で、営業を譲り受けた者は開設者の地位を承継し、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて届け出ます。提出期限は法律上「遅滞なく」で、名古屋市は事由が生じた日から60日以内、大阪市は「すみやかに」と案内しています。添付書類は譲渡契約書等の写しが基本です。

承継届のあとの検査は自治体で異なります。さいたま市は新たに確認を受けることなく届出で承継できるとし、名古屋市は新たな確認済証を交付しないと案内しています。一方、川口市は届出後に立入検査を行うとし、神奈川県は譲渡日から6か月以内に施設の調査を行うと案内しています。

営業の譲渡に該当しない場合は、法人による新規の開設届になり、検査を受けて確認を受ける必要があります。さいたま市は検査希望日の10〜14日程度前の申請、名古屋市は営業開始予定日の7日前までの提出を案内しています。法人の添付書類として、さいたま市は3か月以内に発行された登記事項証明書、札幌市は現在事項全部証明書(登記簿謄本)を挙げています。

どちらの届出になるか、期限、検査の時期、必要書類は自治体で運用が分かれるため、法人設立の前に、開設地を管轄する保健所へ事前に確認してください。

建築士事務所登録:引き継げない・法人として新たに登録が必要

設計や工事監理を報酬を得て業として行う建築士事務所は、建築士法23条にもとづき、事務所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けます。登録は開設者ごとに行われ、登録申請書には、個人は氏名、法人は名称と役員の氏名を記載します(同法23条の2)。

個人事業から法人への切り替えは、登録の変更ではなく、個人の廃業届と法人の新規登録が必要です。埼玉県は「個人事業主の法人化(個人→法人)」は廃業届と新規登録が必要と案内しています。廃業届は、業務を廃止した日から30日以内に、登録をした都道府県知事へ提出します(同法23条の7)。

法人で新規登録するには、専任の管理建築士を置く必要があります(同法24条)。管理建築士は、建築士として3年以上の設計等の業務に従事したあと、登録講習機関の講習の課程を修了した建築士でなければなりません。

登録を受けないで、報酬を得て設計等を業として行うことは禁止されています(同法23条の10)。個人の登録を廃止してから法人の登録が済むまでに空白ができないよう、廃業と新規登録の順序を考える必要があり、埼玉県は、業務を継続するために廃業と新規登録の申請を同時に行う場合は、事前に埼玉県建築士事務所協会へ相談するよう案内しています。

登録の窓口は都道府県ごとに異なります。埼玉県・愛知県では、都道府県が指定した指定事務所登録機関(各県の建築士事務所協会)が手続きの窓口になると案内しています。提出書類・手数料・審査にかかる日数は登録先で異なるため、法人設立の前に、事務所の所在地の都道府県(登録機関が指定されている場合はその窓口)へ確認してください。

酒類小売業免許:承継はできないが「法人成り等」の同時申請で空白なく切替できる

酒類小売業免許は酒税法9条にもとづく免許で、個人の免許を法人がそのまま引き継ぐ制度はなく、法人として新たに免許を申請する必要があります。相続の場合は酒税法19条により相続人が申告するだけで免許を引き継げますが、この相続の仕組みは自然人が対象で、法人は相続人になれません。

ただし国税庁は「法人成り等」を独立した申請区分として扱っており、法人成り時に新規の酒類販売業免許を申請すると同時に、既存の個人名義の販売場の免許取消申請を提出すれば、同じ場所での営業を空白期間なく引き継げます。要件は、①取消申請を新規申請と同時に提出すること、②新規申請者が酒税法上の人的要件を満たすこと、③既存の販売場と同じ場所で営業すること、④既存の販売場が休業中でないことです。先に取消申請だけを提出すると営業ができない期間が生じるため、順序を誤らないよう税務署へ事前相談することが推奨されます。

その他の許認可は個別確認が必要

ここで扱っていない許認可も、引き継げるかどうか・引き継ぐための手続きは根拠法ごとに異なります。同じ「許認可」でも、建設業・飲食店・貨物自動車運送事業のように承継制度があるものと、古物商・宅建業・産業廃棄物処理業のように無いものが混在しているため、「他の許認可も同じだろう」と推測せず、該当する許認可を所管する省庁・都道府県・保健所・警察署などの窓口へ、法人成りの計画段階で個別に確認することが重要です。

まとめ

  • 許認可は根拠法ごとに、法人成り時に引き継げるかどうかが異なる。「別の人格」が原則で、引き継げるのは承継制度がある場合だけ。
  • 建設業許可:事前の認可(建設業法17条の2)を受ければ空白期間なく引き継げる。
  • 飲食店営業許可:令和5年12月13日以降、承継届の提出で引き継げる(営業の全部譲渡の場合に限る)。
  • 旅館業・興行場・公衆浴場業・クリーニング業・食鳥処理業:同じ令和5年12月13日改正で承継届による引き継ぎが可能に。旅館業だけは事業譲渡契約前に都道府県知事の承認申請が必要。
  • 古物商許可:引き継ぐ制度がなく、法人として新規に許可を取得する必要がある。
  • 宅地建物取引業免許:承継制度がなく、廃業すれば免許は失効するため、法人として新規に免許を取得する必要がある。
  • 産業廃棄物収集運搬業許可:承継制度がなく、法人として新規に許可を取得する必要がある。
  • 貨物自動車運送事業:一般貨物は国土交通大臣の認可で引き継げる(貨物自動車運送事業法30条)。軽貨物は届出制で、事業の全部譲渡・合併時は届出で地位を承継できる(同法36条)。
  • 探偵業の開始届出:承継制度がなく、法人として新たに開始届出が必要。令和6年4月1日以降は届出済証明書が廃止され、標識の作成・掲示制度に変わった。
  • 質屋営業許可:承継制度がなく、法人として新たに許可を取得する必要がある。相続時のみ公安委員会の承認を受けた相続人が質契約を処理できる例外があるが、法人成りには適用されない。
  • 旅行業登録:承継制度がなく、法人として新たに登録を受ける必要がある(登録番号も変わる)。ただし営業保証金の権利だけは承継届出により引き継げる(旅行業法16条)。
  • 警備業認定:承継制度がなく、法人として新たに認定を受ける必要がある(標準処理期間はおおむね40日、認定証の有効期間は5年)。
  • 有料職業紹介事業許可:厚生労働省の業務運営要領で承継が明確に否定されており、法人として新規許可の取得と、許可後の個人事業の廃止が必要。
  • 美容所・理容所:個人から法人への切り替えが営業の譲渡にあたれば承継届、そうでなければ新規の開設届。届出の期限・検査の扱いは自治体で異なるため、開設地の保健所に事前確認する。
  • 建築士事務所登録:登録は開設者ごとで、個人から法人へは変更ではなく、個人の廃業届(業務を廃止した日から30日以内)と法人の新規登録が必要。専任の管理建築士を置く必要がある。提出書類・手数料・日数は登録先の都道府県に確認する。
  • 酒類小売業免許:個人の免許を法人が承継する制度はなく、新規免許の申請が必要。ただし「法人成り等」の区分で新規申請と既存免許の取消申請を同時に提出すれば、同じ場所での営業を空白期間なく切り替えられる。
  • その他の許認可は、所管窓口へ個別に確認する。

法人成り全体の手続きの流れは法人化の手続きを、税務・社会保険の届出は法人成りの手順ガイドを参照してください。許認可では事務所の要件が問われることがあるため、本店をどこに置くかは本店所在地は自宅かバーチャルオフィスかもあわせて確認してください。

従業員を引き続き雇用する場合は法人成り時の従業員・労務手続きも確認できます。農業を営んでいる場合、農地の扱いはここで挙げた許認可とは別の農地法の枠組みで、個人農家の法人成りと農地で整理しています。

公式一次情報

よくある質問

建設業許可は法人成りしても自動的に引き継がれますか?
自動的には引き継がれません。あらかじめ国土交通大臣または都道府県知事の認可を受ける必要があります(建設業法17条の2)。認可を受ければ、許可番号を含めて空白期間なく引き継げます。
飲食店の営業許可も法人成りで引き継げますか?
令和5年12月13日以降の事業の全部譲渡であれば、新たな許可申請をせずに「地位の承継届」を保健所へ提出することで引き継げます。営業の一部だけの譲渡には適用されません。
古物商許可はどうすればいいですか?
古物営業法には事業承継の制度がなく、個人許可申請と法人許可申請は必要書類が別に定められた区分です。個人の許可を法人がそのまま使うことはできないため、法人設立後、法人名義で新たに古物商許可を申請する必要があります。
宅地建物取引業免許は法人成りで引き継げますか?
引き継げません。宅建業法には事業承継の認可制度がなく、個人が廃業すれば免許はその効力を失います(宅建業法11条)。法人として営業を続けるには、法人名義で新たに免許を申請する必要があります。
産業廃棄物収集運搬業許可はどうすればいいですか?
廃棄物処理法には事業譲渡時の承継認可制度が規定されておらず、個人の許可を法人がそのまま使うことはできません。法人として新たに許可を申請する必要があります。
貨物自動車運送事業の許可は法人成りで引き継げますか?
一般貨物自動車運送事業は、国土交通大臣の認可を受ければ引き継げます(貨物自動車運送事業法30条)。軽自動車を使う貨物軽自動車運送事業は許可制ではなく届出制で、事業の全部譲渡・合併時は届出により地位を承継できます(同法36条)。
探偵業の開始届出は法人成りで引き継げますか?
引き継げません。探偵業の業務の適正化に関する法律には事業承継の規定がなく、開始届出の添付書類も個人と法人で区分が異なるため、法人として営業を続けるには法人名義で新たに開始届出をする必要があります。なお令和6年4月1日以降は届出済証明書が廃止され、標識を営業所に掲示する制度に変わりました。
質屋営業許可は法人成りで引き継げますか?
引き継げません。質屋営業法には事業承継の認可制度がなく、個人の許可を法人がそのまま使うことはできません。法人として営業を続けるには、定款・登記事項証明書や役員全員分の書類を添えて、法人名義で新たに許可を申請する必要があります。
旅行業登録は法人成りで引き継げますか?
引き継げません。旅行業法には登録を引き継ぐ承継制度がなく、法人成りは事業の全部譲渡として扱われ、譲渡日から30日以内の届出とともに登録が抹消されるため、法人として新たに登録を受ける必要があり登録番号も変わります(同法15条)。ただし営業保証金については、登録抹消日から6か月以内に権利承継の届出をすれば、新法人の供託とみなす制度があります(同法16条)。
警備業の認定は法人成りしても引き継げますか?
引き継げません。警備業法には事業承継の認定制度がなく、個人事業主として受けていた認定を法人がそのまま使うことはできないため、法人として営業を続けるには法人名義で新たに認定を申請する必要があります。標準処理期間はおおむね40日、認定証の有効期間は認定を受けた日から5年です。
有料職業紹介事業許可は法人成りで引き継げますか?
引き継げません。厚生労働省の業務運営要領で、個人事業主が法人化する場合は新たな事業組織(法人)による新規の許可申請が必要で、許可後は直ちに従前の個人事業を廃止させると定められています。財産的基礎(資産-負債が500万円×事業所数以上等)や職業紹介責任者の選任などの許可基準を満たしたうえで、法人として新規に許可を取得する必要があります。
美容室・理容室の法人成りでは、どの届出が必要ですか?
個人から法人への切り替えが「営業の譲渡」にあたる場合は、令和5年12月13日以降、新規の開設届ではなく開設者の地位の承継届で足ります(美容師法12条の2・理容師法11条の3)。譲渡にあたらない場合は、法人による新規の開設届と検査が必要です。届出の期限や検査の扱いは自治体で異なるため、開設地の保健所に事前に確認してください。
建築士事務所の登録は法人成りで引き継げますか?
引き継げません。登録は開設者ごとに行われ、個人から法人へは変更ではなく、個人の廃業届(業務を廃止した日から30日以内、建築士法23条の7)と法人の新規登録が必要です。登録の窓口・提出書類・手数料・日数は都道府県ごとに異なるため、事務所の所在地の都道府県に確認してください。
本記事について。税理士監修前の概説です。許認可の引き継ぎ可否・手続きは制度改正や個別事情により異なるため、該当する許認可の窓口・専門家(行政書士等)にご確認ください。