軽貨物の個人事業主が法人成りするときの届出|譲渡届・黒ナンバー・安全管理者
個人名義で軽貨物運送を営む人が会社を作ると、運送事業の主体と黒ナンバー車の使用者が変わります。事業全部の譲渡届、車両の使用者変更、貨物軽自動車安全管理者の選任・変更を、手続きの順に整理します。
国土交通省・運輸支局の手続き軽貨物の法人成りは、会社名だけを変える手続きではありません。個人と法人は別の事業者なので、個人事業を新法人へ全部譲渡するのか、個人側を廃止して法人が新たに経営届出をするのかを、管轄の運輸支局と先に確認します。
事業の届出、黒ナンバー車の使用者変更、安全管理者の届出は別々の手続きです。事業の切替日と法人設立日を決める前に、必要な書類と提出順を運輸支局へ確認してください。
全部譲渡と廃止・新規の2つの進め方
貨物自動車運送事業法36条3項は、貨物軽自動車運送事業者が事業を廃止したときや、事業の全部を譲渡したときに、国土交通大臣へ遅滞なく届け出るよう定めています。東北運輸局の統一様式には、事業の全部を法人へ移す場合の「譲渡届出」があります。
| 進め方 | 個人側 | 法人側 |
|---|---|---|
| 事業全部の譲渡 | 譲渡日と従前の事業内容を届ける | 承継法人の名称、本店所在地、承継後の事業計画を同じ様式で届ける |
| 個人を廃止し法人で新規開始 | 廃止届を出す | 事業開始前に経営届出書、運賃料金表などを出す |
どちらの経路を使うかは、個人事業の全部を同じ内容で法人へ移すか、営業所や車庫などの事業計画を変えるかも含めて運輸支局へ確認します。貨物自動車運送事業法36条は、一般貨物の事業譲渡に関する30条と異なり、「地位を承継する」とは規定していません。
事業全部の譲渡届に書く内容
経営変更等届出書で「事業の譲渡」を選ぶ場合は、譲渡日、承継法人の名称・代表者・本店所在地を記載します。営業所、車両数、車庫、休憩・睡眠施設などは、承継後の事業計画を記載します。
- 名称変更だけで済ませない:個人から法人への切替は、同じ人が代表者でも事業者が変わります。
- 管轄変更を先に確認:使用の本拠を別の都道府県へ移す場合、京都運輸支局は旧管轄で廃止し、新管轄で経営届出をするよう案内しています。
- 控えを保管:運輸支局の案内では、届出書の控えは事業を営んでいる証明にも使われます。
黒ナンバー車の使用者変更
個人名義の黒ナンバー車を法人が使う場合は、車検証の使用者も確認します。京都運輸支局は、現在黒ナンバーが付いている車を譲り受ける場合、その使用者についても手続きが必要と案内しています。軽貨物に限らない車の移転登録と税金は法人成りの自動車の名義変更で整理しています。
運輸支局で事業の届出をする
経営変更等届出書と事業用自動車等連絡書、車検証の記録事項などを提出します。必要書類は管轄の運輸支局で確認します。
事業用自動車等連絡書を受け取る
運輸支局で確認を受けた連絡書は、軽自動車検査協会で車検証・ナンバープレートの手続きをするときに使います。
軽自動車検査協会で使用者を変える
法人の登記事項証明書など、法人の住所を確認できる書類も必要です。所有者がローン会社などの場合は、所有者側の手続きも先に確認します。
順序は「運輸支局で事業用自動車等連絡書」から「軽自動車検査協会で車検証等の変更」です。使用の本拠の管轄が変わる場合はナンバープレートの交換も生じるため、切替日に車両を使えるかを事前に確認してください。
安全管理者の選任・変更
2025年4月から、四輪以上の軽自動車を使う貨物軽自動車運送事業者は、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を1人以上選任します。1人で事業を営む場合も対象で、三輪・二輪の軽自動車だけを使う事業者は対象外です。
2025年4月以後に経営届出をする事業者は、届出後、事業を始めるまでに速やかに選任します。選任または解任をしたときは、管轄の運輸支局へ遅滞なく届け出ます。
- 初回講習を選任日前2年以内に修了した人
- 初回講習を修了し、定期講習を選任日前2年以内に修了した人
- 同じ事業者の一般貨物・特定貨物の運行管理者として現に選任されている人
選任後は2年ごとに定期講習を受けさせます。法人化後も同じ人を安全管理者にする場合でも、届出者の名称・住所・代表者や営業所の情報が変わるため、安全管理者の選任・変更の届出の手順を確認し、法人名義の届出が必要か運輸支局へ照会してください。
法人成り前後の確認順
- 法人設立前:譲渡届と廃止・新規のどちらで進めるか、管轄の運輸支局へ相談する。
- 法人設立後:法人の登記事項証明書を用意し、事業の譲渡または法人の経営届出を行う。
- 車両切替前:事業用自動車等連絡書を受け取り、軽自動車検査協会で車検証等を変更する。
- 営業開始前:法人側の営業所ごとに安全管理者を選任し、運輸支局へ届け出る。
- 営業開始後:安全管理者の定期講習を2年ごとに受講させ、選任・解任や届出情報の変更を管理する。
まとめ
- 軽貨物の法人成りでは、事業全部の譲渡届を使う方法と、個人を廃止して法人が新規に経営届出をする方法がある。
- 譲渡届には、承継法人の名称・本店所在地と、営業所・車両・車庫など承継後の事業計画を書く。
- 黒ナンバー車の使用者変更は、運輸支局で連絡書を受け取った後、軽自動車検査協会で進める。
- 四輪以上の軽貨物車を使う事業者は、営業所ごとに安全管理者を選任し、選任後も2年ごとに定期講習を受けさせる。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法」第36条・第36条の2(貨物軽自動車運送事業の届出、事業全部の譲渡・廃止の届出、安全管理者の選任・届出・定期講習)
- 東北運輸局「貨物軽自動車運送事業の経営変更等届出様式を使用した場合の記入要領」(譲渡届に承継法人の名称・本店所在地・承継後の事業計画を記載すること)
- 京都運輸支局「貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)の届出」(運輸支局と軽自動車検査協会の手続き順、必要書類、黒ナンバー車を譲り受ける場合の使用者手続き)
- 四国運輸局「貨物軽自動車安全管理者について」(営業所ごとの選任、1人事業者も対象、届出時期、資格要件、2年ごとの定期講習)
- 軽自動車検査協会「名義変更」(使用者・所有者を変更するときの必要書類、法人の住所証明書)
よくある質問
- 軽貨物の個人事業を法人へ移すとき、名称変更届だけで済みますか?
- 名称変更だけではありません。個人と法人は別の事業者です。個人事業の全部を法人へ譲渡する届出を使うか、個人側を廃止して法人が新たに経営届出をするかを、管轄の運輸支局へ確認してください。
- 黒ナンバーの車は法人がそのまま使えますか?
- 車検証の使用者が個人のままなら、法人への使用者変更を確認する必要があります。先に運輸支局で事業用自動車等連絡書の交付を受け、その後に軽自動車検査協会で車検証等の変更を進めます。
- 安全管理者は車両が1台だけでも必要ですか?
- 四輪以上の軽自動車を使う貨物軽自動車運送事業者は、1人で事業を営む場合や車両が1台の場合でも、営業所ごとに安全管理者を選任します。三輪・二輪の軽自動車だけを使う事業者は対象外です。
- 個人事業の安全管理者を、法人でも続けて選任できますか?
- 講習などの選任要件を満たす人であれば、同じ人を選任することは可能です。ただし事業者は個人から法人へ変わるため、法人名義で必要な選任・変更届を管轄の運輸支局へ確認してください。