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法人成りで自動車の名義変更はどう進めるか|個人の事業用車を法人へ移す移転登録と税金

個人で持っている事業用の車を法人へ移すときの、移転登録の提出先・必要書類・手数料と、税金の確認点を整理します。登録車(普通車・小型車)を対象に、国土交通省と東京都主税局、国税庁の公式情報で確認しました。

登録手数料 窓口700円・OSS600円(令和8年4月〜)
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人成りをすると、個人名義の車は自動的には法人のものになりません。車検証の所有者を法人へ変える手続きを、運輸支局で行う必要があります。この手続きを移転登録と呼びます。

移転登録の提出先は、法人の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局です。個人事業のときに使っていた運輸支局とは限りません。車を法人へ移す側は「売る人」、法人側は「買う人」として書類がそろうかを見ていきます。

移転登録の流れと提出先

国土交通省の案内では、自動車の名義を変えるときは移転登録(または変更記録)の手続が必要とされています。流れは次の3段階です。

  1. 必要書類を準備する:個人側と法人側でそれぞれの書類を集めます。
  2. 申請書を準備する:国土交通省の自動車登録のサイトで申請書(PDF)を作成できます。運輸支局の窓口でも記入できます。
  3. 運輸支局に提出する:提出先は使用の本拠の位置を管轄する運輸支局等です。ご自宅からインターネットで申請するワンストップサービスもあります。

使用の本拠の位置とは、車を主に使う場所のことで、法人の本店や事務所がその候補になります。本店を自宅にするかバーチャルオフィスにするかを決めた後で、その住所を本拠として申請する順番が分かりやすくなります。

必要書類

国土交通省の「必要な書類」のページで確認できた、登録車の移転登録で出す主な書類は次のとおりです。個人から法人へ移す場合に、誰のものが要るかを分けて表にしました。

書類内容
移転登録申請書OCR申請書第1号様式。新旧の所有者が本人で直接申請するときは実印を押す
手数料納付書所定の手数料印紙を貼る。キャッシュレスの場合はその旨を記載
譲渡証明書譲渡人(個人事業主本人)が実印を押す
新旧所有者の印鑑(登録)証明書発行から3か月以内
自動車検査証(車検証)有効期間内のもの
委任状代理人が申請するときだけ必要。新旧所有者の実印を押す
使用者の住所を示す書面使用者が法人の場合は、商業登記簿謄本(登記事項証明書)または印鑑証明書。発行から3か月以内。写しで可。新所有者と新使用者が同じ場合は不要とされています
自動車保管場所証明書(車庫証明)使用の本拠の位置が変わり、保管場所証明書の適用地域の場合に必要。証明の日からおおむね1か月以内のもの。省く場合も、従前の使用の本拠の位置に引き続き拠点があることが分かる書面が要る
登録識別情報通知を受けている所有者は、電子的に提供するか、申請書に英数字6文字を記入する

旧所有者の住所が車検証の住所と違うときは、住所のつながりを示す住民票などが別に要ります。ナンバーが変わる場合は、申請のときに車を運輸支局へ持ち込み、ナンバープレートを返納します。

登記事項証明書は、法務局のホームページからオンラインで交付請求できると国土交通省も案内しています。

代表者が個人として法人へ譲る場合の書面

法人成りでは、車を売る個人と、法人を代表する人が同じ人になります。国土交通省のページには、登録令第14条第1項第2号にかかる許可・同意・承諾を示す書面という項目があり、自己契約や双方代理の場合は、取締役会などの議事録の写しを出すと書かれています。

同じ人が売り手と買い手の両方を務める形は、この書面の対象になり得ます。実際にこの書面が要るか、議事録の書き方はどうするかは、運輸支局の窓口で事前に確認してください。今回確認した公式ページには、個人から法人への名義変更の具体例までは載っていませんでした。

登録手数料と自動車税の申告

国土交通省は、令和8年4月1日から自動車の登録・検査の法定手数料を改定しました。移転登録の手数料は次のとおりです。

申請の方法令和8年3月まで令和8年4月から
窓口申請500円700円
OSS申請(ワンストップサービス)500円600円

ナンバープレートの交付手数料や車庫証明の費用は別です。ナンバープレートの費用は管轄の予約センター、車庫証明の費用は管轄の警察署に確認します。

移転登録のときは、自動車税の申告書も出します。東京都主税局は、名義変更をした場合は、登録の際に申告書を運輸支局または自動車検査登録事務所に併設されている自動車税事務所へ提出する必要があると案内しています。

自動車税環境性能割は令和8年3月31日で廃止され、種別割は令和8年4月1日から「自動車税」という名前になりました。ほかの都道府県の運用は、管轄の自動車税事務所で確認してください。

譲渡の税務で確認すること

個人から法人へ車を移すと、名義変更だけでなく、売買(譲渡)として税金の扱いも考えることになります。国税庁の情報で確認できた範囲は次のとおりです。

税目確認できたこと
消費税(個人側)事業として対価を得て行う資産の譲渡は、消費税の課税の対象です。事業に用いている建物・機械・備品などの売却は資産の譲渡に当たります
所得税(個人側)譲渡所得は、有償無償を問わず所有資産を移すことから生じます。法人に対する贈与や、時価の2分の1未満の価額による譲渡は、時価で譲渡があったものとされます
法人税(法人側)中古資産を取得して事業に使うときは、法定耐用年数ではなく、使用可能期間の見積り年数で耐用年数を決められます。見積りが困難なときは簡便法を使えますが、事業に使うための資本的支出が取得価額の50%を超えると簡便法は使えません

中古資産の簡便法は、法定耐用年数の全部を過ぎた資産なら法定耐用年数の20%の年数です。一部を過ぎた資産なら、法定耐用年数から経過年数を引いた年数に、経過年数の20%を足します。

1年未満の端数は切り捨て、2年に満たないときは2年です。この計算は、その資産を事業に使い始めた事業年度にしかできません。

車の実際の法定耐用年数や、車の売却益が所得税のどの区分になるかは、今回確認した国税庁のページには車両としての記載がなく、この記事では扱いません。売却価額の決め方(時価との差がある場合の扱いを含む)も、税務署か税理士に確認してください。

車の経費の考え方は車の経費の按分、個人の資産を法人へ移す全体像は個人事業から法人への資産の引き継ぎで確認できます。法人側の減価償却の方法は減価償却方法の届出とあわせて決めます。

ローン中・リースの車

ローンが残っている車やリース車は、車検証の所有者が販売会社や信販会社、リース会社になっていることがあります。この場合は、個人事業主本人が勝手に譲渡できない可能性があります。今回確認した国土交通省のページには所有権留保の車の扱いまでは書かれていなかったため、契約先の会社に、法人への名義変更の可否と必要書類を先に確認してください。

あわせて、車の任意保険の名義や契約者の変更も必要です。保険の切り替えは法人成りの火災・自動車保険で整理しています。事務所の賃貸契約など、ほかの名義変更は賃貸借契約の名義変更を参照してください。

まとめ

  • 個人名義の車は法人成りで自動では変わらない。移転登録を、法人の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局へ出す。
  • 譲渡証明書には譲渡人の実印、印鑑証明書は新旧とも3か月以内。車庫証明が要るかは、使用の本拠の位置が変わるかで決まる。
  • 売り手と買い手が同じ人になる形は、取締役会などの議事録の写しが求められ得る。運輸支局で事前に確認する。
  • 登録手数料は令和8年4月から窓口700円・OSS600円。環境性能割は廃止された。
  • ローン中・リース車は、契約先に確認してから進める。

公式一次情報

よくある質問

法人成りをしたら、車の名義は自動で法人に変わりますか?
変わりません。車検証の所有者を法人にするには、運輸支局で移転登録を行います。提出先は、法人の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局です。
個人から法人への名義変更で、登録手数料はいくらですか?
令和8年4月1日以降の移転登録の手数料は、窓口申請が700円、OSS申請が600円です。ナンバープレート代や車庫証明の費用は別にかかります。
名義変更に車庫証明は必要ですか?
使用の本拠の位置が変わり、保管場所証明書の適用地域の場合に必要です。新旧の使用の本拠の位置が変わらない場合は、車庫証明の添付は不要ですが、従前の本拠に引き続き拠点があることが分かる書面が要ります。
自分の車を自分の法人に譲るときは、特別な書類が要りますか?
自己契約や双方代理にあたる場合、取締役会などの議事録の写しを出す扱いがあります。実際に必要かは運輸支局で事前に確認してください。
ローンが残っている車も法人へ名義変更できますか?
今回確認した国土交通省のページでは、所有権留保の車の扱いは確認できませんでした。車検証の所有者が信販会社などの場合は、契約先に可否と手続きを先に確認してください。
本記事について。税理士監修前の概説です。国土交通省・東京都主税局・国税庁の公式ページで確認した内容を整理しています。軽自動車・二輪車は対象外です。車の売却価額や税務上の扱いは事情により異なるため、提出前に運輸支局、税務署、税理士へご確認ください。