電子定款とは|収入印紙4万円が不要になる仕組みと認証手数料
会社を設立するときの定款を電子データで作ると、何が変わるのか。印紙税、公証人の認証手数料、手続きの流れを説明します。
設立の手続き電子定款とは、会社の定款をPDFなどの電磁的記録で作り、電子署名をしたものです。紙の定款には収入印紙4万円がかかりますが、電子定款には貼る必要がありません。会社法第26条第2項が、定款を電磁的記録で作ることを認めています。
法人成りで株式会社を作る人は、定款を紙にするか電子にするかで、設立の初期費用が変わります。合同会社は公証人の認証がいらないため、認証手数料の話は株式会社だけに関係します。設立全体の流れは法人化の手続き、株式会社と合同会社の費用の違いは合同会社と株式会社の違いにまとめています。
紙の定款と電子定款の違い
日本公証人連合会の案内では、電子定款はPDFファイルで作り、電子署名をします。紙の定款は、発起人が署名または記名押印したものを公証役場へ持ち込みます。
| 項目 | 紙の定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 公証人が保存する原本に4万円 | 貼る必要なし |
| 認証手数料(株式会社) | 3万円・4万円・5万円 | 同じ |
| 公証人による面前審査 | 公証役場で対面 | ウェブ会議が原則(2024年3月1日から) |
| 必要なもの | 印鑑証明書、押印した定款 | 印鑑証明書、電子署名をしたPDF |
日本公証人連合会は、紙の定款の認証ではウェブ会議を使えないと案内しています。電子定款の面前審査は、利用者から特段の希望がない限りウェブ会議で行う運用が、2024年3月1日から原則になりました。
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印紙税4万円がかからない理由
印紙税法の別表第一第6号は、会社の設立のときに作成される定款の原本に、1通4万円の印紙税を定めています。国税庁の質疑応答によると、課税されるのは設立のときに作る原本に限られます。認証後に会社へ返される1通は課税されず、課税対象は公証人が保存する1通です。
印紙税の課税対象は、課税物件表に掲げられた「文書」です。国税庁の別の質疑応答は、電磁的記録は文書に含まれず、印紙税は課税されないと回答しています(契約書をメールで送る場合の事例)。日本公証人連合会も、会社であっても電子定款による場合は収入印紙を貼る必要がないと案内しています。
設立にかかる費用の経理上の扱いは創立費と開業費の違いで扱っています。
認証手数料と謄本の費用
株式会社の定款認証の手数料は、公証人手数料令第35条が資本金の額などに応じて決めています。
| 資本金の額など | 認証手数料 |
|---|---|
| 100万円未満 | 3万円 |
| 100万円以上300万円未満 | 4万円 |
| 300万円以上 | 5万円 |
同じ条文には、100万円未満の株式会社が次の3つにすべて当たる場合、1万5,000円とする定めがあります。発起人の全員が自然人で3人以下であること、発起人が設立時発行株式の全部を引き受けると定款に書いてあること、取締役会を置くと定款に書いていないことです。
定款に資本金の額を書かず「設立に際して出資される財産の最低額」だけを書いた場合は、5万円の区分になると、日本公証人連合会は案内しています。資本金の決め方は資本金の決め方、払込みの手順は設立時の資本金の払込みを参照してください。
認証を受けた定款の謄本は、1枚につき250円です(公証人手数料令第40条第2項)。日本公証人連合会は、おおむね8枚で2,000円くらいと説明しています。
電子定款の認証の流れ
法務省と日本公証人連合会のリーフレットでは、電子定款の認証は次の順に進みます。
- 定款を作り、メールで公証役場へ送って、事前チェックを受ける
- 事前チェックのあと、オンライン申請システムで正式に申請する
- 面前審査の日程を調整する(ウェブ会議が原則)
- 審査までに、クレジットカードまたはインターネットバンキングで手数料を支払う
発起人の本人確認には、発起人の印鑑登録証明書が必要で、発行後3か月以内のものに限られます。ウェブ会議では、運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど、顔写真付きの官公署発行の身分証を画面で見せます。発起人が電子署名をできない場合は、印鑑登録証明書付きの委任状で、定款作成の代理人に任せる方法もあります。
認証を受けた定款は設立登記の添付書面になります。株式会社は、設立時取締役等の調査が終わった日か発起人が定めた日のどちらか遅い日から2週間以内に、設立の登記をします(会社法第911条第1項)。
登記のあとの税務署への届出は法人設立届出書の出し方で扱っています。事業目的の書き方は定款の事業目的の書き方を参照してください。
合同会社の場合
合名会社、合資会社、合同会社の定款は、公証人の認証がいりません。日本公証人連合会がそう案内しており、認証を要するのは株式会社です(会社法第30条第1項)。したがって、合同会社に認証手数料はかかりません。
印紙税は、紙で作る場合に原本1通が課税されると、国税庁の質疑応答が答えています。会社法第575条第2項は、持分会社の定款も電磁的記録で作れると定めているので、電子データで作れば印紙は不要です。ただし、合同会社の電子定款を名指しした国税庁のページは確認できていないため、実際に作るときは管轄の税務署か専門家に確かめてください。
公式一次情報
- 日本公証人連合会「定款認証」(電子定款、認証手数料3区分、印紙代、ウェブ会議、必要書類)
- 日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」(手数料の改定の案内)
- 法務省・日本公証人連合会 電子定款認証のリーフレット(PDF)(事前チェックから手数料支払いまでの流れ)
- 国税庁「課税される定款の範囲」(設立時の原本のみが課税、認証後に返される通は課税されない)
- 国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」(電磁的記録は文書に含まれず課税されない)
- e-Gov法令検索「印紙税法」(別表第一第6号:定款は1通4万円)
- e-Gov法令検索「公証人手数料令」(第35条:認証手数料、第40条:謄本の手数料)
- e-Gov法令検索「会社法」(第26条:電磁的記録による定款、第30条:認証、第575条:持分会社の定款、第911条:設立登記の期限)
- 法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」(定款の作成、認証、払込み、登記の流れ)
よくある質問
- 電子定款にすると、いくら安くなりますか?
- 紙の定款にかかる収入印紙4万円がかかりません。認証手数料は紙でも電子でも同じです。電子署名の準備や専門家への報酬は別にかかります。
- 認証手数料はいくらですか?
- 株式会社は、資本金の額などが100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、300万円以上なら5万円です。公証人手数料令第35条が定めています。
- 合同会社でも電子定款にする意味はありますか?
- 合同会社は認証がいらないので、認証手数料はかかりません。紙で作ると原本に4万円の印紙税がかかるため、電子データで作ると印紙は不要です。作る前に税務署や専門家へ確かめてください。
- 公証役場へ行かないと認証を受けられませんか?
- 電子定款の認証は、2024年3月1日から、特段の希望がない限りウェブ会議で面前審査をする運用が原則になりました。紙の定款の認証では、ウェブ会議を使えません。


