法定調書合計表とは?毎年1月31日までに出す義務と対象書類
給与・報酬・不動産の支払いをまとめて税務署へ報告する手続きです。提出範囲の金額基準と電子提出の義務を整理します。
国税庁の制度法定調書とは、支払いをした側が「誰に・いくら払ったか」を税務署へ報告する書類です。国税庁は所得税法など4つの法律にもとづく法定調書が現在63種類あるとしています。
このうち給与や報酬など身近な調書は、種類ごとの枚数と金額を集計した「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を表紙にして、まとめて提出します。確定申告と違って期限は年明けすぐで、見落としやすい手続きです。
法定調書と合計表の関係
国税庁は法定調書の根拠法として、所得税法・相続税法・租税特別措置法・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律の4つを挙げています。その全体は63種類あり、事業者が日常的に扱うのはそのうちの一部です。
所得税法に規定する主な法定調書として、国税庁は給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票、報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書、不動産の使用料等の支払調書、不動産等の譲受けの対価の支払調書などを挙げています。
合計表は、これらの調書を種類ごとに集計した1枚の様式です。国税庁は給与所得の源泉徴収票について、支払者の所轄税務署へ「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」とともに提出するとしています。
提出期限は支払った年の翌年1月31日
国税庁は、給与所得の源泉徴収票を支払いの確定した年の翌年の1月31日までに支払者の所轄税務署へ提出するとしています。報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書についても、支払の確定した日の属する年の翌年の1月31日までにe-Taxを利用して提出するか、または書面で提出すると案内しています。
年末調整の締めから提出までの期間が短いため、支払先ごとの年間支払額を12月のうちに固めておくと作業が楽になります。法人・個人を通じた税務の年間スケジュールは税務期限カレンダーで確認できます。
提出が必要になる金額の基準
支払調書は、支払った相手全員分を出すわけではありません。調書の種類ごとに「同一人に対するその年中の支払金額の合計」が一定額を超えるものだけが提出範囲です。
| 調書の種類 | 提出範囲(同一人・年間合計) |
|---|---|
| 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(弁護士・税理士等への報酬、原稿料・講演料) | 50,000円を超えるもの |
| 同(外交員等報酬・ホステス等の報酬、診療報酬) | 50万円を超えるもの |
| 不動産の使用料等の支払調書 | 15万円を超えるもの |
| 不動産等の譲受けの対価の支払調書 | 100万円を超えるもの |
| 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 | 15万円を超えるもの |
受け取る側から見た源泉徴収と支払調書の関係は、フリーランスの源泉徴収と支払調書で解説しています。
法人化すると増える調書がある
不動産関係の3つの支払調書は、提出義務者の範囲が支払う側の形態で変わります。国税庁は不動産の使用料等の支払調書について、提出義務者を「支払をする法人と不動産業者である個人の方」としています(主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる個人は提出義務がありません)。
対象になる支払の範囲は、貸主が法人か個人かで変わります。国税庁は、貸主(支払を受ける者)が法人の場合は賃借料を除く権利金・更新料等のみが対象で、貸主が個人の場合は家賃・地代を含めて対象になるとしています。個人事業主のときは提出義務自体が生じませんが、法人化して個人の大家から事務所を借りると、家賃だけでも年間15万円超で新たに提出義務の対象になり得ます。
不動産等の譲受けの対価の支払調書、不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書も、提出義務者は同じく法人と不動産業者である個人とされています。
- 貸主が法人の場合、賃借料(家賃・地代)は不動産の使用料等の支払調書の対象外(権利金・更新料等のみ対象)。
- 貸主が個人の場合、家賃・地代も含めて年間15万円超で提出対象になり得る(法人化後は特に注意)。
- 金額基準は年間合計での判定のため、複数回に分けて支払っても合算して判定する。
法人化後に発生する届出・手続きの全体像は法人化の手続き、毎年の決算・申告は法人の決算・申告で扱っています。
枚数が多い場合はe-Tax等での提出が義務
国税庁は、前々年に提出すべきであった法定調書の枚数が100枚以上である種類について、e-Tax・光ディスク等またはクラウド等による提出が必要としています。判定は法定調書の種類ごとに行います。
国税庁の例では、令和6年1月に提出すべき給与所得の源泉徴収票の枚数が100枚以上であった場合、令和8年1月に提出する給与所得の源泉徴収票は電子的な方法で提出する必要があるとされています。
この基準は、令和9年1月1日以後は30枚以上へ引き下げられます。従業員数が数十人規模の会社は、今のうちに電子提出へ切り替えておくと移行の負担が小さくて済みます。
まとめ
- 法定調書は所得税法など4つの法律にもとづき現在63種類ある(国税庁)。
- 給与・報酬・不動産関係などの調書は「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」とともに提出する。
- 提出期限は支払いの確定した年の翌年1月31日で、提出先は支払者の所轄税務署。
- 提出範囲は同一人に対する年間支払額で判定する(報酬・料金は5万円超、不動産の使用料等は15万円超など)。
- 不動産関係の支払調書の提出義務者は法人と不動産業者である個人で、法人化により新たに義務が生じうる。
- 前々年の提出枚数が100枚以上の種類はe-Tax等での提出が義務。令和9年1月1日以後は30枚以上へ引き下げ。
法人化した場合の税負担と手取りの変化は法人成りシミュレーターで試算できます。
公式一次情報
- 国税庁「No.7401 法定調書の種類」(63種類という総数と根拠法4本、主な法定調書の名称)
- 国税庁「No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」(翌年1月31日・支払者の所轄税務署・合計表とともに提出)
- 国税庁「No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等」(5万円超・50万円超の区分と提出期限)
- 国税庁「No.7441 「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲等」(提出義務者は法人と不動産業者である個人、15万円超)
- 国税庁「No.7442 「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出範囲等」(100万円超)
- 国税庁「No.7443 「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の提出範囲等」(15万円超)
- 国税庁「No.7455 法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出義務」(前々年100枚以上、令和9年1月1日以後は30枚以上)
よくある質問
- 法定調書合計表はいつまでに提出しますか?
- 給与所得の源泉徴収票は支払いの確定した年の翌年の1月31日までに支払者の所轄税務署へ、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」とともに提出するとされています(出典:国税庁)。
- 報酬を払った相手全員分の支払調書が必要ですか?
- 弁護士・税理士等への報酬や原稿料・講演料は、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50,000円を超えるものが提出範囲とされています(出典:国税庁)。
- 事務所の家賃を法人で払っている場合も支払調書が必要ですか?
- 貸主が個人の場合は家賃・地代も対象に含まれ、同一人に対するその年中の支払金額の合計が15万円を超えると提出対象になり得ます。貸主が法人の場合は賃借料(家賃・地代)は対象外で、権利金・更新料等のみが対象です(出典:国税庁)。
- 紙で提出できないケースはありますか?
- 前々年に提出すべきであった法定調書の枚数が100枚以上である種類は、e-Tax・光ディスク等またはクラウド等による提出が必要とされています。令和9年1月1日以後はこの基準が30枚以上に引き下げられます(出典:国税庁)。