インボイスの媒介者交付特例|委託販売で受託者が適格請求書を出す条件
商品の販売を人に任せているとき、買い手への適格請求書を受託者の名前で出せる特例を説明します。
国税庁の制度委託販売では、買い手に商品を売っているのは、販売を任せた側(委託者)です。インボイス制度では、課税資産を売った事業者に適格請求書の交付義務があります。そのため本来は、委託者が買い手に適格請求書を出さなければなりません。
ただし、販売を任された側(受託者)が、自分の名前と登録番号で適格請求書を出せる「媒介者交付特例」があります。この記事では、使える条件、受託者と委託者がそれぞれやること、複数の委託者の商品を1枚にまとめる場合を説明します。
原則は委託者が出す|代理交付と媒介者交付特例
| 方法 | 適格請求書に書く名前と登録番号 | 国税庁Q&Aでの扱い |
|---|---|---|
| 代理交付 | 委託者の氏名または名称と登録番号 | 受託者が委託者を代理して、委託者の適格請求書を交付することも認められる |
| 媒介者交付特例 | 受託者の氏名または名称と登録番号 | 媒介または取次ぎを行う受託者が、委託者に代わって交付できる(消費税法施行令70条の12第1項) |
媒介者交付特例は、物の販売を委託して受託者が買い手に売る取引だけでなく、請求書の発行事務や集金事務のように、販売に付随する行為だけを委託する場合も対象です(国税庁Q&A問48)。
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媒介者交付特例を使う2つの条件
国税庁Q&A問48は、次の2つの条件をどちらも満たすことを求めています。
- 条件1:委託者と受託者の両方が適格請求書発行事業者であること。
- 条件2:委託者が受託者に、自分が適格請求書発行事業者の登録を受けていることを、取引前までに通知していること。
通知の方法は、取引のたびに事前に登録番号を書面などで知らせる方法のほか、基本契約などに委託者の登録番号を書いておく方法もあります(消費税法基本通達1-8-10)。登録の確認や取消しの扱いは、インボイスの登録を取り消すときやインボイス登録の要否で整理しています。
受託者と委託者がやること
| 立場 | やること(国税庁Q&A問48) |
|---|---|
| 受託者 | 交付した適格請求書の写し(または提供した電磁的記録)を保存する。その写しを速やかに委託者へ交付または提供する |
| 委託者 | 自分が適格請求書発行事業者でなくなったときは、速やかに受託者へ通知する。受託者から受け取った適格請求書の写しを保存する |
複数の委託者の商品を売った場合や、多数の買い手に毎日適格請求書を出す場合などで、写しそのものを渡すのが難しいときは、適格請求書の写しと関連が明確な精算書などを渡してもかまいません。その場合は、渡した精算書などの写しを保存します(消費税法基本通達1-8-11)。
精算書などには、委託者の売上税額の計算に必要な事項を書きます。たとえば、税率ごとに区分した税抜価額または税込価額の合計額と適用税率、税率ごとに区分した消費税額等です。
適格請求書の写しの保存期間や電子データでの提供は、適格請求書の交付義務・修正・写しの保存で説明しています。
複数の委託者の商品を1枚にまとめるとき
受託者が複数の委託者から販売を任されていて、1つの売上先に複数の委託者の商品を売ったときも、媒介者交付特例なら1枚の適格請求書で交付できます(国税庁Q&A問49)。
- 金額の書き方:税抜価額または税込価額は委託者ごとに書き、消費税額等の端数処理も委託者ごとに行うのが原則です。
- 例外:受託者が交付する適格請求書の単位で、複数の委託者の取引をまとめて書き、端数処理をしてもかまいません。
- 委託者に渡す精算書との差:精算書の消費税額等の合計と、売上先に渡した適格請求書の消費税額等が一致しないことがあります。各委託者の税込対価の合計額から消費税額等を計算するなど、合理的な方法にしていれば差し支えありません。
- 登録していない委託者が混ざる場合:適格請求書発行事業者とそれ以外の者に区分すれば、適格請求書発行事業者に係る分だけを適格請求書にできます。
端数処理の基本は適格請求書の書き方で確認できます。
次に知りたいこと
- 適格請求書を出さなくてよい場面は、適格請求書の交付義務・修正・写しの保存。
- 請求書に書く事項と端数処理は、適格請求書の書き方。
- 登録をやめるときの手続きは、インボイスの登録を取り消すとき。
公式情報
- 国税庁インボイスQ&A 問48「適格請求書の交付方法(媒介者交付特例)」(代理交付、2つの条件、受託者・委託者の対応)
- 国税庁インボイスQ&A 問49「複数の委託者から委託を受けた場合の媒介者交付特例の適用」(1枚にまとめる場合の書き方と端数処理)
よくある質問
- 委託販売の納品書を、受託者が出したものを適格請求書にできますか?
- 委託者と受託者の両方が適格請求書発行事業者で、委託者が取引前までに登録を受けていることを受託者に通知していれば、受託者が自分の名称と登録番号を書いた納品書を、委託者の適格請求書として買い手に交付できます(出典:国税庁Q&A問48)。
- 受託者が登録していなくても使えますか?
- 使えません。条件の1つが、委託者と受託者の両方が適格請求書発行事業者であることです(出典:国税庁Q&A問48)。
- 特例を使うと、委託者は何も保存しなくてよいですか?
- いいえ。委託者も、受託者から受け取った適格請求書の写しを保存します。登録を失ったときは、速やかに受託者へ通知します(出典:国税庁Q&A問48)。
- 複数の取引先の商品を、1枚の請求書にまとめられますか?
- 媒介者交付特例を使えば、1枚の適格請求書で交付できます。税額の端数処理は委託者ごとが原則ですが、交付する適格請求書の単位でまとめて行うこともできます(出典:国税庁Q&A問49)。

