インボイス登録をやめる手続きと提出期限(登録取消届出書)
適格請求書発行事業者の登録は、「登録取消届出書」を出せば自分の意思でやめられます。いつまでに出せば、いつ登録の効力がなくなるのかを、例を挙げて説明します。登録をやめても、すぐ免税事業者に戻れるわけではない点も確認します。
消費税・インボイスインボイス(適格請求書)を出せる事業者の登録は、一度受けたら終わりではありません。取引先がインボイスを求めなくなったときなどに、届出書を出して登録をやめることができます。
登録をやめる効力が生じるのは、原則として届出書を出した課税期間の翌課税期間の初日で、その初日の15日前の日を過ぎて出すと、さらに1課税期間あとの初日になります。免税事業者に戻れるかどうかは、これとは別に判断します。
登録取消届出書とは
正式名称は「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」です。国税庁の手続案内(D1-70)では、適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める事業者が使う手続とされています。
根拠は消費税法57条の2第10項1号です。届出書はe-Taxで作って出すか、書面で作って送付します。書面の送り先は、納税地を管轄する国税局の業務センターです。
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提出期限と効力が生じる日(日付の例)
国税庁Q&A(問13)によると、効力が失われる日は次の2通りです。
- 翌課税期間の初日から数えて15日前の日までに出した場合:翌課税期間の初日に登録の効力が失われる。
- その日を過ぎて出した場合:翌々課税期間の初日に登録の効力が失われる。
15日前の日が土日や祝日、12月29日から31日にあたっても、翌日には延びません。これはQ&Aの注に書かれています。
| 課税期間 | 翌課税期間の初日 | その日に登録をやめるための期限 | 期限を過ぎたとき |
|---|---|---|---|
| 個人事業者(1月から12月) | 翌年1月1日 | 12月17日 | 翌々年1月1日に効力が失われる |
| 3月決算の法人 | 4月1日 | 3月17日 | 1年後の4月1日に効力が失われる |
Q&Aの例では、3月決算の法人が令和7年3月17日に出すと令和7年4月1日(令和8年3月期の初日)に、同年3月25日に出すと令和8年4月1日(令和9年3月期の初日)に、それぞれ登録の効力が失われます。表の日付は、この考え方を暦年の個人と3月決算の法人に当てはめて計算した目安です。
期限を1日過ぎただけで、課税事業者のままの期間が1年延びます。やめると決めたら、期限の少し前に出すほうが安全です。
登録をやめても、すぐ免税事業者に戻れるとは限らない
登録の効力がなくなっても、それだけで消費税の納税義務がなくなるわけではありません。免税事業者になれるかどうかは、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることなど、通常の免税の要件で決まります。
次の2点は、特に見落としやすいところです。
- 課税事業者選択届出書を出している場合:登録の効力が失われたあとに免税事業者になるには、免税を受けたい課税期間の初日の前日までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を出す必要があります(Q&A問13の参考)。3月決算の例では、令和8年3月期から免税にするなら、令和7年3月31日までです。
- 免税事業者から登録した場合の2年間:登録の経過措置を使って登録した免税事業者は、令和5年10月1日を含む課税期間以外の課税期間に登録していると、登録日から2年を経過する日の属する課税期間までは、登録をやめても免税事業者になれません。
登録の効力がなくなった課税期間の消費税の扱いは、売上や仕入の状況で変わります。免税事業者との取引が多い場合や、2割特例との比較が必要な場合は、税務署や税理士に確認してください。そもそも登録すべきかどうかの考え方は、インボイスに登録するべきかで扱っています。
事業廃止・死亡・合併のときの手続きとの違い
登録取消届出書は、事業を続けたままインボイスの登録だけをやめるときの手続です。事業をやめるときなどは、別の届出になります。国税庁の手続案内も、事業廃止や死亡は本手続とは異なると注意しています。
| 場面 | 出す届出 | 登録の効力が失われる日 |
|---|---|---|
| 登録だけをやめる | 登録取消届出書 | 翌課税期間の初日(期限を過ぎると翌々課税期間の初日) |
| 事業を廃止した | 事業廃止届出書 | 事業を廃止した日の翌日(法57条の2第10項2号) |
| 法人が合併で消滅した | 合併による法人の消滅の届出 | 法人が消滅した日(同項3号) |
| 個人事業者が亡くなった | 適格請求書発行事業者の死亡届出書(相続人が提出) | 届出の翌日か、死亡の翌日から4か月を経過する日の、いずれか早い日(法57条の3) |
個人事業の廃止の全体の流れは廃業したときの消費税、亡くなった場合の消費税の申告や相続人の納税義務は個人事業主が亡くなったときの消費税でまとめています。
やめたあとの請求書と再登録
登録の効力が失われた日以後は、適格請求書発行事業者ではなくなるため、請求書に登録番号を書いてはいけません。消費税法57条の5は、偽りの記載をした適格請求書などの交付を禁じていて、違反すると同法65条4号により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。
登録をやめる日が決まったら、その日以降に発行する請求書や領収書の様式から、登録番号の欄を外しておきます。取引先には、いつから適格請求書を出せなくなるかを、早めに伝えておくと混乱を避けられます。
再び登録したくなったときは、新しく登録申請書を出す形になります。2年間の扱いなどが再登録のときも関わるため、申請前に国税庁の案内で確認してください。登録の手順はインボイスの登録方法にまとめています。
まとめ
- 登録をやめるには、登録取消届出書を税務署(書面は業務センター)へ出す。
- 翌課税期間の初日の15日前の日までなら、その初日に失効する。過ぎると翌々課税期間の初日になる。
- 個人(暦年)は12月17日、3月決算の法人は3月17日が、翌期首に失効させる期限。
- 失効しても、免税事業者になれるとは限らない。課税事業者選択届出書を出していれば不適用届出書が別に必要で、登録の経過措置を使った人には2年間の制限がある。
- 失効日以後は、請求書に登録番号を書かない。
公式一次情報
- 国税庁 D1-70 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出手続(提出時期・提出先・手続根拠。2026-10-13確認)
- 国税庁 インボイス制度Q&A 問13 登録の取りやめ(15日前の期限・日付の例・免税事業者の経過措置。2026-10-13確認)
- 消費税法 第57条の2・第57条の3・第57条の5・第65条(失効の時期・死亡届・偽りの記載の禁止・罰則。2026-10-13確認)
- 消費税法施行令 第70条の5(翌課税期間の初日から15日前の日。2026-10-13確認)
よくある質問
- インボイスの登録は、いつでもやめられますか?
- 登録取消届出書を出せば、自分の意思でやめられます。ただし効力が生じるのは、原則として提出した課税期間の翌課税期間の初日です。
- 個人事業者が令和9年1月1日に登録をやめるには、いつまでに出しますか?
- 令和8年12月17日までです。15日前の日が休日でも延びません。過ぎると、効力が生じるのは令和10年1月1日になります。
- 登録をやめれば、すぐ消費税の免税事業者に戻れますか?
- 戻れるとは限りません。基準期間の課税売上高が1,000万円以下などの要件が別に必要です。課税事業者選択届出書を出している場合は、不適用届出書も要ります。
- 事業をやめるときも、登録取消届出書を出しますか?
- 事業を廃止したときは、事業廃止届出書を出す別の手続です。登録取消届出書は、事業を続けたまま登録だけをやめるときに使います。
- 登録をやめたあとも、請求書に登録番号を書いてよいですか?
- 書けません。効力が失われた日以後は、偽りの記載をした適格請求書の交付を禁じる消費税法57条の5の対象になります。
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