免税事業者の請求書の消費税額|書ける記載と禁止される記載
インボイスの登録をしていない免税事業者は、これまでどおりの請求書や領収書を出せます。消費税相当額を書くこと自体は基本的に問題ありません。ただし、登録番号に見せかけた記載は罰則の対象です(国税庁Q&A問26-2、消費税法57条の5・65条)。
消費税法57条の5・65条4号インボイス制度では、適格請求書を出せるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者だけです。登録していない免税事業者は、請求書に何をどこまで書いてよいのでしょうか。
この記事は、登録していない側が請求書を作るときの書き方を扱います。登録するかどうかの判断はインボイス登録は必要かで説明しています。
登録していなくても請求書は出せる
適格請求書を交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られます(消費税法57条の4第1項)。登録していない事業者は、適格請求書は出せません。
一方で国税庁のQ&A問26-2は、適格請求書の記載事項を満たさない請求書や領収書を出すことは、これまでと同様に可能だとしています。電磁的記録で渡す場合も同じです。
| 登録していない事業者が | できるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 適格請求書の記載事項を満たさない請求書・領収書を出す | できる | Q&A問26-2 |
| 請求書に消費税相当額を記載する | 誤認されるおそれがなければ、基本的に罰則の対象ではない | Q&A問26-2 |
| 登録番号に似た英数字を書く、他人の登録番号を自分の番号として書く | できない(罰則あり) | 消費税法57条の5・65条4号 |
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禁止される記載と罰則
消費税法57条の5は、登録していない者が、適格請求書または適格簡易請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類を交付することを禁じています。その書類の記載事項を電磁的記録で提供することも同じです。
Q&A問26-2の注では、誤認されるおそれのある書類を次のように例示しています。
- 登録番号(T+13桁の数字)と類似した英数字を、自らの「登録番号」として記載した書類
- 自身のものではない登録番号を、自らの「登録番号」として記載した書類
違反した場合は、65条4号により、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。
登録の申請中は、登録番号らしい文字列を先に書くのは避けるのが無難です。当サイトの整理として、登録の効力が生じる登録日以後の書類から記載します。
消費税相当額を上乗せして請求できるか
Q&A問26-2は、免税事業者であっても、仕入れの際に負担した消費税相当額を取引価格に上乗せして請求することは、適正な転嫁であり、何ら問題はないとしています。
請求書に消費税相当額を書くこと自体も、適格請求書と誤認されるおそれのあるものでなければ、基本的に罰則の対象ではありません。
取引先から、登録していないことを理由に値下げを求められた場合は、別の論点です。独占禁止法などの問題になる場合はインボイス未登録で値下げを求められたときで整理しています。
取引先から書類を求められたとき
登録していない事業者からの仕入れでも、取引先は経過措置により、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できます。Q&Aは、その適用に区分記載請求書の記載事項を満たした書類の保存が求められるため、取引先からそうした書類の作成・交付を求められることも考えられるとしています。
経過措置の割合や期間は免税事業者からの仕入れの経過措置にまとめています。
なお、保存されている書類が適格請求書か区分記載請求書かは、所得税・法人税の必要経費や損金になるかどうかには影響しないとされています(Q&A問26-2の注)。
登録が取り消された・失効したあと
登録の効力が失われた日以後は、適格請求書を交付できる事業者ではなくなります。条文上、57条の5の対象は「適格請求書発行事業者以外の者」です。そのため、それまでの登録番号を書いた請求書を出し続けると、問題になりうると整理しています(当サイトの整理)。
書式のひな型は、登録の効力が失われる日までに差し替えておきます。
取消しの届出の期限や効力が失われる日は、インボイス登録の取消しで説明しています。
公式一次情報
よくある質問
- 登録していない免税事業者は、領収書を出せますか?
- 出せます。適格請求書の記載事項を満たさない請求書や領収書は、これまでと同様に交付できます(Q&A問26-2)。
- 請求書に「消費税」と書くと違反ですか?
- 消費税相当額を書いても、適格請求書等と誤認されるおそれのあるものでなければ、基本的に罰則の対象ではありません(Q&A問26-2)。
- どんな記載が禁止されていますか?
- 登録番号(T+13桁の数字)と類似した英数字や、自分のものではない登録番号を、自分の登録番号として書いた書類などです(Q&A問26-2の注、消費税法57条の5)。
- 禁止された記載をするとどうなりますか?
- 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(消費税法65条4号)。
- 免税事業者でも消費税相当額を上乗せして請求できますか?
- 仕入れの際に負担した消費税相当額を取引価格に上乗せして請求することは、適正な転嫁であり問題ないとされています(Q&A問26-2)。
まとめ
- 登録していなくても、適格請求書の記載事項を満たさない請求書・領収書は出せる。
- 消費税相当額を書くこと、取引価格に上乗せして請求することは、基本的に問題ない。
- 登録番号に似た英数字や、他人の登録番号を書いた書類は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象。
- 登録の効力が失われたあとは、旧番号を書いた請求書を出し続けない。
次に知りたいことは、インボイス登録は必要か、免税事業者からの仕入れの経過措置、適格請求書の書き方です。

