従業員に賞与を払うときの源泉徴収と社会保険の手続き
従業員に賞与を支給するときの所得税の計算(算出率の表、前月給与の10倍を超える場合)と、被保険者賞与支払届の期限・標準賞与額の上限を説明します。
賞与従業員に賞与を支給したときは、所得税の源泉徴収と、日本年金機構への届出の2つが必要です。所得税は原則として「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で計算し、社会保険は支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を出します。
- 算出率の表は、扶養控除等申告書を出している人は甲欄、出していない人は乙欄を使います。
- 前月の給与(社会保険料等控除後)の10倍を超える賞与は、月額表を使う別の計算になります。
- 社会保険の標準賞与額は、賞与の総支給額から1,000円未満を切り捨てた額です。
- 標準賞与額の上限は、健康保険が年度累計573万円、厚生年金保険が1か月あたり150万円です。
賞与にあたる支払い
国税庁No.2523によると、賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当などの名目で支給されるものです。
給与等が賞与の性質を持つかどうか明らかでないときは、純益を基準に支給されるもの、あらかじめ支給額・支給基準の定めがないもの、支給期の定めがないもの(雇用契約そのものが臨時である場合を除く)が賞与にあたります。社会保険では、年3回以下の支給が賞与で、年4回以上支給されるものは毎月の報酬(標準報酬月額)の対象です(日本年金機構)。
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所得税の源泉徴収の計算
賞与から源泉徴収する所得税は、原則として算出率の表を使って次の順に計算します(国税庁No.2523)。
- 前月の給与から社会保険料等を差し引く。
- 算出率の表の甲欄で、扶養親族等の数と(1)の金額が当てはまる行を探し、「賞与の金額に乗ずべき率」を求める。
- 賞与から社会保険料等を差し引いた金額に、その率をかける。
国税庁の令和8年分の例は次のとおりです。前月の給与(社会保険料等控除後)が285,454円、賞与(同)が389,558円、扶養親族等が3人のとき、「181千円以上300千円未満」の行の率は2.042%で、389,558円×2.042%=7,954円(1円未満切り捨て)が源泉徴収する税額です。
前月給与の10倍を超える賞与
賞与(社会保険料等控除後)が、前月の給与(同)の10倍を超えるときは、算出率の表ではなく月額表を使う計算になります。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 賞与(社会保険料等控除後)を6で割る(計算期間が6か月を超えるときは12) |
| 2 | (1)に前月の給与(社会保険料等控除後)を足す |
| 3 | (2)を月額表に当てはめて税額を求める |
| 4 | (3)の税額から、前月の給与に対する源泉徴収税額を引く |
| 5 | (4)に6(または12)をかけた額が、賞与の源泉徴収税額 |
国税庁の例では、前月給与166,531円、賞与1,668,062円(計算期間6か月)、扶養親族等1人のとき、賞与を6で割った278,010円と前月給与の合計444,541円の月額表税額が16,100円、前月給与166,531円の税額が1,510円で、(16,100円−1,510円)×6=87,540円です。
前月に給与の支払がないときは、賞与を6(または12)で割った額を月額表に当てはめ、出た税額に6(または12)をかけます。
社会保険の届出と保険料
被保険者や70歳以上の被用者に賞与を支給した事業主は、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を、事務センターまたは管轄の年金事務所に出します。提出方法は、電子申請、電子媒体、郵送、窓口持参です(日本年金機構)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 標準賞与額 | 税引き前の総支給額から1,000円未満を切り捨てた額 |
| 保険料 | 標準賞与額に保険料率をかけた額。事業主と被保険者が折半 |
| 上限 | 健康保険は年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計573万円、厚生年金保険は1か月150万円。同月に2回以上支給されたら合算して上限を適用 |
| 納入 | 賞与支払月の翌月の納入告知書で通知され、月末までに納入。被保険者負担分は賞与の支払い時に控除できる |
役員に賞与を出す場合の社会保険は役員賞与と社会保険料で、法人税側の損金算入は決算賞与の損金算入で確認できます。
計算の前に確認すること
- 算出率の表と月額表は年分ごとに改正されます。計算には支給する年分の表を使います。
- 社会保険料等の控除額は、前月の給与と賞与それぞれの社会保険料等を差し引いた金額で計算します。
- 賞与の支払予定月は日本年金機構に登録され、予定月の前月に印字済みの届出用紙が事業所に送付されます。
- 毎月の給与の源泉徴収で使う月額表は源泉徴収の月額表の見方で確認できます。
よくある質問
- 賞与の源泉所得税はどの表で計算しますか?
- 原則として「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使い、扶養控除等申告書を出している人は甲欄、出していない人は乙欄を使います(国税庁No.2523)。
- 前月の給与の10倍を超える賞与はどう計算しますか?
- 賞与を6(計算期間が6か月を超えるときは12)で割って前月給与を足し、月額表の税額から前月給与の税額を引いて6(または12)倍します。
- 賞与を払ったら社会保険の届出はいつまでに必要ですか?
- 支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を日本年金機構へ出します。
- 標準賞与額に上限はありますか?
- 健康保険は年度の累計573万円、厚生年金保険は1か月あたり150万円です。同じ月に2回以上支給したときは合算した額に上限を適用します。
育児休業中に賞与を支払うときの保険料の扱いは、従業員の育休中の社会保険料免除を参照してください。

