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法人成り後の源泉徴収税額表(月額表)の見方|甲欄・乙欄の判定と扶養控除等申告書

法人成りをして役員報酬・従業員への給与を初めて(または法人として新たに)支払う立場になった人向けに、源泉徴収税額表の月額表・日額表の使い分け、甲欄・乙欄・丙欄の判定、扶養控除等申告書の扱いを、国税庁の公式情報にもとづき整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

個人事業主が法人成りをすると、法人として役員報酬や従業員への給与を支払う立場になり、その支払いのたびに所得税を源泉徴収して国に納める義務(源泉徴収義務)を負います。実際に源泉徴収する金額は、国税庁が公表する「源泉徴収税額表」の中から、給与の支払い方法と、その人が扶養控除等申告書を提出しているかどうかに応じた欄を確認して決めます。

具体的な税額そのものは支払額・扶養親族の数によって変わるため、本記事では税額表の「見方」(どの表・どの欄を見るかの判定方法)に絞って整理します。実際の税額は国税庁が公表する税額表本体(後述の一次情報)で確認してください。

月額表と日額表:給与の支払い方法で決まる

源泉徴収税額表には「月額表」と「日額表」の2種類があり、どちらを使うかは、給与をどのような周期で支払うかで決まります。

税額表対象になる給与の支払い方
月額表月ごとに支払うもの、半月ごと・10日(旬)ごとに支払うもの、月の整数倍の期間ごとに支払うもの
日額表毎日支払うもの、週ごとに支払うもの、日割で支払うもの、日雇賃金

役員報酬・従業員給与を毎月一定の周期(月1回・月2回など)で支払う一般的な形であれば月額表を使います。日雇いやアルバイトを日給・週給で支払う場合は日額表を使います。

甲欄・乙欄・丙欄:扶養控除等申告書の提出状況で決まる

税額表のどの「欄」を見るかは、その人が「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているかどうかで決まります。

欄対象者使う税額表
甲欄扶養控除等申告書を提出している人月額表・日額表のいずれも
乙欄扶養控除等申告書を提出していない人(2か所以上から給与を受けていて、その支払者に申告書を提出していない場合など)月額表・日額表のいずれも
丙欄日々雇い入れられる人で、労働した日または時間によって算定される給与等を、労働した日ごとに支払を受ける人日額表のみ

甲欄は乙欄より税額が低く設定されています。役員・従業員のうち、その法人を「主たる給与の支払者」として扶養控除等申告書を提出している人は甲欄、副業先など従たる給与の支払者からの給与は乙欄で源泉徴収します。

丙欄の例外:日雇賃金であっても、同じ勤務先から継続して2か月を超えて給与等が支払われた場合、その2か月を超える部分の期間について支払われるものは「日雇賃金」に含まれず、丙欄の対象から外れます。

扶養控除等申告書は法人へ出し直すのが基本

扶養控除等申告書は、2以上の給与の支払者から給与を受ける場合、いずれか一の支払者(主たる給与の支払者)にのみ提出できます。また、当初提出した申告書の記載内容に異動があった場合は、異動の日後、最初に給与の支払を受ける日の前日までに、異動の内容を記載した申告書を提出する必要があります。

個人事業主として従業員に給与を支払っていた場合、その従業員は個人事業主を「主たる給与の支払者」として扶養控除等申告書を提出していたはずです。法人成りにより給与の支払者が個人事業主から法人という別の人格に変わるため、法人を新たな主たる給与の支払者として、扶養控除等申告書を出し直すのが実務上の基本的な考え方です。従業員の雇用契約を個人事業主から法人へ結び直す扱いと同じ考え方で、詳しくは法人成りの労働保険の引継ぎで整理している「事業主が個人から法人に変わる」という原則にもとづきます。

この出し直しを「法人成りの場合は必要」と名指しで案内する国税庁の公式ページは、本記事の執筆時点で確認できていません。上記は、給与の支払者が変わるという一般原則から導かれる整理です。実際の要否は、法人成りの前に所轄の税務署または税理士に確認してください。

役員報酬も源泉徴収の対象になる

個人事業主本人は、自分自身に「給与」を支払うことはなく、事業から得た利益がそのまま事業所得になります。法人成りをして役員報酬を受け取るようになると、その役員報酬も給与所得として扱われ、法人(会社)が源泉徴収税額表にもとづいて所得税を源泉徴収し、国に納める義務を負います。役員自身が、その法人を主たる給与の支払者として扶養控除等申告書を提出していれば、月額表の甲欄で源泉徴収されます。

役員報酬の金額そのものの決め方・変更のタイミングは役員報酬の決め方で解説しています。

まとめ

  • 源泉徴収税額表は、給与の支払い方法(月ごとか日ごとか)で「月額表」「日額表」に分かれる。
  • どちらの表でも、扶養控除等申告書を提出している人は「甲欄」、提出していない人は「乙欄」を使う。日額表には日雇賃金向けの「丙欄」もある。
  • 日雇賃金でも、同じ勤務先から継続して2か月を超えて支払われた分は丙欄の対象から外れる。
  • 扶養控除等申告書は、2以上の支払者から給与を受ける場合はいずれか一の支払者にのみ提出でき、記載内容に異動があれば異動後最初の給与支払日の前日までに出し直す。
  • 法人成りで給与の支払者が個人事業主から法人に変わるため、法人を新たな主たる給与の支払者として扶養控除等申告書を出し直すのが実務上の基本的な考え方(法人成りを名指しした公式案内は確認できていない)。
  • 役員報酬も給与所得として月額表による源泉徴収の対象になる。

法人成り後の労働保険・社会保険の手続き全体は法人成りの労働保険の引継ぎ、法人化の手続きを、通勤手当の非課税限度額は法人成りで通勤手当を非課税にする距離区分を参照してください。

公式一次情報

  • 国税庁No.2511「税額表の種類と使い方」(月額表は月ごと・半月ごと・10日ごと・月の整数倍の期間ごとに支払う給与に、日額表は毎日・週ごと・日割・日雇賃金の支払に使用すること、甲欄は扶養控除等申告書提出者向け・乙欄はその他の人向け・丙欄は日々雇い入れられる人向けであること、日雇賃金で同一勤務先から継続して2か月を超えて支払われた部分は日雇賃金に含まれないことを規定。2026-09-25確認)
  • 国税庁「A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」(申告書はその年最初に給与の支払を受ける日の前日までに給与の支払者へ提出すること、2以上の給与の支払者から給与を受ける場合はいずれか一の支払者にのみ提出できること、記載内容に異動があった場合は異動の日後最初の給与支払日の前日までに異動の内容を記載した申告書を提出すること、日額表の丙欄が適用される人は提出不要であることを規定。2026-09-25確認)

よくある質問

月額表と日額表はどう区別しますか?
給与をどのような周期で支払うかで決まります。月ごと・半月ごと・10日ごと・月の整数倍の期間ごとに支払うなら月額表、毎日・週ごと・日割・日雇賃金なら日額表を使います。
甲欄と乙欄はどう判定しますか?
その人が「給与所得者の扶養控除等申告書」をその法人(支払者)に提出しているかどうかで判定します。提出していれば甲欄、していなければ乙欄です。甲欄の方が乙欄より税額は低く設定されています。
丙欄はどんな人が対象ですか?
日々雇い入れられる人で、労働した日または時間によって算定される給与等を労働した日ごとに支払を受ける人です。日額表にのみあります。同じ勤務先から継続して2か月を超えて支払われた分は対象から外れます。
個人事業のときに従業員が提出していた扶養控除等申告書は、法人でもそのまま使えますか?
使えません。給与の支払者が個人事業主から法人という別の人格に変わるため、法人を新たな主たる給与の支払者として、扶養控除等申告書を出し直すのが実務上の基本的な考え方です。ただしこの点を法人成りに限定して案内する国税庁の公式ページは確認できておらず、実際の要否は所轄の税務署に確認してください。
役員報酬にも源泉徴収は必要ですか?
必要です。役員報酬も給与所得として扱われ、法人が源泉徴収税額表にもとづいて所得税を源泉徴収し、国に納める義務を負います。役員がその法人に扶養控除等申告書を提出していれば、月額表の甲欄で源泉徴収されます。
本記事について。税理士監修前の概説です。実際の税額は扶養親族の数・支払額により変わるため、具体的な税額は国税庁公表の税額表本体でご確認ください。扶養控除等申告書の出し直しの要否など、法人成りに限定した公式案内が確認できない論点については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。