源泉所得税の納付遅れ|不納付加算税と延滞税
源泉所得税を納付期限までに納めなかったときは、不納付加算税と延滞税がかかります。不納付加算税は告知を受けた場合が10%、自主的に納めた場合が5%で、1万円未満の切捨てと5,000円未満の免除があります。令和8年の延滞税の割合は2.8%と9.1%です。
源泉所得税給与や報酬から源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納めます。納め忘れると、不納付加算税と延滞税の2つが課される場合があります。
この記事のポイントは、税務署の納税の告知を受ける前に自分から納めると、不納付加算税が10%から5%に下がることです。さらに、法定納期限から1か月以内に納めるなど一定の場合は、不納付加算税がかかりません。
納付期限と、遅れたときにかかる2つの税
国税庁のタックスアンサー(No.2505)によると、源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納めます。給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、納期の特例の承認を受ければ、1月から6月分は7月10日、7月から12月分は翌年1月20日が納付期限です。納期の特例は納期の特例の記事で確認できます。
この期限(法定納期限)までに完納しなかった場合、国税通則法は次の2つの附帯税を定めています。
| 附帯税 | 条文 | 中身 |
|---|---|---|
| 不納付加算税 | 第67条 | 納付が遅れたことに対する加算税。税額に10%または5%を乗じる |
| 延滞税 | 第60条第1項第5号 | 納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかる利息に当たる税 |
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不納付加算税:10%と5%と、かからない場合
国税通則法第67条は、源泉徴収による国税が法定納期限までに完納されなかった場合の不納付加算税を、次のように定めています。なお、納付しなかったことに隠蔽・仮装がある場合は、不納付加算税に代えて重加算税が徴収されます(重加算税の解説)。
| 納め方 | 不納付加算税 |
|---|---|
| 税務署長の納税の告知を受けた、または法定納期限後に告知を受けることなく納付した(原則) | 納付する税額の10% |
| 告知を受けることなく納付し、その納付が調査により告知があるべきことを予知してされたものではない | 納付した税額の5% |
| 上の自主納付のうち、法定納期限までに納付する意思があったと認められる場合として政令で定める場合に当たり、かつ法定納期限から1か月を経過する日までに納付した | かからない |
| 納付しなかったことに正当な理由があると認められる | かからない |
調査の通知を受けたあとで納めた場合は、5%の軽減の対象にならない可能性があります。「予知してされたものではない」かどうかは個別の事情で判断されます。納期限に遅れたと気づいた時点で、税務署から連絡が来る前に納めることが、10%と5%を分ける条件です。
「政令で定める場合」の詳しい中身は、この記事では確認していません。1か月以内の納付で加算税がかからないかどうかは、所轄の税務署に確認してください。
延滞税:令和8年は年2.8%と9.1%
国税庁の「延滞税の割合」によると、延滞税は納期限の翌日から2か月を経過する日までと、その翌日以後で割合が変わります。令和8年1月1日から12月31日までの割合は次のとおりです。
| 期間 | 令和8年の割合(年) |
|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 2.8% |
| 納期限の翌日から2か月を経過する日の翌日以後 | 9.1% |
国税庁は、前者を「年7.3%と延滞税特例基準割合に1%を加えた割合のいずれか低い割合」、後者を「年14.6%と延滞税特例基準割合に7.3%を加えた割合のいずれか低い割合」としています。割合は毎年変わるため、遅れた年の表を確認してください。
数日の遅れなら、延滞税は小さな金額です。遅れが長引くほど、9.1%の期間に入る分が重くなります。
端数処理と計算例
国税通則法には、附帯税の端数処理が3つあります。
- 附帯税を計算する基になる税額に1万円未満の端数があれば切り捨てる(第118条第3項)
- 附帯税の金額に100円未満の端数があれば切り捨てる(第119条第4項)
- 加算税の金額が5,000円未満のときは、全額を切り捨てる(第119条第4項)
これを不納付加算税に当てはめた例を示します。
| 自主納付した源泉所得税 | 計算の基になる税額 | 5%の金額 | 不納付加算税 |
|---|---|---|---|
| 125,000円 | 120,000円(1万円未満切捨て) | 6,000円 | 6,000円 |
| 79,000円 | 70,000円(1万円未満切捨て) | 3,500円 | 0円(5,000円未満のため全額切捨て) |
告知を受けて10%になる場合の考え方も同じです。たとえば基になる税額が12万円なら、10%は12,000円です。
遅れに気づいたときの動き方
条文から読み取れる動き方は、次の順序です。
- 納め忘れに気づいたら、まず源泉所得税を納付する(延滞税は納付する日までの日数で増える)
- 告知を受ける前に納付すれば、不納付加算税は5%になる(調査の予知がない場合)
- 法定納期限から1か月以内かどうかで、加算税がかからない場合があるため、所轄の税務署に確認する
- 納付が遅れた原因が、納期の特例の承認を受けていなかったことや、支払月の勘違いなら、源泉所得税の月額表の記事と合わせて、今後の納付月の管理を見直す
給与の支払いが始まる前に必要な届出は給与支払事務所等の開設届出書の記事で確認できます。
公式一次情報
- e-Gov法令検索 国税通則法(第36条・第60条・第67条・第118条・第119条)(2026-10-16確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例(2026-10-16確認)
- 国税庁 延滞税の割合(2026-10-16確認)
まとめ
源泉所得税の納付が遅れると、不納付加算税と延滞税が課される場合があります。不納付加算税は、告知を受けると10%、告知前の自主納付で調査の予知がなければ5%で、加算税が5,000円未満なら全額切り捨てです。
延滞税は令和8年で、納期限の翌日から2か月までが年2.8%、その後が年9.1%です。気づいたらまず納め、税務署の連絡を待たないことが負担を小さくします。
次に知りたいことは、納期の特例、フリーランスへの報酬の源泉徴収、解散時の給与・源泉の手続きの記事で確認できます。
よくある質問
- 源泉所得税を納め忘れたら、必ず不納付加算税がかかりますか?
- 国税通則法第67条は、納付しなかったことに正当な理由があると認められる場合は課さないとしています。また、自主納付で一定の要件を満たし、法定納期限から1か月を経過する日までに納付した場合も課さないとしています。
- 不納付加算税は10%と5%のどちらですか?
- 納税の告知を受けた場合は10%です。告知を受ける前に自主的に納付し、その納付が調査により告知があるべきことを予知してされたものではない場合は5%です。
- 令和8年の延滞税の割合はいくらですか?
- 国税庁の割合表では、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、その翌日以後が年9.1%です。
- 不納付加算税が少額のときも納めますか?
- 国税通則法第119条第4項は、加算税の金額が5,000円未満のときは全額を切り捨てると定めています。計算の基になる税額は1万円未満を切り捨てます(第118条第3項)。
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