給与支払事務所等の開設届出書:提出期限(開設から1か月以内)・提出先・記載項目
法人を設立して給与や役員報酬を払い始めるときに税務署へ出す「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」について、条文と国税庁の手続案内から、期限・提出先・書く内容・提出方法を整理します。
源泉所得税の届出給与支払事務所等の開設届出書は、給与を支払う事務所や事業所を新しく設けたときに、所轄の税務署へ出す届出です。所得税法230条は、事務所等を設け、移転し、または廃止した者に対し、その事実があった日から1か月以内に届出書を提出するよう定めています。
法人を設立した日ではなく、給与の支払事務を取り扱う事務所等を設けた日から1か月以内が期限です。法人設立届出書の提出期限(設立の日から2か月以内)とは別に数える点に注意してください。
開設届出書とは(根拠条文と届出の対象)
正式な様式名は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」です。国税庁の手続案内では、給与の支払者が国内で給与支払事務を取り扱う事務所等を開設・移転・廃止したときに、その旨を税務署長へ届け出る手続とされています。
根拠は所得税法230条で、所得税法施行規則99条が記載事項と提出先を定めています。法人が給与や役員報酬を払う場合も、給与の支払事務を取り扱う事務所等を設ければ届出の対象になります。
提出期限は事実があった日から1か月以内
条文の期限は「その事実があった日から一月以内」です。開設の場合は、給与支払事務所等を設けた日が起点になります。国税庁の手続案内と記載要領も、開設・移転・廃止の事実があった日から1か月以内と案内しています。
法人の届出は期限が重なりやすいため、起点の日を並べると整理できます。
| 届出 | 提出期限 | 提出先 |
|---|---|---|
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 事務所等を設けた日から1か月以内 | 事務所等の所在地の税務署 |
| 法人設立届出書(税務署) | 設立の日から2か月以内 | 本店所在地の税務署ほか |
法人設立届出書の書き方と添付書類は法人設立届出書の記載事項と添付書類、設立後の届出の全体像は法人化の手続きで扱っています。
提出先は事務所等の所在地の税務署
提出先は、給与支払事務所等の所在地を所轄する税務署長です。給与を計算して払う事務所が本店なら、本店所在地の税務署になります。
基準になるのは給与の支払事務を取り扱う場所です。国税庁のタックスアンサーNo.2502も、源泉徴収した所得税の納付先を、給与を支払う事務所、事業所その他これらに準ずるものなどの所在地を所轄する税務署長としています。
届出書に書く項目
施行規則99条が定める記載事項は次の5つです。国税庁の記載要領にも、これに沿った欄があります。
- 届出者の氏名または名称、住所または本店の所在地、個人番号または法人番号
- 給与支払事務所等を設け、移転し、または廃止した旨とその年月日
- 給与支払事務所等の所在地(移転の場合は移転前と移転後)
- 提出日現在で、その事務所等から給与を受ける人の職種別の人数
- その他参考となるべき事項
記載要領の「その他参考事項」欄には、法人成りで個人の事業を廃止した場合に、廃止した事業の事業主、納税地、整理番号を書くとされています。個人事業から法人へ移る場合は、この欄が使われます。人数の欄は、役員・従業員などの職種ごとに数えます。
提出方法と受付時間
提出方法はe-Taxソフトでの作成・提出か、書面を持参・郵送する方法です。e-Taxを初めて使う場合は、利用者識別番号の取得が必要です。
国税庁の手続案内によると、令和8年10月1日から全ての税務署で、総合窓口の受付時間が原則として午前9時から午後3時になっています。土日祝日と年末年始(12月29日から1月3日)は執務を行っていません。
1か月の期限の終わりが近いときは、可能な限り受付時間内に来署するか、e-Taxで先に送ります。国税庁は、受付時間外でも開庁時間内(8時30分から17時まで)の来署なら手続できるとしています。控えの扱いは手続案内に記載がないため、提出書類の写しは自分で保管してください。
移転・廃止のときの扱い
開設だけでなく、移転と廃止も同じ届出書で届け出ます。移転では、提出先は移転前の事務所等の所在地の税務署長です。記載要領によると、移転前の支払に係る源泉所得税の納税地は、届出書に書いた移転後の所在地になります。
記載要領では、支店等の給与支払事務所等は、事務所開設者が廃業または清算結了しない限り、廃止したことにはならないとされています。支店等を閉鎖した場合の納税地は、本店または他の支店等の所在地に引き継がれます。
法人成りで個人事業を終える場合の源泉徴収まわりの手続は、法人成り後の最後の確定申告や廃業時の届出も合わせて確認してください。
開設届のあとに必要な源泉所得税の手続
国税庁のタックスアンサーNo.2502は、源泉徴収した所得税の納付期限を、給与などを実際に支払った月の翌月10日までと案内しています。開設届は、この納付を始める前に税務署へ事務所等を知らせる手続です。
納付を年2回にまとめる納期の特例は、開設届とは別の申請です。条件と提出のしかたは源泉所得税の納期の特例で整理しています。役員報酬の源泉徴収額の見方は源泉徴収税額表(月額表)の使い方に載せています。
まとめ
- 開設届出書の根拠は所得税法230条と施行規則99条で、期限は事務所等を設けた日から1か月以内。
- 提出先は給与支払事務所等の所在地の税務署で、移転のときは移転前の所在地の税務署。
- 書く項目は、届出者の情報、開設の年月日、所在地、職種別の人数、参考事項。法人成りでは参考事項に廃止した個人事業の情報を書く。
- 法人設立届出書(設立から2か月以内)とは期限の起点が違うので、別々に管理する。
公式一次情報
- 所得税法 第230条(給与等の支払をする事務所の開設等の届出)(事実があった日から1月以内に税務署長へ提出。2026-10-07確認)
- 所得税法施行規則 第98条・第99条(記載事項5項目、提出先の税務署長、前条の届出書を出す場合の除外。2026-10-07確認)
- 国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」(提出期限、提出方法、窓口の受付時間。2026-10-07確認)
- 国税庁 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 記載要領(PDF)(移転・廃止の扱い、法人成りの場合の参考事項欄。2026-10-07確認)
- 国税庁「法人設立届出書」の手続案内(法人設立届出書の提出期限。前掲の手続案内と別の届出であることの確認に使用)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2502 源泉所得税の納付期限と納付手続(納付期限は支払った月の翌月10日。2026-10-07確認)
よくある質問
- 給与支払事務所等の開設届出書はいつまでに出しますか?
- 所得税法230条により、給与支払事務所等を設けた日から1か月以内です。国税庁の手続案内も、開設・移転・廃止の事実があった日から1か月以内と案内しています。
- 法人設立届出書と同じ書類ですか?
- 別の届出です。開設届出書は源泉所得税に関する所得税法の届出で期限は1か月以内、法人設立届出書は法人税法の届出で設立の日から2か月以内です。
- どこの税務署に出しますか?
- 給与支払事務所等の所在地を所轄する税務署長です。移転する場合は、移転前の事務所等の所在地の税務署長に出します。
- 法人成りで個人事業を廃止した場合、届出書に何を書きますか?
- 国税庁の記載要領では、「その他参考事項」欄に、廃止した事業の事業主、納税地、整理番号を書くとされています。
- e-Taxで提出できますか?
- 国税庁の手続案内では、e-Taxソフトでの作成・提出が案内されています。書面で作る場合は、提出先に持参または送付します。初めてe-Taxを使う場合は利用者識別番号の取得が必要です。