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重加算税の税率35%・40%と隠蔽・仮装の例

通常の加算税との違い、税率が上がる条件、法人税で「隠蔽・仮装」とされる事実と、されない場合の例を整理します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

重加算税は、申告が間違っていたうえに、売上や経費の事実を隠したり偽ったりしていた場合に、本税に加えて課される加算税です。税率は35%または40%で、過去5年以内にも課されていると45%または50%になります。ここでは、国税庁の資料で確認できる範囲で、どんな行為が対象になり、どんなときは対象にならないかを整理します。

税率は4通り:35%・40%・45%・50%

重加算税は国税通則法68条に定められています。税率は、どの加算税に代えて課されるかと、過去に同じ税目で課されたことがあるかで決まります。

課される場面過去5年以内に課されたことがないある
過少申告加算税に代えて(期限内に申告したが少なかった)/不納付加算税に代えて(源泉所得税など)35%45%
無申告加算税に代えて(期限までに申告しなかった)40%50%

加重されるのは、期限後申告などがあった日の前日から5年前までの間に、その税目で無申告加算税(調査による更正・決定の予知後に課されたもの)または重加算税を課されたことがある場合です。平成29年1月1日以後に法定申告期限などが来る国税に適用されます(出典:国税庁リーフレット「加算税制度の見直し」)。

他の加算税とは重ねて課されない

重加算税は、過少申告加算税や無申告加算税の要件に当てはまるうえで、課税標準や税額の計算の基礎となる事実を隠したり偽ったりしていた場合に課されます。他の加算税に代えて課されるので、同じ本税に対して併課はされません(出典:国税庁「加算税とは」)。

調査を受けたあとに修正申告をした場合の過少申告加算税は10%(一定額を超える部分は15%)です(出典:国税庁タックスアンサー No.2026)。同じ追徴でも、隠蔽・仮装が認められると35%になるため、負担の差は大きくなります(出典:国税庁「加算税制度の見直し」)。通常の過少申告加算税の仕組みは確定申告を間違えたとき、申告しなかった場合の無申告加算税は確定申告をしていないときで扱っています。

法人税で「隠蔽・仮装」とされる事実

国税庁の事務運営指針「法人税の重加算税の取扱いについて」は、隠蔽・仮装にあたる「不正事実」として、次のようなものを例示しています。

  • いわゆる二重帳簿を作成している
  • 帳簿書類を破棄または隠している
  • 帳簿書類の改ざん、虚偽の記載、取引の相手方と通じて虚偽の証ひょう書類を作ること、意図的な集計違いなどで仮装の経理をしている
  • 帳簿書類を作らず、または記録せず、売上などの収入を除外したり、棚卸資産を除外したりしている
  • 損金算入などの要件とされる証明書類を改ざんし、または虚偽の申請で交付を受けている
  • 帳簿に載せていない資産から生じる利息収入や賃貸料収入を計上していない
  • 帳簿に載せていない資金(簿外資金)で、役員賞与などの費用を支出している
  • 同族会社なのに、株式を架空の人や名義だけの人に分けて非同族会社としている

使途不明金は、帳簿書類の破棄・隠匿・改ざんがある場合や、通常その支出が属する勘定科目に計上されていない場合は、不正事実にあたるとされています。一人で経営する会社では、会社のお金と私的な支出の境目があいまいになりやすいため、役員の私的な支出の扱いは役員の私的な支出と認定賞与もあわせて確認してください。

隠蔽・仮装にあたらない場合の例

同じ指針は、次の場合で、相手方との通謀や証ひょう書類などの破棄・隠匿・改ざんによるものでないときは、帳簿書類の隠匿・虚偽記載にあたらないとしています。

  • 売上などの収入の計上を繰り延べているが、翌事業年度の収益に計上されていることが確認できた
  • 経費を繰り上げて計上しているが、その経費が翌事業年度に支出されたことが確認できた
  • 棚卸資産の評価換えで過少評価をしている
  • 交際費や寄附金のように損金算入に制限のある費用を、単に別の費用科目に計上している

ただし、これは個別の事案を保証するものではありません。計上時期のずれや科目の誤りでも、相手方と口裏を合わせた請求書を作るなど、証ひょう書類の偽造が加わると対象になりえます。実際に重加算税が課されるかどうかは、税務署が個別に判断します。

計算の考え方と例

重加算税の計算の基礎になるのは、更正などのあとの税額から、隠蔽・仮装されていない事実だけで計算した税額を引いた額です。所得金額でいえば、更正などのあとの所得金額から、不正事実に基づく所得(重加対象所得)を除いた金額をもとに計算します。

たとえば、売上の除外に対応する法人税の追徴額が100万円で、そのほかに単なる計算ミスによる追徴があるとします。売上除外の100万円に35%を掛けた35万円が重加算税で、過去5年以内にも課されていれば45万円です。

計算ミスの部分には、通常の過少申告加算税の仕組みが当てはまります。数字は説明のための仮の例で、延滞税などは含めていません。

源泉所得税・欠損金の繰越しにも及ぶ

重加算税は法人税だけの話ではありません。源泉所得税についても、国税通則法68条3項を適用する際の取扱いを定めた事務運営指針が別にあります。給与の源泉徴収を偽って納めなかったような場合は、不納付加算税に代えて重加算税が徴収される仕組みです。

通常の遅れについては源泉所得税の納付遅れと不納付加算税を参照してください。

法人税では、前の事業年度に不正事実に基づいて欠損金を過大に申告し、その欠損金を繰り越して控除した場合、控除を否認された事業年度について重加算税が課されます。欠損金を使った年度の申告に、さかのぼって影響が出る点に注意してください。税務署の調査の流れ自体は税務調査の流れと備えにまとめています。

偽りその他不正の行為がある場合は、税務署が更正や決定をできる期間も通常の5年から7年に延びます。くわしくは更正・決定の期間制限で確認できます。

まとめ

  • 重加算税は、事実を隠蔽・仮装していた場合に課され、税率は35%・40%、過去5年以内にも課されていれば45%・50%。
  • 他の加算税に代えて課されるため、併課はされない。
  • 二重帳簿、収入の除外、虚偽の証ひょう書類などが例示されている。計上時期のずれや費用科目の誤りだけなら、あたらないとされる場合がある。
  • 不安があるときは、修正申告の前に税理士への相談を検討してください。

よくある質問

重加算税の税率はいくらですか?
過少申告加算税や不納付加算税に代えて課される場合は35%、無申告加算税に代えて課される場合は40%です。過去5年以内に同じ税目で無申告加算税(調査による更正・決定の予知後のもの)または重加算税を課されていると、それぞれ45%・50%になります(出典:国税庁)。
重加算税と過少申告加算税は両方かかりますか?
両方はかかりません。重加算税は他の加算税に代えて課されるため、同じ本税額に対して併課されません(出典:国税庁「加算税とは」)。
収入の計上が翌年度にずれただけでも重加算税になりますか?
国税庁の事務運営指針では、収入の計上を繰り延べた場合でも、翌事業年度の収益に計上されていることが確認でき、相手方との通謀や証ひょう書類の破棄・隠匿・改ざんがないときは、帳簿書類の隠匿・虚偽記載にあたらないとされています。

公式一次情報

本記事について。税理士監修前の概説です。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は税務署または専門家へご確認ください。