2か所から給与をもらうときの源泉徴収|主たる給与は甲欄・従たる給与は乙欄
給与の支払者が2か所以上あるときの源泉徴収を整理します。扶養控除等申告書を出した側が甲欄、それ以外が乙欄です。あわせて、乙欄での控除額と、年末調整ができない点も確認します。
国税庁の制度自分の法人から役員報酬を受け取りながら、別の会社からも給与をもらうことがあります。このとき、どちらの支払者が源泉徴収税額表のどの欄を使うかは、「主たる給与」か「従たる給与」かで決まります。
国税庁のタックスアンサーNo.2520をもとに、2か所以上から給与をもらう人の源泉徴収と、その後に必要な確定申告を順に確認します。
主たる給与と従たる給与の違い
| 区分 | 意味 | 使う税額表の欄 |
|---|---|---|
| 主たる給与 | 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している支払者の給与 | 甲欄 |
| 従たる給与 | 主たる給与の支払者以外の支払者が払う給与 | 乙欄 |
甲欄と乙欄、月額表と日額表の使い分けは、法人成り後の源泉徴収税額表(月額表)の見方で整理しています。
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労働保険や源泉徴収の手続きを、ひとりで間違えずに進めたいとき向けです。
従たる給与についての扶養控除等申告書が必要な場合
従たる給与から源泉控除対象配偶者や源泉控除対象親族の控除を受けるには、次の要件に当てはまる必要があります。その場合に、「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出します。
要件は、2か所以上の給与の支払者から給与を受ける人で、主たる給与の支払者から支給されるその年中の給与の金額(給与所得控除後の金額)が、次の(1)と(2)の合計額に満たないと見込まれる場合です。
- (1) 主たる給与の支払者から支給される給与について控除される社会保険料等の額
- (2) その人の障害者控除額、寡婦控除額、ひとり親控除額、勤労学生控除額、配偶者(特別)控除額、扶養控除額、特定親族特別控除額、基礎控除額の合計額
- 主たる給与の支払者に申告した源泉控除対象配偶者や源泉控除対象親族を、年の途中で従たる給与の支払者に申告替えすることはできる。
- 従たる給与の支払者に申告した源泉控除対象配偶者や源泉控除対象親族を、年の途中で主たる給与の支払者に申告替えすることはできない。
申告書がある場合の乙欄の税額の求め方
「従たる給与についての扶養控除等申告書」の提出があるときは、乙欄の税額から、申告された扶養親族等の数に応じた金額を控除します。
| 使う表 | 控除額(扶養親族等1人につき) |
|---|---|
| 月額表の乙欄(給与・賞与) | 1,610円 |
| 日額表の乙欄 | 50円 |
説明用の数字で確認します。月額表の乙欄で求めた税額が30,000円、申告された扶養親族等が2人なら、控除額は1,610円×2人=3,220円です。源泉徴収する税額は30,000円-3,220円=26,780円になります。
実際の乙欄の税額は、国税庁の源泉徴収税額表で給与の額から求めます。
従たる給与は年末調整できない
国税庁は、原則として従たる給与については年末調整できないと案内しています。
従たる給与の所得税は、本人が確定申告して精算します。精算する税は、所得税および復興特別所得税です。令和9年分以後は、所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税とされています。
年末調整を受けられる人の範囲は、年末調整の対象になる人・ならない人で確認できます。
確定申告が必要になる目安
給与を2か所以上から受けている人の確定申告の要否は、国税庁のタックスアンサーNo.1900に基準があります。給与の全部が源泉徴収の対象になる場合で、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の各種の所得金額との合計額が20万円を超えると、確定申告が必要です。
ただし、給与の収入金額の合計額から所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下で、さらに給与所得・退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。
副業が個人事業の場合の20万円の基準は、個人事業主の確定申告は必要?いくらから・副業の20万円ルールで整理しています。
給与をもらいながら副業をした場合の個人事業税の課税条件は、会社員の副業と個人事業税で扱っています。
まとめ
- 扶養控除等申告書を出した支払者の給与が主たる給与で、税額表の甲欄を使う。
- それ以外の支払者の給与は従たる給与で、乙欄を使う。
- 一定の要件に当てはまれば、従たる給与についての扶養控除等申告書で、乙欄の税額から1人につき月額表1,610円(日額表50円)を控除できる。
- 従たる給与は原則として年末調整できず、本人の確定申告で精算する。
- 年末調整されなかった給与と他の所得の合計が20万円を超えるかが、確定申告の目安になる。
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よくある質問
- 主たる給与と従たる給与はどう決まりますか?
- 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与が主たる給与です。主たる給与の支払者以外が払う給与が従たる給与になります(出典:国税庁タックスアンサーNo.2520)。
- 従たる給与の源泉徴収は税額表のどの欄を使いますか?
- 乙欄を使います。主たる給与は甲欄です(出典:国税庁)。
- 従たる給与で扶養親族の控除を受けられますか?
- 主たる給与の金額が一定の額に満たないと見込まれるなど、要件に当てはまれば、「従たる給与についての扶養控除等申告書」を出して受けられます。月額表の乙欄では1人につき1,610円を税額から控除します(出典:国税庁)。
- 従たる給与も年末調整されますか?
- 原則として年末調整できません。本人が確定申告して所得税と復興特別所得税を精算します(出典:国税庁)。
- 給与を2か所からもらうと、必ず確定申告が必要ですか?
- 必ずではありません。年末調整されなかった給与の収入金額と他の所得金額の合計が20万円を超える場合などに必要です。給与収入の合計から一定の所得控除を引いた額が150万円以下で、他の所得が20万円以下なら不要とされています(出典:国税庁タックスアンサーNo.1900)。

