退職者の年末調整|対象の5つの場合と源泉徴収票の期限
従業員が12月より前に辞めたとき、会社が年末調整をするのか、源泉徴収票をいつまでに渡すのかを、国税庁の資料で整理します。
国税庁の制度年末調整は12月に行うのが基本ですが、年の途中で退職した人については、5つの場合だけ退職時点で年末調整をします。それ以外の退職者には年末調整をせず、源泉徴収票を退職の日以後1か月以内に渡します。従業員を1人雇った会社や個人事業主が最初につまずきやすい点を、順に整理します。
年の途中で退職した人のうち、年末調整をする5つの場合
国税庁は、年の途中で退職した人のうち、退職時に年末調整をする対象を次の5つとしています。どれにも当たらない退職者は、会社が年末調整をしません。
| 番号 | 退職した人 | 条件 |
|---|---|---|
| 1 | 海外支店などへ転勤して非居住者になった人 | なし |
| 2 | 死亡によって退職した人 | なし |
| 3 | 著しい心身の障害のために退職した人 | 退職後に再就職して給与を受け取る見込みがある人は除く |
| 4 | 12月に支給されるべき給与の支払を受けた後に退職した人 | なし |
| 5 | パートタイマーなどで、本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下の人 | 退職後にその年に他の勤務先から給与を受ける見込みがある人は除く |
たとえば、6月末に自己都合で退職した正社員は、上の5つのどれにも当たらないため、会社は年末調整をしません。
従業員を雇う個人事業主の年末調整の基本は、個人事業主・フリーランスの年末調整の記事で整理しています。
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パートの退職は年収136万円以下かどうか
5つ目は、年の途中でパートを辞めた人が対象です。本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下のとき、退職時に年末調整をします。ただし、退職後に年内に別の勤務先から給与を受ける見込みがある人は除かれます。
判定に使うのは「本年中に支払を受ける給与の総額」です。個別の人が当てはまるかは、税務署の案内で確認してください。
年末調整をしない退職者に会社が渡すもの
年末調整の対象外でも、会社には退職者への書類の交付と報告の義務があります。
| 書類 | 渡す・出す相手 | 期限 |
|---|---|---|
| 給与所得の源泉徴収票 | 退職した本人 | 退職の日以後1か月以内 |
| 給与支払報告書 | 退職時の住所地の市区町村 | 翌年1月31日まで |
- 源泉徴収票は、税務署への提出範囲に当たらない場合でも、全ての受給者に交付しなければなりません。
- 給与支払報告書は、退職した人に対する給与の支払金額が30万円以下なら、提出を省略できます(国税庁の令和6年分の手引きの記述)。
- 会社が年末調整をしない退職者は、渡された源泉徴収票を手元に残し、必要に応じて本人が確定申告をします(これは一般的な整理で、国税庁の個別の案内ではありません)。
源泉徴収票と給与支払報告書の関係は源泉徴収票のみなし提出と給与支払報告書、社会保険と同時に出す手続きは資格取得届・資格喪失届で整理しています。会社をたたむ場合は会社をたたむときの給与・源泉所得税の手続きを参照してください。
反対に、年の途中で入社した人の年末調整
年の途中で入社し、年末まで勤務した人は、12月の年末調整の対象です。ただし、次の点を先に確認します。
- 入社前にその年、他の会社から給与を受けていて、その会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出していた場合は、前の会社の給与も含めて年末調整をします。
- 前の会社の給与額や、徴収された所得税・社会保険料の額は、前の会社が交付した「給与所得の源泉徴収票」で確認します。
- この確認ができないときは、年末調整はできず、本人が確定申告で精算します。
- 3月に学校を卒業して4月から就職した人のように、年の途中から働き始めた場合でも、基礎控除や扶養控除は月割りにせず、全額が認められます。
新しく入社する人には、入社時に前職の源泉徴収票の提出を頼んでおくと、12月に慌てずに済みます。
よくある質問
- 年の途中で退職した従業員は、会社が年末調整をしますか?
- 次の5つのいずれかに当たる人だけです。海外転勤などで非居住者になった人、死亡退職の人、著しい心身の障害で退職した人(再就職の見込みがある人は除く)、12月分の給与の支払を受けた後に退職した人、年間給与総額136万円以下のパートの人(年内に他で給与を受ける見込みがある人は除く)です(出典:国税庁)。
- 退職者の源泉徴収票は、いつまでに渡せばよいですか?
- 年の中途で退職した人には、退職の日以後1か月以内に交付します。税務署への提出範囲に当たらない人も含め、全ての受給者に交付する必要があります(出典:国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」)。
- 入社前に他の会社で給与をもらっていた人の年末調整はどうなりますか?
- 前の会社の給与も含めて年末調整をします。前の会社の源泉徴収票で金額を確認します。確認できない場合は年末調整ができず、本人が確定申告で精算します(出典:国税庁)。
まとめ
- 年の途中で退職した人の年末調整は、5つの場合だけ。ほとんどの退職者は対象外。
- パートの退職は、本年中の給与総額が136万円以下かどうかで分かれる。
- 対象外の退職者には、退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を渡す。
- 中途入社の人は、前職の源泉徴収票を合算して年末調整をする。
次に知りたいことは、法人化後の年末調整、住民税の特別徴収と給与支払報告書、雇用保険の加入条件です。
給与の支払者が2か所以上あるときの甲欄・乙欄の使い分けと、従たる給与の年末調整は2か所から給与をもらうときの源泉徴収(主たる給与は甲欄・従たる給与は乙欄)で整理しています。
年末調整の時点で未払の給与が残っているときの扱いは、給与が未払・一部未払のときの源泉徴収で確認できます。
公式一次情報
- 国税庁 タックスアンサーNo.2665「年末調整の対象となる人」(年の中途で行う年末調整の対象となる5つの場合)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2674「中途就職者の年末調整」(前職の給与の合算、源泉徴収票で確認できない場合、控除の全額適用)
- 国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(令和6年分)(退職者への源泉徴収票の交付は退職の日以後1か月以内、給与支払報告書の提出先と省略基準)
- 国税庁「令和8年分年末調整のしかた」(年の中途で退職した方には退職の日以後1月以内に源泉徴収票を交付)

