個人事業主・フリーランス本人に年末調整はない?従業員を雇う場合の手続きと確定申告
本人は年末調整の対象外で確定申告をすること、従業員や青色事業専従者に給与を払うなら年末調整が必要になることを、国税庁の情報にもとづいて整理します。
国税庁の制度会社員は、12月ごろに会社から「年末調整」の書類を配られます。個人事業主やフリーランスになると、この書類は自分には回ってきません。
結論から言うと、事業主本人に年末調整はなく、1年分の所得税は自分で確定申告して精算します。一方で、従業員などに給与を払う側になると、その人たちの年末調整をする立場になります。
年末調整とは
会社などの給与の支払者は、毎月の給与から所得税を差し引いて国に納めています(これを源泉徴収といいます)。ただ、1年間に差し引いた合計額は、その人が1年間に納めるべき税額とぴったり一致するとは限りません。
この差額を、年末に給与の支払者が精算する手続きが年末調整です。対象は、役員または使用人に支払う給与で、精算を受けるのは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人です(出典:国税庁 No.2662・No.2665)。
事業主本人は対象外で確定申告をする
年末調整は、給与を支払う側が、役員や使用人に対して行う手続きです。個人事業主は自分で事業を営む側で、自分自身に給与を払う立場ではありません。事業主本人は年末調整を受けられず、事業の利益にかかる所得税は確定申告で精算します。
確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得とそれにかかる所得税を自分で計算して確定させる手続きです。源泉徴収された税金などがあれば、この申告で過不足を精算します(出典:国税庁 No.2020)。
ケース別の見分け方
「自分に年末調整が関係するか」は、お金の流れが「受け取る側」か「払う側」かで分かれます。
| あなたの立場 | 年末調整 | やること |
|---|---|---|
| 事業主本人(事業所得) | 対象外 | 確定申告で精算する |
| 従業員に給与を払っている事業主 | 従業員の年末調整をする側 | 12月に従業員の年末調整を行う |
| 青色事業専従者に給与を払っている事業主 | 専従者の年末調整をする側 | 専従者も12月の年末調整の対象に含める |
| 常時2人以下の家事使用人だけに給与を払う個人 | 源泉徴収が不要 | 源泉徴収をする必要がない |
家事使用人は、お手伝いさんのように家庭内の仕事をする人のことです。事業のための従業員とは別の扱いで、常時2人以下の家事使用人だけに給与を払っている個人は、その給与や退職金の源泉徴収をする必要がありません(出典:国税庁 No.2502)。
従業員を雇う場合に必要なこと
個人事業主が従業員を雇って給与を払うと、事業主は源泉徴収義務者になります。給与や税理士などへの報酬から差し引いた所得税は、原則として、支払った月の翌月10日までに国へ納めます(出典:国税庁 No.2502)。
新たに給与を払い始めて源泉徴収義務者になったときは、「給与支払事務所等の開設届出書」を、事務所を開設してから1か月以内に、事務所の所在地を管轄する税務署へ出します(出典:国税庁 No.2502)。
12月に行う年末調整の対象になるのは、1年を通じて勤務している人と、年の途中で就職して年末まで勤務している人です。ただし、次のどちらかに当てはまる人は対象から除かれます。
- 1年間に支払うことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人
- 災害減免法により、その年の給与にかかる源泉所得税の徴収猶予や還付を受けた人
年の途中で退職した人は、死亡や著しい心身の障害による退職、12月分の給与を受け取った後の退職など限られた場合を除き、年末調整の対象になりません。その場合、本人が確定申告で精算します(出典:国税庁 No.2665)。
年の途中で就職した人については、前の勤務先から給与を受けていたかを確認し、前の会社の源泉徴収票などで金額を確かめたうえで年末調整をします。その確認ができないときは年末調整ができず、本人の確定申告になります(出典:国税庁 No.2674)。
青色事業専従者の年末調整
青色申告の個人事業主が、家族を青色事業専従者として雇い給与を払う場合も、年末調整の対象に含まれます。12月に行う年末調整の対象者の説明に、「青色事業専従者も含みます」と明記されています(出典:国税庁 No.2665)。
専従者給与の考え方や、白色申告の専従者控除との違いは白色専従者控除のガイドで整理しています。
まとめ
- 年末調整は、給与の支払者が、役員・使用人に払う給与について行う精算。
- 個人事業主・フリーランス本人は給与を受ける側ではないため、確定申告で自分で精算する。
- 従業員や青色事業専従者に給与を払うなら、事業主はその人たちの年末調整をする側になる。
- 給与支払を始めたら、1か月以内に給与支払事務所等の開設届出書を出す。
- 年の途中で辞めた人は、原則として年末調整の対象外で、本人が確定申告をする。
確定申告で最終的な所得税がいくらになるかは、確定申告の税額試算で利益を入れて確認できます。
公式一次情報
- 国税庁「No.2662 年末調整のしかた」(年末調整の意味、対象は扶養控除等申告書を提出している人)
- 国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」(12月に行う年末調整の対象者・除外される人、青色事業専従者を含むこと、年の途中で行う場合)
- 国税庁「No.2674 中途就職者の年末調整」(前の勤務先の給与の確認と、確認できないときは確定申告になること)
- 国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは」(納付期限は翌月10日、家事使用人だけに給与を払う個人は源泉徴収不要、開設届出書は1か月以内)
- 国税庁「No.2020 確定申告」(1年間の所得と税額を計算して確定させ、源泉徴収された税額などの過不足を精算する手続き)
よくある質問
- 個人事業主やフリーランスに年末調整はありますか?
- 事業主本人にはありません。年末調整は給与の支払者が役員・使用人に払う給与について行う精算で、事業所得の所得税は自分で確定申告して精算します(出典:国税庁 No.2662・No.2020)。
- 従業員を雇ったら年末調整は必要ですか?
- 必要です。給与を払う事業主は源泉徴収義務者になり、12月に従業員の年末調整を行います。給与の支払を始めたら、1か月以内に給与支払事務所等の開設届出書を税務署へ出します(出典:国税庁 No.2502・No.2665)。
- 家族の青色事業専従者も年末調整の対象ですか?
- 対象です。12月に行う年末調整の対象者に、青色事業専従者も含まれると国税庁が説明しています(出典:国税庁 No.2665)。
- 年の途中で辞めた従業員の年末調整はどうなりますか?
- 死亡や著しい心身の障害による退職、12月分の給与を受けた後の退職など限られた場合を除き、年末調整の対象になりません。本人が確定申告で精算します(出典:国税庁 No.2665)。