従業員の育休中の社会保険料免除
従業員が育児休業に入ったとき、健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主が日本年金機構へ申出書を出すと本人分も会社分も免除されます。申出書の出し方と期限、どの月が免除になるか(月末と14日以上の見方)、賞与の保険料が免除される条件を、日本年金機構の案内で整理します。
育児休業等取得者申出書従業員が育児休業を取るとき、会社は「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構に出します。出した場合に限り、健康保険・厚生年金保険の保険料が、従業員負担分も事業主負担分も免除されます。免除は自動では始まらないため、会社側の手続きが要ります。
役員本人の産前産後・育児休業は一人社長・役員の産休と育休の社会保険料で扱っています。この記事は、法人化して従業員を雇う会社が、従業員の育休で行う手続きに絞ります。
免除の対象になる休業と、ならない人
日本年金機構は、育児・介護休業法による満3歳未満の子を育てるための育児休業等を対象としています。取得するたびに、事業主が手続きをします。対象は次の5つです。
- 1歳に満たない子を育てるための育児休業
- 保育所に入れないなどの特別な事情があるときの、1歳6か月に達する日までの育児休業
- 同じく特別な事情があるときの、2歳に達する日までの育児休業
- 1歳(特別な事情があるときは1歳6か月・2歳)から3歳に達するまでの子を育てるための、育児休業に準ずる措置による休業
- 産後休業をしていない労働者が、子の出生後8週間以内に4週間まで2回に分けて取る休業(産後パパ育休)
特別養子縁組の監護期間中の子と、養子縁組里親に委託されている要保護児童も、平成29年1月1日から対象です。
注意したいのは、事業主本人や役員、同居の親族だけを使う事業で働く人は、通常は育児・介護休業法の「労働者」に当たらないという点です。日本年金機構は、こうした人は育児休業等を取れないため、この申出も行えないとしています。一人社長の会社や家族だけの会社は、この手続きの対象になりにくい点を先に確認してください。
この記事の内容を申告書に落とすときの本PR
記事で確かめた内容を、申告書の記入や帳簿の付け方まで一冊で追いたいとき向けです。
申出書の出し方と期限
流れは、従業員が事業主へ育児休業等の取得を申し出て、事業主が申出書を日本年金機構へ出す、という順です。
| 項目 | 日本年金機構の案内 |
|---|---|
| 様式 | 健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書 |
| 出す時期 | 育児休業等の期間中、または終了日から1か月以内 |
| 出し先 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
| 出し方 | 電子申請、郵送、窓口持参(年金事務所のみ) |
| 添付書類 | なし |
休業を延長するときも、取得するときと同じ申出書を出します。取得や延長のたびに手続きが要るため、1歳までの休業を取ったあとに1歳6か月まで延ばす場合は、延長分でも出し忘れないようにします。
どの月が免除になるか
毎月の給与にかかる保険料が免除されるのは、育児休業等を始めた日の属する月から、終了する日の翌日が属する月の前月までです。月末の時点で休業中の月が免除になる、と読むと分かりやすくなります。
令和4年10月1日以後に始まる育児休業等には、もう1つの条件が加わりました。開始日の属する月と終了日の翌日の属する月が同じ月でも、その月に14日以上の育児休業等を取ったときは、その月の保険料が免除されます。
14日の数え方は、土日などの休日も期間に含め、休業中に就業予定日があればその日を除きます。次の例は、仕組みを見るための仮の日付です。
| 休業の期間(仮の例) | 免除される月 | 理由 |
|---|---|---|
| 4月20日〜5月10日 | 4月分 | 4月末に休業中。終了日の翌日(5月11日)の属する月の前月までが免除 |
| 10月10日〜10月25日(16日間) | 10月分 | 月末は休業中でないが、同月内に14日以上取得 |
| 10月10日〜10月22日(13日間) | なし | 月末をまたがず、14日にも届かない |
短い育休では、月末をまたがない場合に14日以上かどうかで保険料が変わります。休業の日取りを決める前に、この数え方を従業員へ伝えておくと行き違いを防げます。
賞与の保険料が免除される条件
賞与にかかる保険料も免除の対象です。ただし、令和4年10月1日以後に始まる育児休業等では、賞与を支払った月の末日を含む、連続した1か月を超える育児休業等を取った場合に限り免除されます。1か月を超えるかどうかは、暦日で数えます。
月額保険料のように「14日以上」では足りず、賞与は1か月を超える連続した休業が必要です。賞与の支払いに合わせて休業の期間が決まっている場合は、賞与月の末日と休業の期間の重なりを確認してください。賞与を払ったときの届出は従業員に賞与を払うときの源泉徴収と社会保険にまとめています。
予定より早く終わったとき
育児休業等が予定の日より前に終わったときは、事業主が「育児休業等取得者終了届」を日本年金機構へ出します。復職後の保険料の決め方は、育児休業等終了時の報酬月額変更届という別の手続きがあります。標準報酬の見直しの届出は算定基礎届・月額変更届にまとめています。
よくある質問
- 育児休業中の社会保険料は、会社の分も免除されますか?
- はい。申出書を出すと、被保険者負担分と事業主負担分の両方が免除されます。
- 申出書を出し忘れたときは、いつまで間に合いますか?
- 育児休業等の期間中、または終了日から1か月以内に出す必要があります。
- 育休が15日でも、月末をまたがなければ免除されますか?
- 令和4年10月1日以後に始まる休業で、開始日の属する月内に14日以上取得していれば、その月の月額保険料は免除されます。
- 一人社長の会社で、社長が育休を取れますか?
- 日本年金機構は、事業主や役員、同居の親族だけを使う事業で働く人は通常は労働者に当たらず、この申出は行えないとしています。
次に読む
男性の従業員が育児休業を取った中小企業が受け取れる助成金は、出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)で解説しています。

