出生時両立支援コースの支給額・必要な措置・申請期限
男性の従業員が育児休業を取ったときに、中小企業が受け取れる助成金です。令和8年度の支給要領をもとに、支給額、事前に整える規定と措置、休業の日数、申請の期限を順に説明します。
厚生労働省の制度出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)は、男性が育児休業を取りやすい職場づくりをした中小企業に、男性労働者が子の出生後8週間以内に育児休業を始めたときに支給される助成金です。1人目の支給額は20万円で、雇用環境整備の措置を4つ以上実施していれば30万円です。育児休業を取る本人の手続きより前に、会社側の規定と措置を整えておく必要があります。
対象の事業主と支給額
この助成金は、中小企業事業主が対象です。判定は、支給申請日の属する月の初日における資本金などの額、または企業全体で常時雇用する労働者の数で行います。
支給額は、対象となる男性労働者1人あたり、次のとおりです。
| 何人目の対象者か | 支給額 | 必要な育児休業の日数 |
|---|---|---|
| 1人目 | 20万円(雇用環境整備の措置を4つ以上実施した場合は30万円) | 連続5日以上 |
| 2人目 | 10万円 | 連続10日以上 |
| 3人目 | 10万円 | 連続14日以上 |
支給は、同じ男性労働者の同じ子についての育児休業につき1回限りです。1人目の20万円か30万円のどちらかは、1事業主につき1回限りです。
育児休業の利用状況を、厚生労働省の「両立支援のひろば」にある一般事業主行動計画公表サイトで公表すると、1事業主につき1回、2万円が加算されます。加算は支給の申請と同時に申請します。
このコースには、男性の育児休業取得率を上げた場合に支給される別の区分(1事業主につき1回限り、60万円)もあります。この記事では、男性労働者が育児休業を取った場合の区分を説明します。
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休業の前に整えること
就業規則への規定、雇用環境整備の措置、業務体制の規定は、対象の育児休業が始まる前に終わっている必要があります。後から整えても対象になりません。
- 就業規則への規定:育児休業(出生時育児休業を含む)と育児のための短時間勤務制度を、労働協約または就業規則に規定します。「育児・介護休業法に従う」と書くだけでは、規定したとは扱われません。
- 一般事業主行動計画の届出:次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定して労働局に届け出て、申請の時点で有効であり、公表と従業員への周知もしている必要があります(プラチナくるみん認定を受けた事業主を除く)。
- 雇用環境整備の措置:研修の実施、相談体制の整備、取得事例の収集と提供、制度と取得促進の方針の周知、業務の配分や人員配置の措置、の5つから選びます。1人目は2つ以上、2人目は3つ以上、3人目は4つ以上を、育児休業の開始日の前日までに実施します。実施したのは、対象者の雇用契約期間中で、申請日のおおむね3年以内である必要があります(相談体制の整備だけは、3年以上前でも対象です)。
- 業務体制の規定:育児休業を取る人の業務を代わる人の業務見直しに取り組むことを定めた規定を、育児休業の開始日の前日までに作ります。業務の整理と引継ぎ、引き継いだ業務の見直しの検討の両方を含めます。
出生時育児休業の申出期限を、開始予定日の2週間前より前に設定している事業主は、実施する措置の数が1つずつ多くなります(1人目は3つ以上、2人目は4つ以上、3人目は5つ全て)。
就業規則への書き方は、就業規則の必要記載事項で確認できます。
対象になる育児休業の日数
対象になるのは、雇用保険の被保険者である男性労働者が、子の出生後8週間以内に開始する育児休業です。出生時育児休業(産後パパ育休)も含まれます。
1人目は連続5日以上で、そのうち4日以上が所定労働日に当たる必要があります。2人目は連続10日以上(所定労働日8日以上)、3人目は連続14日以上(所定労働日11日以上)です。
育児休業を始める日から申請する日まで、その男性労働者を雇用保険の被保険者として継続して雇っていることも条件です。育児休業中の社会保険料の免除は別の制度で、事業主の手続きは育児休業中の社会保険料免除の手続きにまとめています。
申請の期限と申請先
申請は、対象の育児休業の終了日の翌日から2か月以内です。書類は、本社など人事労務管理の機能を持つ事業所の所在地を管轄する労働局に出します。
育児休業が終わってから準備を始めると、2か月で書類が間に合わないことがあります。規定、措置の実施日、行動計画の届出日がわかる資料は、休業が始まる前から保管しておきます。
支給されない場合
支給要領には、次のような不支給の要件と、支給の対象から外れる場合があります。
- 申請日の前日から1年前までの間に、育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法、男女雇用機会均等法などの重大な違反があり、支給することが適切でないと認められる場合です。
- 申請の時点で育児・介護休業法に違反し、労働局の助言や指導を受けたのに是正していない場合です。
- 男性労働者の育児休業取得率の上昇等の区分を申請した(申請中を含む)事業主は、この区分の対象から除かれます。
- 同じ育児休業について、育児休業等支援コース(育休取得時等)との併給はできません。
国や地方公共団体からの補助金や助成金は、一般に対価を得て行う取引ではないため、消費税の課税対象になりません。税の扱いは補助金・助成金にかかる税金で確認できます。
次に知りたいこと
人材開発支援助成金(人材育成支援コース):従業員の研修費用の助成金です。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請順序:非正規の従業員を正社員にする場合の助成金です。
雇用保険の加入条件:対象の従業員が雇用保険に入っているかの確認に使えます。
公式一次情報
- 厚生労働省「両立支援等助成金 出生時両立支援コース支給要領(令和8年4月8日改正)」(中小企業事業主、雇用環境整備の措置、業務体制の規定、育児休業の日数、支給額、申請期限、不支給要件。2026-10-23確認)
- 厚生労働省「2026(令和8)年度 両立支援等助成金のご案内」(コースの種類と支給額の概要。2026-10-23確認)
- 厚生労働省「子ども・子育て両立支援等助成金のご案内」(支給要領と申請様式の一覧。2026-10-23確認)
- 国税庁「No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」(補助金・助成金は一般に不課税。2026-10-23確認)
まとめ
出生時両立支援コースは、中小企業が、男性労働者の出生後8週間以内の育児休業に対して受け取れる助成金で、1人目は20万円(措置を4つ以上実施すると30万円)、2人目と3人目は10万円です。
就業規則への規定、行動計画の届出、雇用環境整備の措置、業務体制の規定を休業の前に済ませ、育児休業の終了日の翌日から2か月以内に申請します。年度の途中で変わることがあるため、申請前に最新の支給要領と管轄の労働局で確認してください。
よくある質問
- 男性が育児休業を取ると、いくら受け取れますか?
- 中小企業の場合、1人目は20万円です。雇用環境整備の措置を4つ以上実施していれば30万円になります。2人目と3人目は10万円です。
- 育児休業は何日以上取れば対象ですか?
- 子の出生後8週間以内に開始する育児休業で、1人目は連続5日以上、2人目は連続10日以上、3人目は連続14日以上です。
- 育児休業を取った後に、規定や措置を整えても間に合いますか?
- 間に合いません。就業規則への規定、雇用環境整備の措置、業務体制の規定は、育児休業の開始日の前日までに済ませる必要があります。
- 申請はいつまでにしますか?
- 対象の育児休業の終了日の翌日から2か月以内に、本社などの所在地を管轄する労働局へ出します。
- 対象になる男性労働者の条件はありますか?
- 雇用保険の被保険者であることが必要です。育児休業を始める日から申請する日まで、被保険者として継続して雇われていることも求められます。

