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人材育成支援コースの助成率・限度額・計画届の期限

従業員に研修を受けさせる法人が使える助成金です。令和8年度版の資料をもとに、対象の訓練、中小企業の助成率と限度額、手続きの期限を順に説明します。

厚生労働省の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

人材開発支援助成金は、従業員に仕事に必要な知識や技能を身につけさせる訓練を計画どおりに行った事業主に、訓練にかかった経費と訓練中の賃金の一部を支給する制度です。研修を受けさせてから申し込むのでは間に合わず、訓練を始める1か月前までに計画届を出すことが、最初の条件になります。

人材育成支援コースの流れ:職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の周知→訓練開始日の6か月前から1か月前までに計画届→訓練の実施と経費の全額支払い→訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請、の順です。

対象になる事業主・従業員・訓練

人材育成支援コースは、雇用保険適用事業所の事業主が、雇用保険の被保険者である従業員に訓練を受けさせる場合の助成です。訓練を受ける人が雇用保険に入っていない場合は対象になりません。

対象の訓練は次の4種類です。

  • 人材育成訓練:10時間以上のOFF-JT(職場の外で行う研修)です。外部の講座への参加や、社内で講師を招く研修が当てはまります。
  • 認定実習併用職業訓練:新卒者などのために実施する、OJT(職場での実地訓練)とOFF-JTを組み合わせた訓練です。
  • 有期実習型訓練:有期契約の従業員などを正社員にすることを目的に実施する、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練です。
  • 中高年齢者実習型訓練:45歳以上の従業員を対象に実施する、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練です。

有期実習型訓練を除き、事業主は、研修や人事の担当者を職業能力開発推進者に選任し、事業内職業能力開発計画を作って従業員に周知している必要があります。まだ選任・策定していない場合は、計画届を出す日までに済ませます。

中小企業の助成率と助成額

助成率と助成額は、中小企業と大企業で異なります。次の表は中小企業の場合です。賃金要件・資格等手当要件を満たすと、右の列の額に上がります。

訓練経費助成率(通常→要件を満たす場合)賃金助成(1人1時間)OJT実施助成(1人1コース)
人材育成訓練(正規雇用労働者など)45%→60%800円→1,000円なし
人材育成訓練(有期契約労働者など)70%→85%800円→1,000円なし
認定実習併用職業訓練45%→60%800円→1,000円20万円→25万円
有期実習型訓練75%→100%800円→1,000円10万円→13万円
中高年齢者実習型訓練60%→75%800円→1,000円10万円→13万円

割増の条件は、訓練修了後に受講者の賃金を訓練前と比べて5%以上上げた場合、または、資格等手当を就業規則などに定めて支払い、支払い前後の賃金を比べて3%以上上がった場合です。人材育成支援コースでは、あとから条件を満たしたときに別途申請して、割増分を追加で受け取れます。

eラーニングや通信制の訓練は、経費助成だけが対象で、賃金助成は出ません。

経費助成の限度額

経費助成には、受講者1人が1つの訓練を受けるごとの限度額があります。実際の訓練時間で区分が決まります。

実訓練時間中小企業大企業
10時間以上100時間未満15万円10万円
100時間以上200時間未満30万円20万円
200時間以上50万円30万円

1事業所が1年度に受けられる助成の上限は1,000万円です。受講者1人が1年度に受けられる訓練は3回まで(有期実習型訓練は、同じ事業主が同じ従業員に対して1回まで)です。賃金助成の対象になるのは、所定労働時間内に受講した時間だけで、1人1訓練あたり1,200時間(専門実践教育訓練は1,600時間)が上限です。

手続きの順序と期限

1
推進者の選任と計画の周知

職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を作って従業員に周知します。計画届を出す日までに済ませます。

2
職業訓練実施計画届を出す

訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に、管轄の労働局へ提出します。

3
訓練を実施する

訓練期間中も従業員に賃金を支払い、支給申請までに訓練経費の全額を支払います。

4
2か月以内に支給申請する

訓練終了日の翌日から2か月以内に、必要書類を管轄の労働局へ出します。

申請には電子申請の利用が案内されており、GビズIDの取得が必要です。取得の流れは法人成りでGビズIDを引き継ぐ手続きで確認できます。

対象外になりやすい例

厚生労働省のパンフレットは、次のような場合を支給されない例として挙げています。

  • 計画届の期間を外れた:訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に提出していない場合です。訓練を始めてから出しても対象になりません。
  • 変更届を期日までに出していない:訓練計画を変えるときは、定められた期日までに変更届が必要です。
  • 支給申請が遅れた:訓練終了日の翌日から2か月を過ぎた場合です。
  • 経費を全額負担していない:訓練にかかった経費を、事業主が全額負担している必要があります。
  • 所定労働時間外・休日の賃金助成とOJT実施助成:所定労働時間外や休日(振替休日を除く)に行った時間は、賃金助成とOJT実施助成の対象になりません。
  • 実訓練時間が10時間未満:一部の例外を除き、10時間未満の訓練は対象外です。

受給資格にも条件があります。支給申請をした年度の前年度より前の保険年度の労働保険料を納めていない事業主や、支給申請日の前日までの過去1年間に労働関係法令の違反があった事業主は、対象外とされています。労働保険料の納め方は労働保険の年度更新で確認できます。

受け取った助成金の消費税

国や地方公共団体からの補助金や助成金は、一般に対価を得て行う取引ではないため、消費税の課税対象になりません。受け取った助成金を課税売上に入れないよう、経理で区分しておきます。助成金全般の税の扱いは補助金・助成金にかかる税金にまとめています。

次に知りたいこと

公式一次情報

まとめ

人材育成支援コースは、雇用保険適用事業所の事業主が、雇用保険の被保険者に10時間以上の訓練などを受けさせたときの助成です。中小企業の経費助成率は通常45%で、賃金要件などを満たすと60%になります。

手続きは、訓練開始日の6か月前から1か月前までの計画届と、訓練終了日の翌日から2か月以内の支給申請の2つの期限が軸です。年度の途中で制度が変わることがあるため、申請前に最新のパンフレットと管轄の労働局で確認してください。

よくある質問

研修を始めたあとでも、人材開発支援助成金は申請できますか?
計画届を訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に出していない訓練は、対象外とされています。研修を決めた時点で、先に計画届を準備します。
中小企業の経費助成率はどれくらいですか?
人材育成訓練の正規雇用労働者などでは45%で、訓練後に賃金を5%以上上げるなどの要件を満たすと60%です。有期契約労働者などは70%、要件を満たすと85%です。
1回の研修でいくらまで助成されますか?
経費助成は、受講者1人・1訓練あたり、10時間以上100時間未満で15万円、100時間以上200時間未満で30万円、200時間以上で50万円までです(中小企業)。1事業所の年度上限は1,000万円です。
eラーニングの受講費用も対象になりますか?
経費助成の対象にはなりますが、賃金助成は出ません。限度額の区分は、標準学習期間(月数)が定められたeラーニングのみの訓練では10時間以上100時間未満になります。標準学習時間が設定されている場合は、通学制の訓練と合計した時間で決まります。
支給申請はいつまでにしますか?
訓練終了日の翌日から2か月以内です。過ぎると支給されません。
本記事について。税理士・社会保険労務士監修前の概説です。申請年度のパンフレットと、管轄の労働局の案内を確認してください。