寡婦年金と死亡一時金(自営業の国民年金だけの給付)
個人事業主の夫が亡くなったときに、国民年金から出る2つの独自給付について、受け取れる条件、金額、どちらを選ぶかを日本年金機構の資料で整理します。
国民年金自営業者や学生などが入る国民年金の第1号被保険者には、会社員の厚生年金にはない独自の給付として「寡婦年金」と「死亡一時金」があります。どちらも、保険料を納めてきた人が老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らないまま亡くなったときに、遺族に出る給付です。
この記事では、それぞれの受け取れる条件と金額、両方に当てはまるときの選び方、請求の手続きを、日本年金機構の資料で確認できる範囲で整理します。
2つの給付の違い
2つの給付は、どちらも国民年金のみの制度で、厚生年金保険にはありません(出典:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」)。受け取れる人と支払い方が違います。
| 項目 | 寡婦年金 | 死亡一時金 |
|---|---|---|
| 受け取れる人 | 婚姻10年以上の妻 | 生計を同じくしていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順) |
| 支払い方 | 妻が60歳から65歳になるまでの年金 | 1回きりの一時金 |
| 金額 | 夫の老齢基礎年金額の4分の3 | 12万円〜32万円(付加保険料の分を加算) |
| 亡くなった人に必要な期間 | 納付済と免除を合わせて10年以上 | 納付済が36月以上 |
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寡婦年金の条件と金額
寡婦年金は、死亡日の前日に国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間と、保険料の免除期間を合わせて10年以上ある夫が亡くなったときに出ます。受け取れるのは、夫と10年以上続く婚姻関係(事実婚を含む)があり、夫に生計を維持されていた妻で、60歳から65歳になるまでの間です(出典:日本年金機構「寡婦年金」)。
10年の期間には、学生納付特例と納付猶予の期間も入ります。ただし、これらの期間は年金額には反映されません。平成29年7月31日以前の死亡では、25年以上の期間が必要でした。
年金額は、夫の第1号被保険者の期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。たとえば、夫が保険料を480月(満額の期間)のうち240月だけ納め、免除期間がなかった場合、老齢基礎年金額は満額の2分の1で、寡婦年金は満額の8分の3になります。これは計算の説明用の例で、実際の金額は夫の記録で決まります。
次の場合は、寡婦年金を請求できません(同)。
- 亡くなった夫が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受けたことがある(令和3年3月31日以前の死亡は、障害基礎年金の受給権者だった場合と、老齢基礎年金を受けたことがある場合)
- 妻が、繰上げ支給の老齢基礎年金を受けている
死亡一時金の条件と金額
死亡一時金は、死亡日の前日に第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある人が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受けないまま亡くなったときに、生計を同じくしていた遺族に出ます。納めた月数は、4分の3納付の月は4分の3月、半額納付の月は2分の1月、4分の1納付の月は4分の1月で数えます(出典:日本年金機構「死亡一時金」)。
| 保険料を納めた月数 | 金額 |
|---|---|
| 36月以上180月未満 | 12万円 |
| 180月以上240月未満 | 14万5千円 |
| 240月以上300月未満 | 17万円 |
| 300月以上360月未満 | 22万円 |
| 360月以上420月未満 | 27万円 |
| 420月以上 | 32万円 |
死亡した月の前月までに付加保険料を納めた期間が36月以上ある場合は、上の金額に8,500円が加算されます(出典:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」)。付加保険料の仕組みは個人事業主の年金を増やす方法で説明しています。
次の点に注意が必要です。
- 遺族が遺族基礎年金を受け取れるときは、死亡一時金は出ません
- 請求できるのは、死亡日の翌日から2年以内
- 子に遺族基礎年金が出るのに、生計を同じくする父または母がいるため支給が止まる場合は、その父または母は死亡一時金を受け取れます
令和7年の法律改正により、令和10年4月1日以後は、生計を同じくする父または母がいても、子は遺族基礎年金を受け取れるようになります。令和8年4月1日から令和10年3月31日までに権利が発生した死亡一時金を父または母が受け取った場合、生計を同じくする子の遺族基礎年金は、引き続き止まります(出典:日本年金機構「死亡一時金」)。
両方に当てはまるとき
寡婦年金と死亡一時金の両方を受け取れる場合は、どちらか一方を選びます。他の年金を受け取っている妻が寡婦年金を受けるときも、選択になります(出典:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」)。
どちらが多くなるかは、夫の納付期間や妻の年齢で変わります。寡婦年金は60歳から65歳までの年金で、死亡一時金は1回の給付です。個別の試算は、年金事務所または街角の年金相談センターで確認できます。
子のいる家庭で遺族基礎年金を受け取れるかどうかは、自営業と法人化後の遺族年金の違いで整理しています。
請求の手続き
請求先は、住所地の市区町村役場、年金事務所、街角の年金相談センターの窓口です(出典:日本年金機構「死亡一時金を受けるとき」「寡婦年金を受けるとき」)。
| 給付 | 請求書 |
|---|---|
| 寡婦年金 | 年金請求書(国民年金寡婦年金) |
| 死亡一時金 | 国民年金死亡一時金請求書 |
死亡一時金の請求では、次の書類が必要です。
- 亡くなった人の基礎年金番号がわかる書類(提出できないときは理由書)
- 戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し(死亡日以降に交付されたもの)
- 世帯全員の住民票の写し(死亡日以降に交付されたもの)
- 亡くなった人の住民票の除票(住民票の写しに含まれていれば不要)
- 受け取る人の通帳など
請求する人が配偶者の場合は、マイナンバーを書けば戸籍謄本などを省略できる書類があります。そのほかの書類は、窓口で確認してください。
まとめ
- 寡婦年金と死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者だけの給付で、厚生年金にはない。
- 寡婦年金は、納付済と免除を合わせて10年以上ある夫の妻が対象。婚姻10年以上で、60歳から65歳まで、夫の老齢基礎年金額の4分の3。
- 死亡一時金は、納付済36月以上。12万円〜32万円で、付加保険料が36月以上あれば8,500円を加算。
- 死亡一時金は遺族基礎年金が出るときは受け取れず、請求は死亡日の翌日から2年以内。
- 両方に当てはまるときは、どちらか一方を選ぶ。
次に知りたいことは、個人事業主の国民年金、国民年金保険料が払えないときの免除・納付猶予、自営業と法人化後の遺族年金の違いです。
よくある質問
- 寡婦年金はいくらもらえますか?
- 夫の第1号被保険者の期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3で、妻が60歳から65歳になるまで受け取れます(出典:日本年金機構「寡婦年金」)。
- 夫が年金を受け取り始めていたら寡婦年金は出ますか?
- 夫が老齢基礎年金または障害基礎年金を受けたことがあるときは、寡婦年金は出ません(出典:日本年金機構「寡婦年金」)。
- 死亡一時金はいくらですか?
- 保険料を納めた月数に応じて12万円から32万円です。付加保険料を36月以上納めていれば8,500円が加算されます(出典:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」)。
- 寡婦年金と死亡一時金は両方もらえますか?
- 両方に当てはまるときは、どちらか一方を選びます(出典:日本年金機構「死亡一時金」)。
- 死亡一時金はいつまでに請求しますか?
- 死亡日の翌日から2年以内です。過ぎると請求できなくなります(出典:日本年金機構「死亡一時金」)。

