ガイド

経営セーフティ共済の解約|解約手当金の支給率と税の扱い

経営セーフティ共済(倒産防止共済)を解約すると戻る解約手当金は、納付月数と解約の種類で支給率が変わります。支給率の表、解約月の掛金の扱い、請求の手続き、受け取った年の税金、再加入の制限を、中小機構の案内にもとづき整理します。

中小機構の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

解約手当金は、掛金を納めた月数が40か月以上の任意解約なら掛金総額の100%、12か月未満なら0%です。12〜39か月で解約すると、任意解約では掛金総額の80〜95%しか戻りません。

戻ってきた解約手当金は、掛金を経費にしていた場合は収入(法人は益金)になります。解約の種類ごとの支給率、解約する月の選び方、受け取ったあとの税金と再加入の制限をまとめます。

解約の3種類(任意・みなし・機構)

経営セーフティ共済の解約には、事由によって3つの種類があります。どの種類かで、同じ納付月数でも支給率が変わります。共済全体の仕組みは経営セーフティ共済とはで説明しています。

種類なる場面
任意解約共済契約者が自分の意思で解約するとき
みなし解約共済契約者の死亡、法人の解散、会社分割(事業の全部を承継させるものに限る)、事業の全部譲渡のとき。その時点で解約されたものとみなされる
機構解約掛金を12か月分以上滞納したときなどに、中小機構が解約を決めるとき

みなし解約のうち、共済契約の承継が行われたときは解約になりません。個人事業から法人へ契約を引き継ぐ手続きは、法人成りで経営セーフティ共済はどうなるに書いています。

解約手当金の支給率の表

解約手当金は、掛金を納めた月数に応じて、掛金総額に次の支給率を掛けた額です。

掛金を納付した月数任意解約みなし解約機構解約
1か月〜11か月0%0%0%
12か月〜23か月80%85%75%
24か月〜29か月85%90%80%
30か月〜35か月90%95%85%
36か月〜39か月95%100%90%
40か月以上100%100%95%

任意解約で全額が戻るのは、納付月数が40か月以上のときだけです。11か月以内は、掛金が1円も戻りません。

「掛金総額」は、納めた掛金から次の額を差し引いた額です。

  • 共済金貸付額の10分の1に相当する額
  • 共済金や一時貸付金の償還を怠ったため、償還や違約金の納付に充てられた額

借入れの仕組みは経営セーフティ共済の一時貸付金で扱っています。

戻る額の計算例

月額20万円を、任意解約で次の月数まで納めた場合の目安です(上の表からの試算で、貸付はなく、解約月分まで掛金総額に含まれるものとします)。

納付月数掛金総額支給率解約手当金戻らない額
11か月220万円0%0円220万円
24か月480万円85%408万円72万円
36か月720万円95%684万円36万円
40か月800万円100%800万円0円
40か月が分かれ目:36か月で解約すると36万円、24か月で解約すると72万円が戻りません。あと数か月で40か月になるときは、納付月数を数え直してから解約日を決めてください。

解約月の掛金と前納金の扱い

中小機構は、解約手当金の額は「解約手当金算定時に中小機構で確認された掛金」を基礎に算定する、と案内しています。掛金は解約月分まで納めておく必要があります。

解約事由の発生日(任意解約は請求書の申出日)解約月の掛金
その月の掛金振替日(27日。土日祝日なら翌営業日)以降解約月分も掛金総額に含まれる
その月の掛金振替日の前日以前解約月分は過払い金として返金される(掛金総額には含まれない)

掛金を前納している場合は、前納金を充当する月が来てはじめて掛金として扱われます。充当する月が来ていない前納金は、掛金総額に入らず、過払い金として返金されます。そのため、納付月数にも含まれません。

請求の手続きと受け取りまでの日数

任意解約では、中小機構の様式「解約手当金請求書(様式㊥401)」に必要事項を書き、添付書類とあわせて登録取扱機関に提出します。GビズIDプライムのアカウントがあれば、オンラインでも手続きできます。

解約手当金は、請求書が中小機構に届き、書類に不備がなければ、10日〜2週間程度で受け取れると案内されています。添付書類は解約事由(個人事業主の任意解約、法人の任意解約、みなし解約など)で変わるため、中小機構の「手続きの流れ」で確認してください。

受取口座に設定できる金融機関は決まっています。中小機構の「解約手当金振込可能先」の一覧で、先に確認しておくと安心です。

受け取った年の税金と再加入の制限

  • 個人事業主:掛金を事業所得の必要経費にしていた場合、解約手当金は事業所得の収入金額になります。
  • 法人:掛金を損金にしていた場合、解約手当金は益金になります。
  • 貸付があるとき:償還すべき共済金や一時貸付金があっても、収入になるのは、それを差し引く前の額です。
  • 消費税:倒産防止共済の解約手当金は不課税と案内されています。
  • 期またぎの収入時期:請求後、事業年度(法人)や年末(個人)をまたいで受け取った場合の収入にする時期は、所轄の税務署に確認するよう案内されています。
  • 再加入の制限:令和6年10月1日以降に解約して再び加入した場合、解約の日から2年を経過する日までに支出する掛金は、必要経費や損金に算入できません。

掛金を経費にして解約手当金を収入にする仕組みは、一般に「課税の繰り延べ」と呼ばれます。解約手当金が収入になる年の損益は、解約の時期を決める材料になります。ただし再加入すると2年間は掛金を経費にできないため、解約と再加入を繰り返す使い方はできません。

次に知りたいこと

公式一次情報

よくある質問

経営セーフティ共済を解約するといくら戻りますか?
掛金総額に、納付月数と解約の種類に応じた支給率を掛けた額です。任意解約では、40か月以上で100%、12〜23か月で80%、11か月以内は0%です。
40か月未満で解約すると損ですか?
任意解約では、39か月以内は掛金総額の100%が戻りません。たとえば月20万円を36か月納めて解約すると、720万円のうち684万円が戻り、36万円は戻りません。
解約する月の掛金は戻りますか?
任意解約の申出日がその月の掛金振替日(27日。土日祝日なら翌営業日)の前日以前なら、解約月分は過払い金として返金されます。振替日以降なら、解約月分も掛金総額に含まれます。
解約手当金は課税されますか?
掛金を必要経費や損金にしていた場合、個人事業主は事業所得の収入金額、法人は益金になります。消費税は不課税です。
解約してすぐ再加入できますか?
再加入はできますが、令和6年10月1日以降に解約した場合、解約の日から2年を経過する日までに支出する掛金は、必要経費や損金に算入できません。
解約手当金はいつ振り込まれますか?
請求書が中小機構に届き、書類に不備がなければ、10日〜2週間程度で受け取れると案内されています。
本記事について。専門家監修前の概説です。2026年10月26日時点の中小機構の公開情報にもとづく一般的な案内で、個別の判断に代わるものではありません。解約の時期や税金の扱いは、中小機構または税理士へご確認ください。