年度の途中で引っ越した個人事業主の国保と住民税
個人事業主が年度の途中で別の市区町村へ引っ越したとき、住民税をどの自治体に払い、国民健康保険の届出をいつまでに出すかを、条文にそって整理します。
e-Govで確認済み結論から書くと、住民税は1月1日現在の住所の市区町村が課税し、国民健康保険は世帯主が14日以内に市町村へ届け出ます。税務署への手続きとは別に、市区町村の窓口で2つの手続きが必要です。
税務署への納税地や開業届の扱いは、個人事業主が引っ越したときの届出で説明しています。ここでは市区町村が扱う住民税と国民健康保険に絞ります。
住民税は1月1日現在の住所で決まる
東京都主税局の案内も、所得割と均等割は「1月1日現在」都内に住所がある人が課税の対象で、各区市町村が都民税とあわせて徴収するとしています。つまり、1月1日にどの市区町村に住んでいたかで、その年度の住民税を課税する自治体が決まります。
住民税の所得割は、前年の所得に応じて課税されます。個人事業主の事業所得に対する住民税は、翌年の1月1日に住んでいる自治体が課税する、という順番になります。
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9月に引っ越した場合の課税先
仮の日付で並べます。2026年9月20日に、A市からB市へ引っ越したとします。
| 年度 | 賦課期日(1月1日)の住所 | 課税する自治体 |
|---|---|---|
| 令和8年度(2026年1月1日が基準) | A市 | A市(引っ越し後も、A市から納付書や通知が届く) |
| 令和9年度(2027年1月1日が基準) | B市 | B市 |
2026年中に稼いだ事業所得への住民税は、令和9年度分としてB市が課税します。A市への令和8年度分の納付は、引っ越し後も続きます。納付が終わっていない分の納め方は、A市に確認してください。
- 令和8年度の住民税は、引っ越しても新しい住所の市区町村へは移らない。
- 1月1日より後に転入した場合、その年度の課税先は転入前の自治体のまま。
- 確定申告書には、申告時点の新しい住所を書く。納税地の扱いは別のガイドで確認できる。
国民健康保険は住所を有した日から資格を取得する
国民健康保険は住民税と違い、1月1日の住所ではなく、引っ越した日で資格が動きます。国民健康保険法7条は、都道府県の区域内に住所を有するに至った日から被保険者の資格を取得すると定めています。8条は、住所を有しなくなった日の翌日に資格を喪失するとしています。
ただし8条のただし書きにより、都道府県をまたぐ引っ越しで、住所を有しなくなった日に別の都道府県に住所を有するに至ったときは、その日から資格を喪失します。転出元の資格が切れる日と、転入先の資格が始まる日が、同じ日につながります。
保険料を決めて集めるのは市町村です(国民健康保険法76条)。同じ都道府県内の引っ越しでも、転出元と転入先で保険料の計算が別になるため、窓口の手続きは省けません。保険料の月ごとの扱いや、前の自治体との精算は、自治体ごとの案内で確かめてください。
保険料の目安は国民健康保険料はいくら?、住民税の仕組みは個人事業主の住民税で確認できます。
転居後も旧住所とは別の市区町村に事務所を残す場合は、事務所所在地で均等割だけが課されることがあります。住所地外の事務所と住民税の均等割で、1月1日の基準と森林環境税の扱いを確認してください。
引っ越し後の確認手順
- 転出元の市区町村で、転出と国民健康保険の喪失を手続きする。世帯主が届け出ます。
- 転入先で、転入から14日以内に国民健康保険の加入を届け出る。
- 住民税の通知がどの自治体から来るかを確認する。引っ越した年度は転出元から、翌年度は転入先から来ます。
- 確定申告書に新しい住所を書く。納税地の変更だけの届出書は要りません。
退職や会社の社会保険を外れたあとに国民健康保険へ入る場合など、個別の事情は市区町村の窓口に確認してください。
よくある質問
- 年度の途中で引っ越したら、住民税は新しい住所の市区町村に払いますか?
- その年度の住民税は、賦課期日である1月1日現在の住所の市区町村が課税します。年度の途中で引っ越しても、課税する自治体は変わりません。新しい住所の市区町村が課税するのは、次の1月1日に住んでいる年度からです(出典:地方税法39条・318条)。
- 引っ越したら国民健康保険の手続きは必要ですか?
- 必要です。国民健康保険法の施行規則は、資格の取得や住所の変更を世帯主が14日以内に市町村へ届け出ると定めています。別の市区町村へ移るときは、転入先での加入の届出と、転出元での手続きの確認が要ります。
- 引っ越しで確定申告の納税地を変える届出は要りますか?
- 納税地の変更だけのための届出書は不要です。確定申告書に新しい住所を書いて出します。詳しくは個人事業主が引っ越したときの届出で説明しています。
公式情報
- e-Gov法令検索「地方税法」(第39条・第318条 賦課期日)
- e-Gov法令検索「国民健康保険法」(第7条・第8条・第9条・第76条)
- e-Gov法令検索「国民健康保険法施行規則」(第2条・第3条・第4条・第10条 14日以内の届出)
- 東京都主税局「個人住民税」(1月1日現在の住所で課税)

